赤い城黒い砂

観劇:2009年4月16日
会場:日生劇場
原作:W・シェイクスピア/J・フレッチャー『二人の貴公子』
脚本:蓬莱竜太
演出:栗山民也


蜷川演出以外のシェイクスピアはたいがい「………」なことになるので
敬遠していたのですが
実は○○話らしいと聞いて、見てみたくなり急遽観劇。

最近お気に入りのCM、細マッチョ! その影響もあるかもしれません(笑)

『二人の貴公子』ってどんな話か知らないけど
タイトルからイメージできるのは
二人の貴公子が交互に長セリフで心情吐露
そしてキャストを踏まえてイメージすると
二人の貴公子が一人の女を巡って悩みながらも戦う
みたいな感じでしたが、全然違いました

そもそも“貴公子”って感じじゃないのだ。
もっと血と汗と土にまみれた印象。
私はそのほうが好みだ!

どうやらかなりアレンジされていたようで
キャストに合わせたあてがきで
それに伴ない大胆に変更されていたようです。
道理でタイトルが違っているわけだ。


赤い城黒い砂

“悪の伝道師”と自ら称する武器商人モト中嶋しゅう
彼の語りから物語は始まる。
知らないってことは罪である。
知ってしまうと利用したくなるのが人間というもの。

彼は赤い国の王中山仁)を唆して一儲けしようと企んでいるのだ。

そんなことは知らずに相変わらず剣で戦う黒い国。
この国には“黒い国の獅子”と呼ばれる二人の英雄がいる。
常に前線で戦い続けるカタリ獅童)と
その背中を守り続けるジンク愛之助)。
二人は幼なじみで親友。

一方、赤い国にも“赤い国の魔女”と呼ばれる存在がある。
戦場で指揮を執り、自らも剣を握る王女ナジャ黒木メイサ)。

彼女と刃を交えるカタリ
その様子を遠くから見つめるジンク

そこへ赤い国から合図が。撤退をし始める赤い国。
お前たちも早く逃げろ」と言い残し、ナジャも姿を消す。
突然のことに呆気にとられている黒い国。
赤い国から何かが飛来。そして閃光。焦土と化す草原。

捕虜となったカタリとジンク。
二人は手当てされ、共に赤い国の地下牢に入れられている。
そこへナジャが説得に現れる。
我らの王は大量殺戮が可能な兵器を手に入れた。降伏しろ

血気盛んなカタリはそんな言葉に耳を貸さず
戦場で出会った彼女と再会できたことを喜ぶ。
一方、それを聞いて考え始めるジンク。

そこへ黒い国から釈放金が払われ、ジンクだけ牢から出られることに。
その条件は「今後一切赤い国に干渉しないこと」。
戦場に出られなければ手柄が立てられぬ。
野心家のジンク、このままでは出世が望めないので
包帯で顔がばれていないことを幸いに、名前を変え、身分を偽り
赤い国の中枢に入りこみ赤い国で天下を獲ろうと画策。

暗い地下牢に取り残されたカタリ
牢番の娘ココ南沢奈央)と仲良くしつつ、ひたすら時を待つ。

順調に出世をし、赤い国の“ナジャ親衛隊長”となったジンクが
自分の正体を知るカタリを始末しようと部下に処刑の指図をくだす。
それを知ったココの手引で地下牢を脱出するカタリ。
久しぶりの地上の光に目が眩んでいるところへジンクが駆けつけ
声でジンクと気づいたカタリに攻撃をしかける。
片腕を失いながらも逃げるカタリ。

ここまでが第一幕。
長い! 説明だけでこんなか!

第二幕では
カタリに逃げられたジンクが苦境に立たされるところから。

以下、ネタバレしまくり&長すぎるので隠します。

赤い国の王座を得るためにナジャに求婚し続けているジンクですが
実は王の側室の娘カイナ馬渕英俚可)にも手を出していたのだ。
おいっ! ナニしてるんだ!!
カイナを捨てて正室の娘であるナジャに求婚。
そりゃあ怒りますよ、カイナが。
怒るカイナが取った行動が王にジンクの悪評を吹き込むこと。

それを鵜呑みにした王、ジンクを信用できなくなり
たった3人で赤の国に害をもたらす山賊討伐へ行かせ
ジンクを亡き者にしようと画策。
王の命令には逆らえず、ジンクは弱っちい部下2人をつれて山賊の元へ。

