9月文楽公演 夜の部
観劇:2008年9月15日(17列目センター)
会場:国立劇場小劇場
久しぶりの文楽です。
先月『亀治郎の会』に行った時にチケットゲット
なぜか昼の部がほぼ完売していた(口上があるから?)のに、夜の部はあったんですよね。
私は夜の部が観たかったのでちょうどいい! と即購入したのでございます。
『奥州安達原』の三段目・四段目の上演です。
以前「安達原って言ったら鬼の話でしょ?」と観に行って
「あれっ?」なことになった演目です。
今回はその「鬼の話」である《一つ家の段》が上演されるので張り切って参上!
最近、居眠り癖がついているので(はよ治せそんな癖)
イヤホンガイドに頼りました。
が、やっぱ寝るもんは寝るんですよ… ←ダメすぎる
■ 奥州安達原
《朱雀堤の段》
この《朱雀》“すざく”って読まないんですよ。ビックリですね。
じゃあなんて読むのかって言うと忘れたんですけど。…ガッカリですね(苦笑)
ええと、この段は前振り&登場人物紹介でございました。←乱暴な説明
《環の宮明御殿の段》
いわゆる“袖萩祭文”ですね。
これは以前に亀治郎さんの袖萩&安倍貞任で観ました。
そのとき同様、浜夕&お君ちゃんに泣かされたのでした。
歌舞伎で観た時はぶっかえりがあったのですが、文楽でもあるのだろうか?
とワクワクしていたのですが、ええと…あったんだったかな?(あったと思う)
ここの記憶が吹っ飛ぶくらいスペシャルなぶっかえりがこのあと控えていたのでした。
《道行千里の岩田帯》
《朱雀堤の段》にも出てきた生駒之助&恋絹のカップルの道行です。
この生駒之助が仕事中に恋人の恋絹に会っていた隙を突かれて
環の宮を攫われてしまったのですよ。…どっかで聞いたような話だな(苦笑)
薬屋さんに身をやつしての道行でした。
しかし身重の恋絹さん、旅に出てもいいのですか??
《一つ家の段》
お待ちかね、鬼婆の段
ひそかに某CMの顔がカパッと変わるのを見られるのかと期待していたのですが
ちょっと違いました。もともと怖い顔してるんだよね~。
途中、もっと怖い顔になりましたけどアレではないのだ。
ていうか、鬼婆だと思っていたら実は人間でした。
安倍頼時の妻・岩手。安倍家再興の野望を胸に秘めた老女。
再興に備えてお金を持つ旅人を襲って殺害・強奪・貯金する毎日。
そう言えば《環の宮明御殿の段》でも貞任&宗任兄弟がそんなことを言っていましたね。
そして件の攫われた環の宮さまはこちらにいるのでした。
天皇の弟である環の宮を奉じて奥州に安倍家による独立国家を作り上げようという魂胆。
が、肝心の宮さまの口がきけません。
この病には“胎児の生き肝”が特効薬ということで妊婦を待ち続ける岩手。
そこへ現れたのが生駒之助&恋絹のカップル。
恋絹は身ごもっていますよ!
実はこの二人、攫われた環の宮を探す密命を受けているのです。
知らず知らずに宮さまのすぐ側までたどり着いていたのです!
が、そうとは知らない生駒之助“妊婦にいい薬”をもらいに
恋絹を置いて岩手と一緒に外出。
そして案の定、岩手だけが帰ってきます。
さあ! 惨劇の始まりです。
恋絹を襲い、胎児を取り出し生き肝を取り出す岩手。
この前にも旅人の腕をもぎ取って財布を奪って殺害している岩手。
なんじゃ、こんなことを正気でできるのがニンゲンなのか?!
よけい恐ろしいわ!
こんな残虐な日常に誰も疑問を抱かないのか?
再興への執念とは凄まじい…
と思っていたら、意外な事実が発覚!
なんと、この環の宮は偽者。
さらにこの誘拐に荷担し、この家に同居していた侍女が実は男だったのです!
