通し狂言 染模様恩愛御書-細川の男敵討

観劇:2006年10月
会場:大阪松竹座

過去の某所の感想を移動。
どんだけ熱狂したのかってのがわかる超長文。
本当に長文なのでお覚悟召されよ!

の部分は私が改めてコメントした部分です。


通し狂言 染模様恩愛御書-細川の男敵討

【第一幕】

序幕はこの物語の全ての発端である
横山図書がいかにして数馬の父・印南十内を殺害したかが明らかに。

よそ者の横山図書猿弥)が、メキメキ出世したのと
藩内の美人アイドルいよ芝のぶ)を妻にしたことをやっかみ
図書を陥れようと画策する悪の四兄弟(別に兄弟ではないですが)。
図書に「アンタの奥さん、密通してまっせ」とでっち上げを密告。
それを真に受ける図書。…心当たりがあるのか?
かねてよりいまいち心を開いてくれない妻・いよを気にしていた様子。
美人の妻を貰うのも良し悪しですね。

ショックを受け自棄酒をあおり帰宅し妻を問い詰める横山図書。
もちろん濡れ衣ですので、いよは否定します。
しかし聞く耳持たない図書はいよを斬り殺します。

そこへ間の悪いことに数馬の父・十内薪車)が
疱瘡に効くお守りを譲ってもらおうとやってきます。
息子(数馬)が疱瘡で、気が気ではない子煩悩パパなのです。

斬り殺されているいよを見て「なんと!」と驚くパパ。
だって浮気してるって噂を…」の図書の弁解を聞き
そりゃアンタ、騙されてるよ」と説明するパパ。
そこで初めて自分の短慮に気づき愕然とする図書なのでした。

しかしここで企む横山図書。
ええい、ここで十内も斬って密通の現場を押さえたことにしよう!
ひらめきはいいようです。
それを実行してトンズラするのでした。
酷い人ですが、なんだか憎めないのが猿弥さんの魅力なのだ。

それから10年後。
浅草寺の境内です。…大阪まで観に行って浅草の話?(笑)
やっと主役の片割れ印南数馬愛之助)登場です。
ピンクの振り袖に袴という倒錯的ないでたち。
そこへ数馬にぞっこん(死語)の腰元・あざみ春猿)が
もとは寺小姓の数馬様。同じく寺小姓の吉三郎に会いたくて
火をつけた八百屋お七の気持ちが私にはわかります

みたいな口説き文句で数馬にすがり付くあざみちゃん。逃げる数馬。

さあ、見染めのシーンです!
主役・大川友右衛門染五郎)登場!!

お互いなにかを探している様子で前も見ないでキョロキョロ。
ほーら、ぶつかった。謝りつつも一目ボレする二人。
数馬の落した杜若を拾い、跪いて渡す友さん。
照明がピンクなんじゃないか?! というくらいロマンあふれるシーンです。

ちなみに杜若の花言葉は「幸運、雄弁」 ←調べてみた(笑)

ここから友さんの恋の暴走特急が発進します。
麗しの小姓殿についてガンガン調べて、恋文をしたため
なんとか出会いの浅草寺境内で再会したいっ! と日参する友さん。

その甲斐あってようやく再会を果たした二人。
ここが正念場と緊張が最高潮に達する友さん。
モジモジする様子がおかしい。
しかしどうにか数馬の袖に恋文を忍ばせることに成功。
その後も遠ざかる数馬を名残惜しそうに見送る友さんなのでした。

恋文を受け取った数馬も驚きつつもまんざらでもなさそうです。

その数日後、数馬の勤め先の細川家に下男として転職し
名前も「袖助」に改め、数馬との再会の機会をうかがう友さん。
侍だったのに下男ですよ。
でもその働きぶりを認められて出世したようです。
とりわけ文字を書くのがミゴトと上司の覚えメデタイ友さん。
さすが手紙魔。特技を生かしたアタックなのですな。

屋敷内にて再び数馬の袖に恋歌を忍ばせることに成功。
その名も袖助。
袖に忍ばせるから袖助なのか袖にされるのを覚悟の上の命名か?!

おっと忘れちゃいけないあざみちゃん。
彼女も勤め先で数馬に出会うたびに口説きます。
露骨に逃げようとする数馬。
その際に友さんからの恋歌を落してしまいます。
忍ぶ恋の歌?! ライバル出現!!」と闘志を燃やすあざみちゃん。

そのあざみちゃんが近くにいるのに
数馬は友さんに返事の文を投げ渡します。
なぜ投げる?!(爆)
拾った友さん、うれしさのあまり大声で読み上げてしまいます。
今宵忍んできてくださいとは夢ではないだろうか?!
もちろんあざみちゃんも聞いています。

そして夜。
数馬の部屋へ忍んでくる友さん。
あれよあれよと数馬のリードで奥へひっこむ二人。
友さんが帯くるくるされて「あ~れ~」と笑いもとりこみつつ
『トップランナー』にて暴露された影絵のシーンです。

当時、私が遠征する前に披露されたのです。忘れていましたが…

袴を直しながら出てくるなーっ!
上座と下座が入れ代わっているのが興味深い。
気分はすっかり兄貴分の友さんです。
デキ上がってから敵討ちの事情を話し、義兄弟の契りを結ぶ魔性の小姓。
友さんの膝に手を置いて話すのはホステスの技ではないか?!