その山賊、実はカタリが率いる黒い国の残党。
思わぬ再会をしたカタリとジンク。
かつて親友だった二人。
でももう、カタリにはジンクは仇にしか見えない。
片腕失った事実は消えないのだ。
しかし、またどっか失っちゃうのね、獅童さん。
片目とか片腕とかそんな役ばっかりだ。

膠着したところへ親衛隊を引き連れたナジャが登場。
そしてバラされるジンクの正体。
それでも「いずれ私の夫になる男」とジンクを助けるナジャ。
しかしそれ以後、ジンクによそよそしくなるナジャなのだ。

さてさて王宮もぐちゃぐちゃしておりますが
赤い国では王宮以外でもとんでもないことが起こっておりまして
牢番の娘ココ、カタリを逃がした罪で地下牢に入れられているのですが
カタリと共に太陽の光を浴び、なぜか失明しております。

ずっと地下牢に入れられていたカタリが一時的に見えなくなるのはわかる。
が、牢を行ったり来たりしていたはずのココが失明ってどういうこと?!
…まぁ、それはいいってことにしよう。

失明と同時に気がふれてしまったココ。
毎日カタリのことを思い出して生きています。

そんな憐れなココを慰み者にする兵士たち。
それを黙認する父親の牢番。

ハァ?! ナニヤッテンダよ、親父!!
そりゃあ正気も保てなくなるわ!
どうやら長年父親にも同様の仕打ちをされていたようで…

謎の呪い発動
ココが「嫌い」と発するたびに死に至る赤い国の人々。

赤い国には秘密があったのだ。
人口が増えると必ず伝染病や洪水、飢饉などの天災に見舞われる運命
だからどんなに国が栄えようと人口が一定数を越えると
天から呪いが降ってくる…? グレンラガンか?!

だからやけっぱちになった王様が兵器を購入したんでしょうか?
うちの国だけじゃなくてよその国も滅ぼしてしまえ!
みたいなこと?
なんとメイワクな!!

いつのまにかくねくね踊る人(呪いの象徴?)を引き連れたココは
赤い国で“死神”として恐れられる存在に。
もうココを名前で読んでくれる人はいません。
かつてカタリに言った
名前を呼んでくれたから好き」という言葉が悲しく思い出されます。

ココはきっと父親の歪んだ愛情を受けて育って
カタリが初めて人格を認めてくれた人だから嬉しかったんだろうなー。
だから自分に害を与えない女性のナジャにも懐いていたのかな。

“死神”の噂は赤い国の外にも聞こえてきます。
もう赤い国は壊滅寸前。
なにしろココの殺意の対象が兵士。
兵士ばかりが次々と命を奪われるのですから。
さらに城壁も武器商人と取引したカタリによって破壊され砦も消失。

無防備になった城内へくねくねダンサーと共にココが現れ
間もなくカタリが駆けつけます。
自分の仇・ジンクの命を奪うために。

カタリと再会し喜ぶココ。
カタリの口からナジャ親衛隊長がジンクであることを知ったココ。
自分からカタリを奪ったジンクに「嫌い」と呪詛の言葉。

苦しみ倒れるジンク。

それを放置して(苦笑)
再び刃を交えるカタリとナジャ。
この二人は「お互いの血を見たい」衝動に駆られるらしいです。
天性の戦士とでもいうのでしょうか。
そういう愛の形?

他の誰かを愛すのをは許せぬ

という言葉と共に発砲するジンク。
銃口は戦って接近していたカタリとナジャの方に向けられています。

倒れたのはカタリ。
へっ?! ジンクはカタリを愛していたのか?!

やっとわかった。お前はいつもオレを見ていた。

と言葉をかけながらジンクの元に近寄るカタリ。
あら、思いが通じましたよ。
よかったね、ジンク! ←やけくそ(笑)

そのまま折り重なるように倒れ、二人仲良く天国へ…?

そこへ北方の青い国が進軍の知らせ。
武器商人が青い衣装だったのはそういう意味だったのか!
青い国が、赤い国と黒い国を共倒れさせて漁夫の利を得ようという作戦?
それはわかるけど…
今回はココが“死神”となったから赤い国も弱体化してうまく行ったけど
それがなかったら兵器対兵器で楽勝とはいかなかったのでは??
不毛な戦いになりそうだ。
それはさておきナジャが女王として覚醒です。

旗を持て!