女から男へのぶっかえりを見られるとは思いませんでした!
全部、朝廷側の源義家の計略。
はあ~? 岩手じゃなくともビックリしちゃいます。
もちろん宮さまがしゃべれない云々はウソ。そもそも偽者だ!
しかも、しかもですよ。
恋絹は生き別れた岩手の実の娘だったのです!
ええ?! ナンダソレ?!
自分がしたことはなんだったのか?!
さらに我が娘を殺害してしまったショックで谷底へ身を投げる岩手。
仰天展開の興奮覚めやらぬ中、文楽では珍しいセリを使った場面転換。
《谷底の段》
セリあがると岩手が身を投げた谷底。
そこには岩手の死体が…というスプラッタな場面ではなく(当然だ)
安倍家の残党が潜んでいるのでした。
どうやら環の宮(結局偽者だったわけですが)誘拐と当時に盗んでいた
宝剣が隠されているもよう。
それを取りに乗り込む生駒之助たち。
《環の宮明御殿の段》での義家への恩に報いるためあっさり宝剣を返し
後日の対決を約束するみんな、で幕。
…大団円?
ううむ。安倍家の女性に容赦のないお話だ…
袖萩はもともと安倍家の人ではないけど夫が安倍貞任だし
貞任の母・岩手は自害
岩手の娘・恋絹は母の手により惨殺されています。
いや、そもそも「環の宮誘拐」が策略であるならば
仗直方が腹を切る必要もないわけで
そしたら袖萩はもう少しいい結末になったのではないのか?!
けっこうヒドイ奴だよ源義家。
貞任&宗任兄弟と再会を約束した時は爽やかなイイヤツと思ったが
実はそうじゃないんだな。おそるべし、義家。
このお話を書いたのは近松半二。
この『奥州安達原』以外にも『本朝廿四孝』や『妹背山婦女庭訓』など
「実は~」な入り組んだお話を創るのを得意とした方だそうです。
ほうほう。なるほど。
会場:国立劇場小劇場
久しぶりの文楽です。
先月『亀治郎の会』に行った時にチケットゲット
なぜか昼の部がほぼ完売していた(口上があるから?)のに、夜の部はあったんですよね。
私は夜の部が観たかったのでちょうどいい! と即購入したのでございます。
『奥州安達原』の三段目・四段目の上演です。
以前「安達原って言ったら鬼の話でしょ?」と観に行って
「あれっ?」なことになった演目です。
今回はその「鬼の話」である《一つ家の段》が上演されるので張り切って参上!
最近、居眠り癖がついているので(はよ治せそんな癖)
イヤホンガイドに頼りました。
が、やっぱ寝るもんは寝るんですよ… ←ダメすぎる
■ 奥州安達原
《朱雀堤の段》
この《朱雀》“すざく”って読まないんですよ。ビックリですね。
じゃあなんて読むのかって言うと忘れたんですけど。…ガッカリですね(苦笑)
ええと、この段は前振り&登場人物紹介でございました。←乱暴な説明
《環の宮明御殿の段》
いわゆる“袖萩祭文”ですね。
これは以前に亀治郎さんの袖萩&安倍貞任で観ました。
そのとき同様、浜夕&お君ちゃんに泣かされたのでした。
歌舞伎で観た時はぶっかえりがあったのですが、文楽でもあるのだろうか?
とワクワクしていたのですが、ええと…あったんだったかな?(あったと思う)
ここの記憶が吹っ飛ぶくらいスペシャルなぶっかえりがこのあと控えていたのでした。
《道行千里の岩田帯》
《朱雀堤の段》にも出てきた生駒之助&恋絹のカップルの道行です。
この生駒之助が仕事中に恋人の恋絹に会っていた隙を突かれて
環の宮を攫われてしまったのですよ。…どっかで聞いたような話だな(苦笑)
薬屋さんに身をやつしての道行でした。
しかし身重の恋絹さん、旅に出てもいいのですか??
