二月花形歌舞伎 夜の部

観劇:2009年2月14日(1階14列目花道横)
会場:大阪松竹座

『染模様~』以来の松竹座。おひさしぶりです!!
そして久しぶりに1階の一等席!!
それも花道横だー!! とってくれたモモタミアンどうもありがとう!!

チョームリヤリつけたあだ名。本人の承諾無いけどいいんだろうか?


吹雪峠(ふぶきとうげ)

なんですか、このタイトルは?!
演目が発表になったときから覚悟を決めていましたが案の定、新歌舞伎!
新歌舞伎は個人的に当たりハズレが大きいんですよ。
イヤな予感が外れることを祈りながらの観劇。

それは杞憂でした!
めちゃくちゃ面白いぞ、これ!!

幕が開くとそこは猛吹雪。
あらゆる風をおこして紙ふぶきを舞わせています。
そこへ迷い込んだ一組の男女。
吹雪と共にすっぽんから登場したので「アヤカシか?!」と勘ぐりましたが
フツウの人間でした。

猛吹雪に難儀しながら山小屋へたどり着いた二人。
男の方がへこたれているのが気になります。
へなちょこな男が助蔵獅童)。どうやら身体を壊しているようです。
吹雪の中を咳き込みながらの峠越え。
それを励まし支える女・おえん七之助)。
夫婦なのですが、実はこの二人
助蔵が兄貴分の女房だったおえんを奪った末の逃避行!

吹雪に閉ざされた山小屋で一息ついたところに一人の旅人がたどり着きます。
困ったときはお互い様、と中へ通す二人。
入ってきたのは直吉愛之助)。なんとおえんの元旦那で助蔵の兄貴分!!
まさかの偶然に恐れおののく二人でしたが…。

ええとたぶん、本来はドシリアスな一幕だと思うんですよ。
けれどですね、運悪く(いや、良く?)この日はハプニングがありまして
おかげで緊迫感溢れるはずの舞台がコメディに…
新しいよ! コメディ歌舞伎!!

直吉が山小屋にたどり着いたときからそれは始まります。
雪を避けるための傘やマント(なんていうんだあれ。蓑か?)を
土間で脱いでいるところに小屋の戸が外れて中へ倒れてきました!
およよ。…そうね。すごい吹雪だもん。戸も外れるってもんですよ。

冷静を装いながら戸を立てかける直吉。
異変に気づいたおえんも手を貸そうとしますが、なんとか事無きを得ます。
…その場は(にやり)

やがてお互い相手に気づいた3人。
平謝りの助蔵・おえんに対峙する直吉。
直吉は無頼漢ですよ。腰には刃物。
一方、町人の助蔵は丸腰(たぶん)。
それでなくてもへなちょこな男ですから
戦いになったら圧倒的不利になるのは目に見えています。

さあ、直吉がどう出るのか?!

手に汗握る場面ですよ。…本来なら。
しかし、この日は違いました。

土間近くに正座して二人揃って許しを請う助蔵とおえんの上にまさかの攻撃!
小屋の戸が再び外れて二人の上にバターン! ですよ。
ビックリ仰天な二人。
慌てて直そうとしますが完全に外れてしまった戸はなかなか直りません。

それを見ながら立場上、手伝うわけにもいかない直助、いや愛之助さん
真面目な顔を崩すまいと堪えますが…どう見ても笑っていますよ。
思えば最初に戸を直したときから口元が緩んでいたような(笑)

寒いっ。早く直せ!」とアドリブでおえんに声をかけていた獅童さんが
それに気づき
ほら、兄貴も笑ってるじゃねぇか。よかったぁ~兄貴ぃ」と更にアドリブ。
いや、よくないぞ。よくないから(笑)

もーだめだ。この幕はコメディに決定です。観客も大爆笑。

なおも直らない戸、外は止まない雪に強風です。
風の吹き荒れる効果音が大きくなりました
いいぞ! ナイスだ音効さん!!