ホステスはお客の膝に手を置いて
「これが私のメルアドよ」と名刺を渡すのが常套、とテレビで言っていたのだ。

ついに問題の血の誓いのシーンですよ!
と、二人に集中していたら、どこからか女の奇声が。
この様子を密かに覗っていたあざみちゃんです。
美人で有能なワタシを振って身分の低い男に…と悔しさを滲ませます。
春猿さんの演技が本当にジェラシーをミゴトに表現しているのです。

惚れた男を男に寝取られた~」と怒り凄まじく殿と奥方へチクります。

あざみの話を聞いて殿・細川越中守段治郎)と奥方・照葉吉弥)の前に
連れてこられる数馬。
不義をしたとは本当か?」「事情があるのでしょう?
とお気に入りの小姓の過ちをなんとか穏便に収めようとする二人。
しかし、数馬の部屋の長持ちから友さんが出て来て
腕にはお揃いの刀傷
それにあざみが持っていた恋歌と、証拠は揃っています。

事情を訴えながらお互いを庇い会う友さんと数馬。
その様子を見ていた殿さま
話わかりすぎ。
数馬の敵討ちを助けるとはあっぱれじゃ!」と大喜び。
この殿さま、なんだか変です(笑)。おおざっぱで好き。
友さんを侍として、大川友右衛門として改めて採用じゃー! と大奮発。
その際の「大川も元は細川」と周囲を丸め込む殿さま。おもしろい!!

この時のあざみの驚愕っぷりがすごかった。
がっくりと項垂れ、わなわなと着物の袖を震わせるあざみちゃん。
キレイなだけに壮絶です。
もちろんこの子がこのまま引き下がるわけはないのです!


【第二幕】

お話はあっと言う間に4年後。
友さん(染五郎)の
妹・きく芝のぶ)と横山図書(猿弥)が結婚しています。

実は、友さんが数馬(愛之助)に猛烈ラブアタックの最中に
たった一人の妹・きくに縁談が持ち上がっていたのです。
会津を出奔した横山図書が印南図書と名を変えて
かつての妻・いよにソックリなきくに結婚を迫っていたのです。
…しかし、江戸でもそれなりに出世している図書は世渡り上手であるな。

きくが縁談について相談しようにも暴走中の友さんは捕まりません。
もっとも相談しても自分のことで精一杯の友さんが
役に立つかどうかは疑問ですが。

しかたがないので親代わり玄庵先生と相談して
結婚することにしたようです。
4年間も音信不通とはなにをやっていたのか?!
ひさしぶりに再会した兄と妹。
妹の夫が数馬の敵であると知り、そのまま敵討ちに雪崩れ込み!!

うーん。義兄弟としては最高の友さんですが
実の兄としてはなかなか最低な感じですね。
妹の幸せも考えてほしい~。
実は小説ではきくは図書との縁談はあったけど結婚はしなかったので
密かにビックリしたのでした。

当時この歌舞伎とタイアップで小説が発売されたのです。
抜かりなくそれも予習して行ったのですが…
まったくの別物なのでこの小説は読まなくていいと思います(苦笑)

一方、たまたま細川の屋敷に使いに来ていた横山図書。
正体がバレ、そのまま屋敷内で追われる身となります。
事情を聞いたあざみ(春猿)
これに便乗して友さんを亡き者にしようと暗躍。
…4年間ずーっと思い続けていたのですね。
なんてけなげな(泣) イヤイヤ、諦めが悪いよ、あざみちゃ~ん!

私が協力するからその替わりに友さん殺して数馬を助けて。
とあざみは図書に持ちかけます。
そんな理屈が通るわけがないのに承知する図書。
あざみの策略により火矢で細川家に放火する図書。
この時、本火で燃える矢を客席に向かって放とうとするのでビビった。

そこへ「こらソコ! 放火は大罪だぞっ」と言いながら数馬が到着。
それを見つけた図書が数馬に斬りかかります。
話が違う!」と怒るあざみに
あさはかな女よ。あれは方便だ」と開き直る図書。
たしかにあざみはあさはかだ(苦笑)

殺陣が早い!
さんざん雑魚を倒したあとに、数馬の相手をする図書。
丸っこい体(…)がくるくるとよく動き、時に弾みます。
機敏な猿弥さんの動きにクギヅケな私。
すんません、数馬をあんまり見ていませんでした。

その後になぜか遅れて駆けつけた友さんの相手をするのは
タイヘンだったろうに…。なにしろイチバン殺陣の早い人が相手ですから。
ついに追いつめられ成敗される図書。
大の字にひっくり返った状態で運ばれる猿弥さんに拍手!!

