なぜ殺すのか?それが生きてる証明だから??:舞台 殺意の衝動

最近は原作付きとか
ミュージカルとか
その両方とか
すっかりオリジナル脚本のストプレから遠ざかっていましたが
久しぶりに観てきました。

役者めあてで!
初めて拝見する演出家の作品。
吉と出るか、凶と出るか?!


殺意の衝動~なぜ殺すのか?それが生きてる証明だから~

日時:2015年6月5日(金)19:00(4列目上手)
会場:全労済ホール/スペース・ゼロ
脚本・演出:鄭光誠
原案:朴亞由美
舞台美術:宮坂貴司
舞台監督:田中翼/大友圭一郎

羽水猛(フリーター):村井良大
有沢貴志(刑事):平野良
高嶺麗奈(ヤリ手の社長):外岡えりか
筧憲男(運び屋):宮下雄也
月島翔(総合格闘家):磯貝龍虎
天野陽子(記者):鳥羽まなみ
上村聡(中学校教師):才勝
鶴川泰助(会社員):及川いぞう


目覚めるとそこは脱出不可能な密室内。
そこには見知らぬ男女がいた。
なんのヒントも指示もない中、集められた共通点に気付く。
しかし正解を知る者はなく、憶測の中、突如行われていく殺人。
無差別殺人が行われる密室内で迎合される死の概念。
犯人は誰なのか? 何故殺されるのか?
死の概念とは? その先に生まれるものとは?


と、公式HPでは紹介されています。
ん? 「死の概念」?
そんな話していたかな??

ざっくりした感想としては

なんだこの話?! 役者はよかったのにもったいない!

って感じです。
まあ、あらすじ読めばわかるとおり
密室で無差別殺人が起こることを前提とした物語なので
好みがわかれるんだろうな、とは思っていたんですが
それ以前の問題だった、というオチ。

まずは良かった点を。

役者は良かった!
村井くんと平野くんが共演するって言うから
演技バトル! と燃え上がってチケット取ったんですが
それは期待通りでした。


●羽水猛:村井良大

ペダステ、真田十勇士、八犬伝で拝見。
初めての会話劇。しかも密室! 基本出ずっぱり!

過ちと虐められていた過去がトラウマとなり
“普通”にあこがれるフリーター。
そのトラウマと密接に関わる先輩とともに密室に閉じ込められ
徐々に常軌を逸していく役。

オドオド怯えたり、急に断言したり
ふり幅の大きい役でしたが、さすがの安定感。
衣装のせいか役柄のせいか、やたら幼く見えました。
大人になりきれないまま成長してしまったって感じが伝わってきました。
後半の平野くんとの怒涛の演技合戦は見ごたえあり。


●有沢貴志:平野良

戦国鍋で見かけて、このひとを生で観たい! と思い続けて数か月。
ようやく念願叶いました!!

スーツ姿とハキハキした口調が素晴らしい。
不思議な声~。
聞き取りやすくて独特の深みのある声でした。
スーツ姿が似合っていて
途中、上着を脱いで腕まくりした姿もカッコよかった!

刑事だから暴走しがちな周囲をなだめる役割で
知的で人あたりのいい落ち着いた役。
だけど過去に発砲事件で容疑者を射殺しているので
もしかして見た目通りのひとではないの? と思わせる人物。
ラストの畳みかけるようなセリフの嵐とあの表情は凄かった。


●月島翔(総合格闘家):磯貝龍虎

ハンサム落語以来。
ひとつの役に取り組むのを観るのは初めて。
っていうかハンサム落語が異色なんだよな~(笑)

このひとはもっと引きだしあると思う。
だけど、格闘家という役柄ゆえの単純な思考で
脊髄反射な行動をする人物に徹していたのかな? と思うとスゴイな。
長身を生かした説得力のある役でした。


●筧憲男(運び屋):宮下雄也

今回初めて観たんですが
当分観たくない…と思うくらい凄かった(褒め言葉)
すごくイキイキしていたので本人は楽しんで演じていたに違いない。

村井くん演じる羽水の学生時代の先輩。
虐めていた張本人。
現在は何か(おおっぴらにはできない物)の運び屋。
非常にわかりやすく嫌なヤツでした。
すぐ暴力に訴えるとこ直した方がいいよ…


以下、ネタバレします。
まあ千穐楽公演終了しているから大丈夫かな?
DVDの発売日を待っている方は回避願います。

あと、主に「どうなの?」って思ったことについてなので
あんまり褒めませんので
この舞台を楽しんだ方は読まないほうがいいです。


まず全労済ホール/スペース・ゼロの個性として
舞台と客席の配置をある程度変えることができるので
今回、変則的でした。

コの字型のセンターステージで
舞台の両サイドにも客席がありました。

そんなことは知らず
4列目だから双眼鏡いらねーやと持参しなかったのは失敗でした。
私の席は正面4列目でしかもかなり端だったので
舞台まで斜めの対角線で観ることになるので予想より遠かった。
そして細長く奥行きのある舞台だからさらに遠い。

しかも舞台の高さがない(10~20センチくらいの段差)ので
役者がしゃがんだり倒れたりすると見えない。
たぶん1列目(辛うじて2列目)のひとしか見えなかったと思う。
舞台に大きなテーブルがあったのも結構な障害物で
テーブルの向こうで何かが起こると見えない。

うん。双眼鏡以前の問題だった(笑)

こういうのって誰が考えるの?
監督? 舞台監督とか舞台美術ってひと?
テーブルはともかく段差はもっと作ってほしかったです。

そんなわけで幕はなし。
暗転が幕開け。

明るくなるとテーブル前の床で女性が仰向けで倒れて
傍らには片膝をついたスーツ姿の男性(平野良)。
それを遠巻きに見ている6人の男女。

さっそく殺人事件?
あれ、いやだよ。平野くんが犯人かい?