《一つ家の段》
お待ちかね、鬼婆の段
ひそかに某CMの顔がカパッと変わるのを見られるのかと期待していたのですが
ちょっと違いました。もともと怖い顔してるんだよね~。
途中、もっと怖い顔になりましたけどアレではないのだ。
ていうか、鬼婆だと思っていたら実は人間でした。
安倍頼時の妻・岩手。安倍家再興の野望を胸に秘めた老女。
再興に備えてお金を持つ旅人を襲って殺害・強奪・貯金する毎日。
そう言えば《環の宮明御殿の段》でも貞任&宗任兄弟がそんなことを言っていましたね。
そして件の攫われた環の宮さまはこちらにいるのでした。
天皇の弟である環の宮を奉じて奥州に安倍家による独立国家を作り上げようという魂胆。
が、肝心の宮さまの口がきけません。
この病には“胎児の生き肝”が特効薬ということで妊婦を待ち続ける岩手。
そこへ現れたのが生駒之助&恋絹のカップル。
恋絹は身ごもっていますよ!
実はこの二人、攫われた環の宮を探す密命を受けているのです。
知らず知らずに宮さまのすぐ側までたどり着いていたのです!
が、そうとは知らない生駒之助“妊婦にいい薬”をもらいに
恋絹を置いて岩手と一緒に外出。
そして案の定、岩手だけが帰ってきます。
さあ! 惨劇の始まりです。
恋絹を襲い、胎児を取り出し生き肝を取り出す岩手。
この前にも旅人の腕をもぎ取って財布を奪って殺害している岩手。
なんじゃ、こんなことを正気でできるのがニンゲンなのか?!
よけい恐ろしいわ!
こんな残虐な日常に誰も疑問を抱かないのか?
再興への執念とは凄まじい…
と思っていたら、意外な事実が発覚!
なんと、この環の宮は偽者。
さらにこの誘拐に荷担し、この家に同居していた侍女が実は男だったのです!
女から男へのぶっかえりを見られるとは思いませんでした!
全部、朝廷側の源義家の計略。
はあ~? 岩手じゃなくともビックリしちゃいます。
もちろん宮さまがしゃべれない云々はウソ。そもそも偽者だ!
しかも、しかもですよ。
恋絹は生き別れた岩手の実の娘だったのです!
ええ?! ナンダソレ?!
自分がしたことはなんだったのか?!
さらに我が娘を殺害してしまったショックで谷底へ身を投げる岩手。
仰天展開の興奮覚めやらぬ中、文楽では珍しいセリを使った場面転換。
《谷底の段》
セリあがると岩手が身を投げた谷底。
そこには岩手の死体が…というスプラッタな場面ではなく(当然だ)
安倍家の残党が潜んでいるのでした。
どうやら環の宮(結局偽者だったわけですが)誘拐と当時に盗んでいた
宝剣が隠されているもよう。
それを取りに乗り込む生駒之助たち。
《環の宮明御殿の段》での義家への恩に報いるためあっさり宝剣を返し
後日の対決を約束するみんな、で幕。
…大団円?
ううむ。安倍家の女性に容赦のないお話だ…
袖萩はもともと安倍家の人ではないけど夫が安倍貞任だし
貞任の母・岩手は自害
岩手の娘・恋絹は母の手により惨殺されています。
いや、そもそも「環の宮誘拐」が策略であるならば
仗直方が腹を切る必要もないわけで
そしたら袖萩はもう少しいい結末になったのではないのか?!
けっこうヒドイ奴だよ源義家。
貞任&宗任兄弟と再会を約束した時は爽やかなイイヤツと思ったが
実はそうじゃないんだな。おそるべし、義家。
このお話を書いたのは近松半二。
この『奥州安達原』以外にも『本朝廿四孝』や『妹背山婦女庭訓』など
「実は~」な入り組んだお話を創るのを得意とした方だそうです。
ほうほう。なるほど。
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