さあ、お待ちかね。アミューズメントパークな家事場のシーンですよ。

講談による実況の中、赤い幕の動きが大きくなって
炎の勢いが上がったのがわかります。
それに合わせて壁や天井から客席にももくもくと煙が吐き出されます。
ぬお、なんだなんだ?
こんなことが出来るのか、スゴイぞ松竹座!

家宝の御朱印を手に入れるため、燃え盛る蔵に突入です。
燃えながら煙を上げながら花道から登場、友さん。
装置がいっぱいで着膨れています(笑)
歌舞伎技もふんだんに採り入れた染さん孤軍奮闘場面です。
っきゃー!! もっとやって~!

燃え落ちる梁もあり、いよいよ脱出は不可能な感じです。
覚悟を決めた友さん、せめて御朱印だけでも…と
殿様の恩義に報いるため割腹します。
臓・臓・大を次々取り出し「これが『カンジンチョウ』だー」(爆)
…うぅむ。余裕あるじゃないか。
賛否両論あるらしいこの笑い、私は大好きです!

ただ、なんで急に勧進帳? という唐突さがありましたが。
このお話に絡めた笑いだったらもっとよかったなー。

内臓分を減らした自分の腹に御朱印を納めます。
客席にもバンバン火の粉が飛んできます。ふお~、すごーい。
もちろん火の粉の欠片を持ち帰った私。

あの欠片、どこへ行ったのでしょうね?(笑)

場面変わって焼け跡から友さんの遺体が運び出されます。
友さん死亡の知らせを聞き、崩れ落ちる数馬。
殿様(段治郎)の御前であることも忘れ遺体に取り縋って泣く数馬。

腹の中の御朱印に気づいたのは数馬でしたよ。
そうこなくっちゃ!
ちゃんと友さんの狙いをわかっている数馬なのです。

しかしさっきまで友さんの命懸けの御朱印探しに
あっぱれ」と喜んでいた殿様が
腹から出て来た御朱印に狂喜する現金な姿が気になってしかたない私。
ほんとこの人、素直だなぁ(笑)

一人残されてしまった数馬。
空から降りてくる友さんのとの思い出の花、杜若を手にする数馬。
それを見守る友さん、というラストでした。

おもしろかったー。大阪まで行った甲斐がありました。
歌舞伎じゃないとかいう否定的な意見もあるようですが
私は充分歌舞伎だと思いました。

前宣伝ではびーえるを前面に出していたので
どうなることかと思いましたが
観てみると忠義・因縁・嫉妬・炎上・切腹などの要素のなかの一つでした。
そしてあんまり衆道には興味をそそられなかった私。
仇討ちと火事場のほうが断然おもしろかったです!

いろいろな工夫が凝らされていてとても楽しめました。
義太夫の代わりに講談を使ったり、セットもシンプルで変幻自在。
笑いのシーンも多く、当代のお笑いネタを取り入れたり
カブキ踊りまで披露してくれるとは…。
そして謎の主題歌。
友さんと数馬の見染めのシーンや濡れ場のシーンで流れた
なんとも切ない二人の愛のテーマが…オモシロカッタです。

これは再演でも使ってほしい! すげー強烈で面白かったから!!

終わってみると猿弥さんの憎めない図書と
どこかとぼけた忠義好きな殿がお気に入り。
あとあざみちゃん。彼女はキョーレツでステキでした。

殺陣もスピード感溢れ、敵を討つ愛之助さん、その敵役の猿弥さん
はたまた助っ人の染五郎さんがカッコよかったので大満足。
そこに割って入る懸命なあざみちゃんのポイントも高い(笑)

そしてなんといっても火事場での染さん!
歌舞伎はエンターテイメントであると実感しました。
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

まるあ

Author:まるあ
100%趣味について。
観劇と映画鑑賞と読書が趣味。歌舞伎・三谷幸喜作品・蜷川幸雄演出・劇団☆新感線などを観に行きます。
読書はいろいろな人の感想を参考にマンガも含めて乱読中。

一個人の主観的な感想なので大多数がそう感じるとは限りません。
内容も正確を期していますが記憶を頼りにしているので必ずしも正確ではありません。
以上を了承のうえお読みいただけると幸いです。

カテゴリー
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カウンター
ブログ内検索
リンク
RSSフィード
FC2 Blog Ranking