なんとか直して気を取り直して仕切り直し。
ですが、どうにもこうにも…(苦笑)
この回しか観ていないのでなんとも言えませんが
たぶんこんなノリじゃないと思うんですよ。

兄貴が腹いせに二人を追い出すんですが
外は相変わらずの吹雪。
せめて夜明けまで待って」と訴えますが、兄貴は許してくれません。

しぶしぶ外へ出る二人。
外は寒いと渋る助蔵。とんだ甘えん坊キャラです。
せめて靴下(じゃないか。なんだっけ? 足袋?)履かせて」と時間稼ぎ。
それを手伝うおえん。

やっと外へ出た二人ですが、あいかわらずの猛吹雪。
さらに助蔵へ屋根から雪の塊が!
んぎゃー! 寒いー!!」と速攻で小屋に戻る二人。
寒い寒い」と足を擦りあわせる助蔵。

このあたり獅童さんのアドリブのようにも見えましたが、どうなんでしょう?
もともとあってもおかしくなかったけどオーバー気味だったような?
こういう臨機応変な獅童さんは大好きです。
妙にこのキャラが獅童さんにハマっていて楽しかった!

戻ってからは兄貴の歓心を買おうと必死な二人。
何でもするから自分を受け入れて、と猛烈アピール。
おえんが自分の懐に兄貴の左手を忍ばせれば
負けじと助蔵も「オレも!」と兄貴の右手をとります(笑)
あ、ねーや…」と自分の胸をさすりながらつぶやく助蔵が可笑しい。

終いにはお互い貶し合い。
うわー、人間ってすごいわ。愛の儚さを思い知りました。

が、やっぱりコメディに見えるんですよ。
本来もこんな愉快な芝居になるんでしょうか?
もう一度観てみたくなる一幕でした。
でも一度しか観られないならこのコメディ歌舞伎を観られて本望です!


源平布引滝 実盛物語(さねもりものがたり)

かつて“実盛”を“敦盛”と勘違いしてあらすじを調べた演目。
今回初めて観ました(たぶん)。
これは『義賢最期』の続きのお話です。

しかしですね。爆睡。寝るならこの幕だな、と予感していた通りです。
8割は寝てました…
うう、申し訳ありません。

どうみても身ごもっているようには見えない葵御前亀鶴)は
源氏の木曽義賢の子ども(後の木曽義仲)を宿しています。
それを聞いてお腹の中の子どもが男か女か詮議しに
平家方の斎藤実盛勘太郎)が瀬尾十郎男女蔵)と共に登場。

葵御前を匿うのはやたら豪胆な家族。
九郎助亀蔵)・小よし吉弥)の夫婦に孫の太郎
白いものを握った女の腕(オカルトか、この話?)を拾ってきて
誰一人怖がらないという逞しさ。
さらにその腕の指をこじ開け白いものが源氏の白旗ってことを確認するのだ。
凄すぎるぜ、この家族!!

この腕を使って「葵御前はこの腕を生んだ」と瀬尾を騙し(ふつう騙せるか?!)
煙に捲くんだから大したものだ。

…このあたりで記憶が途切れます。

記憶にある次の場面は
花道を戸板に乗せられて登場した黒い着物の女性。
そのまま舞台に置き去りにされる女性。どうやら死体らしい。

で、また記憶が途切れ
気がつくと瀬尾が切腹の真っ最中。その介錯に子どもの太郎ちゃんが!

な、なんでそうなるの?!

さらに実盛と太郎ちゃんがなにやら約束して
一緒に馬に乗ったりして仲良く(?)過ごした後
乗馬で花道を去る実盛、で幕。

自業自得ですが、なにがなんだかわからない一幕でした。
あとから聞いたところ
黒い着物の女性は、義賢から白旗を託された小万亀治郎)で
彼女は太郎ちゃんの母にして、かつて瀬尾が捨てた娘だったとか。
それで瀬尾が孫の太郎ちゃんに手柄を立てさせるため
切腹して首を差し出したというわけ。

って簡単に言いますけど、凄い話ですよ!