カッコイイ! メイサさんは凛々しい役がよく似合う。
逃げるものは逃げていい、私は赤い国の王として最期まで戦うと宣言。
あ、ここに至る前にナジャの父である王様は死んでいます。

父王も困った人だよな~。
ナジャの母を亡くして以来、気鬱になりメイワクなことばかりして。
兵器を買うのもそうだし
壮大な墓を建てるなんて、ほんと迷惑!
戦争しながらそんな労力まで割けと? 愚王なのかこの人。
しかも側室の娘カイナに対してはあまり愛情がないみたいだし
ナジャに対しても母に似ているからと寵愛したり遠ざけたり自分勝手。

赤い国には人口が増えると天災という運命のほかに
女王は死ぬと神になるという信仰があるそうな。
それは王の妃も該当するらしく
ナジャの母も神となって見守っているらしい。
ナジャの母を深く愛する父王、死んでも彼女に会えないことを嘆いて
壮大な墓を作ってみたらしい。

神になる女に対して土に還る男

自分の愛に生きた男たち
カタリを愛するジンク、それを受け入れたカタリ
娘を愛する牢番
亡き妻のことばかり考える王
これに対して
死んでも赤い国、国民を見守り続けると決意したナジャが神々しい。

そのナジャの決意によって
くねくねダンサーから解き放たれたココ。
たぶん、解放されたんだと思います。最後、ココから離れていたので。
思えばこの人も“神になった女”なんですね。不吉な死神ですが。
てことはココの呪詛はもうナイから青い国への攻撃は無理ってこと?
いや、もともと赤い国にしか効かないのか?
ナジャはココを兵器として利用しようとは考えていないと思いますけど
ついつい考えてしまうのです。

しかし神になっても人口が増えると…っていう問題が解決しないなら
赤い国に幸せはこないような気がしますが
それはそういうことじゃないのか?


ええと、長くなった割にはよくわかっていないんですが(苦笑)

時代設定や場所は曖昧。
今より昔のアジアのどっか。
なんだかいろいろ『トゥーランドット』に被るような気がします。
歌いませんでしたけど。いや、歌はありましたな。

生演奏でした。いろんな楽器を一人で演奏。
あの音楽が効果音なども一手に引き受けていてイイカンジ。

そしてコスプレなんですよ!
何かと仮装しているのを見かけることがある獅童さんはともかく
愛之助さんの長髪が新鮮。
洋装! しかも軍服だし!
それに腹黒というかいろいろ策略を巡らす役というのも新鮮でした。

そういえば、カーテンコール。
なんで3人だけだったんでしょう?
もう一度キャスト全員で出てきてほしかったなー。
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私も観劇予定です!

実は、私もこのお芝居の観劇を予定してます(千秋楽に!)。
先日、愛之助さんを密着取材する番組を観てから、
急にこの舞台を観たくなり、チケットをゲットしました。
何の予習もしてなかったので、まるあさんのレポ、参考になりました。
愛之助さんは、歌舞伎以外の舞台を観るのは初めてなので、期待しております。
獅童さんは、むしろ歌舞伎以外の舞台の方が好きだったりして……(苦笑)。
どちらにせよ、楽しみになってきました!

七織さん

千秋楽に観劇とは! 楽しんできて下さい。
意外に(失礼な!)面白い舞台でございました。
予習はいらないくらいわかりやすいお話なのでご安心を。

>先日、愛之助さんを密着取材する番組を観てから、
これ、見逃してしまったんですよ~。悔しい~~。

>愛之助さんは、歌舞伎以外の舞台を観るのは初めてなので
あ、私もそうかも…言われるまで気がつかなかった(苦笑)

>獅童さんは、むしろ歌舞伎以外の舞台の方が好きだったりして……(苦笑)。
同感です!(爆)
獅童さんらしい部分が随所に現れていましたので乞うご期待♪
プロフィール

まるあ

Author:まるあ
100%趣味について。
観劇と映画鑑賞と読書が趣味。歌舞伎・三谷幸喜作品・蜷川幸雄演出・劇団☆新感線などを観に行きます。
読書はいろいろな人の感想を参考にマンガも含めて乱読中。

一個人の主観的な感想なので大多数がそう感じるとは限りません。
内容も正確を期していますが記憶を頼りにしているので必ずしも正確ではありません。
以上を了承のうえお読みいただけると幸いです。

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