孫の手柄のために自分の命を差し出すおじいちゃん。
言われるがまま、その首を斬る孫。
その甲斐あって太郎ちゃんは義仲の一の家臣・手塚太郎に成長できるんですが。

それに白い腕は小万のもので、腕をくっつけたら息を吹き返し
しゃべり始めたって言うんですから!
やっぱオカルトだ、この話!
あいにく私は寝ていたので見逃したんですけど(苦笑)


蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)市川亀治郎六変化相勤め申し候

さ! 今回の遠征のお目当てでございます。
数年前の浅草で大興奮した一幕。もう一度観たかったのだ!!
さらにヴァージョンアップしているらしい。高まる期待!

坂田金時亀鶴)と碓井貞光獅童)が宿直しているところ。
「お茶が飲みたいぞ」という言葉を待っていたかのように現れたのは
お茶を持った女童亀治郎①)切り揃えられたおかっぱが不気味です。
所望したお茶が来たって言うのにお茶は無視して怪しい女童に夢中の二人。

彼女が去った後も
そこは予想外! なところから登場した薬売り亀治郎②
そう退場するのか! な番頭新造亀治郎③
出現には騙されなかったけど退場には度肝を抜かれた座頭亀治郎④
に翻弄される頼りない二人。

そんな二人を出し抜いて療養中の源頼光勘太郎)のもとへ
傾城薄雲太夫亀治郎⑤)として侵入。
異変を察して駆けつける卜部季武七之助)と渡辺綱男女蔵)でしたが
間に合わず。
しかし頼光は蜘蛛を斬るアイテム蜘蛛斬丸を持っています。
退治に行くぞ! オー!! と蜘蛛の後を追います。

場面は変わって蜘蛛の巣(?)
子分の蜘蛛たちを従えた女郎蜘蛛の精亀治郎⑥)が待ち構えています。

いやもーここまでで十分堪能できたんですが
おや…愛之助さんが登場していませんね。全員揃うはずなのに
と気づいたところに満を持しての登場、平井保昌愛之助)!
敵か味方かわからないイデタチです。
蜘蛛よりすごいかも(爆)

頼光と四天王はすでにいるのに、もう一人。
なんなんだ君は?!
四天王よりさらにすごい“一人武者”」なんですって。

ここからは一人武者の独壇場。
遅れてきたのにインパクト絶大なビジュアルに加え、好き放題。
近頃クイズ番組『Qさま』で大活躍の亀治郎によく似た~
とかなんとか言い始めた(笑)
ここか、先日『Qさま』で流れた舞台の映像は。

あとはお決まりの立ち回り。ですが
しゅるしゅると蜘蛛の糸を惜しげもなく撒き散らすのがいつもと違うところ。
うひゃー、こういうの大好きだー!
ここに至るまでもバンバン糸を使ってくれるので楽しくてしかたない。

とてもいい気分で幕。
みなさんも同じ? 拍手が鳴り止みません。
おおお! カーテンコールだー!!
やたらキレイなポーズを取る蜘蛛に合わせて一礼してくれた出演者のみなさま。
来てよかったー。

なんだったんだろ、あれ。
 バレエっぽいつーか、○カっぽいつーか。
 指先が美しかったです。
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

吹雪峠は・・・

松竹座観てきました。

吹雪峠は戸が倒れなくてもコントでした(笑)。
でも、どうせなら戸が倒れるの見たかった。

sweetpeaさん

>吹雪峠は戸が倒れなくてもコントでした(笑)。
あれー? そういう試みだったんでしょうか??
心理劇=シリアスとは限らないってことでしょうか…奥が深い。
ま、ガッチガチにシリアスよりも笑える方が好きなのでありがたいですけど。
プロフィール

まるあ

Author:まるあ
100%趣味について。
観劇と映画鑑賞と読書が趣味。歌舞伎・三谷幸喜作品・蜷川幸雄演出・劇団☆新感線などを観に行きます。
読書はいろいろな人の感想を参考にマンガも含めて乱読中。

一個人の主観的な感想なので大多数がそう感じるとは限りません。
内容も正確を期していますが記憶を頼りにしているので必ずしも正確ではありません。
以上を了承のうえお読みいただけると幸いです。

カテゴリー
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カウンター
ブログ内検索
リンク
RSSフィード
FC2 Blog Ranking