心配していると平野くんが
後にわかる羽水猛村井良大)の先輩(宮下雄也)に向かって

何故こんな事をした
殺す必要はなかっただろう


的なことを言って一安心。
いや、平野くんが犯人じゃなかったという点においてですが(笑)

そう言われても動じない先輩
お前達もこの女の事をウザいと思っていたはず
とかなんとか言い返す。

ひとを殺しておいてこの言いぐさ!
このひとは終始こんな感じ。
何かあれば「殴ればいい」「殺せばいい」とテキトーすぎる。
いかにもそんなことを考えそうなキャラ造形をしている宮下さん。
実に憎たらしい(褒めてます)

ここでの流れで村井くん演じる羽水くんと先輩の関係と
羽水くんの過去の犯罪が明らかになります。
イジメの主犯だった先輩の指図で
羽水くんは布袋を被った男性の頭を水に押しつけて殺しているという
思った以上にヘヴィーな過去でした。

先輩がペラペラしゃべるんだよ。みんなの前で。
デリカシーがないとか、もうそういう次元じゃない。
仕向けたことに対する反省とかないのね?
そんなだからここでも殺人できるのか。

最初の殺人に至るまでに何が起こったのか?

平野くん演じる刑事の提案でこれまでの流れを整理し
もう一度冷静に解決策を話し合うことになり
場面が数時間前にさかのぼる。

この流れは面白いとおもいました。
最初の事件を先に見せて
経緯をあとに見せてもらえるのはいろいろ考えられていいですね。

彼等は知らないうちに何者かにこの場所に運ばれ
気がついたらこの密室にいた、という設定。
次々と目を覚ますところから始まります。

誰もどうやってここに来たのか
どうしてここにいるのか
ここがどこなのかもわからない状態。
ついでに連れ去られた状況の説明もナシ。

なんかあるでしょ?

部屋で寝ていて目が覚めたらここだった、とか
ここに来る前に飲み食いしたものに薬が?! とか
ムリヤリ拉致監禁、とか。

誰もなんも言わんのよ。どうなん? それ。
おまけにそんなに驚いていないし。

こっちは
既に死んでんじゃねーの? (僕らはみんな死んでいる♪的に)
既に死んでんじゃネーの? (ガンツ的に)
この中に仕組んだ犯人いるんじゃねーの?
監視されてんじゃネーの? (ソウ的に)
生き残れば賞金が出るゲームじゃねーの? (インシテミル的に)
全員記憶喪失?
とかいろいろ考えてんのにそういう検討も一切なし。

全員の意識が戻ったら舞台奥の扉が開いて
冒頭で殺されていた天野陽子鳥羽まなみ)登場。

彼女により
ここは完全な密室で他にはもう一部屋あるだけで
出口はどこにも無い
ことが明らかに。

トイレは? 水場もないの?
ダクトとか通気口もありそうだけどそれには触れないのね。
出口はないわけないと思うんだけど。
入ってきたんだからなんかあるだろ。
にょきにょき生えてきたわけじゃなかろーに。
出入り口はあるけど開かないってこと?(そうは言ってなかったが)
窓は? 地下室なの? 地下なら階段あるか。ないなら違うのか。
それって建築法的にどうなの?

もう一部屋しかないという割には
出て行った人がなかなか帰ってこないから
もんのすごく長い廊下で繋がっているんだろうか? と妄想した。

あとケータイ等所持品は取り上げられている設定。

この女性がやたら事情通で
ぺらぺらと状況や登場人物の設定を話してくれるんですが
またこれが「確かにウザい」と頷けるキャラ(笑)

声高に高圧的に合ってんだか間違ってんだかわかんないご説を押し付けて
言いたいこと言いまくる記者
なるほど。
ゲスいことを調べて突撃して周囲に迷惑をかけまくる様子が思い浮かぶ。

どうやら世間では“無差別監禁連続殺人事件”が起こっているらしい。
この“事件”で監禁されたひとたちは
過去に何らかの罪を犯しているひとが一か所に集められ
殺し合いをさせられて別の場所に運ばれているのでは?
と推測されているそうな。

それって無差別じゃないよね?
犯罪歴あるひとが集められている時点で何らかの意図を感じますが?

犯罪者に制裁を加えている点が
世間から“正義の裁き”と言われている、と聞いたときは
「デスノートか?」と思いました。
まあ、不可抗力で犯した罪も許さないようなので
夜神月より雑な犯人だなと即判明。

これも“無差別監禁連続殺人事件”であれば
ここにいる人たち全員、犯罪者じゃないといけないことになるが?

そこは女性記者がベラベラ暴露してくれたので無問題。

有沢貴志平野良)は捜査一課の刑事だけど
窃盗して逃走中の犯人を射殺。後に発砲許可がなかったかも? と問題に。

高嶺麗奈外岡えりか)はヤリ手ゆえに強引な手段で
取引先に損害を与える方法で恨みを買っている社長

筧憲男宮下雄也)は
弱い後輩を操って…とは別に、ブツを運ぶ悪いひと。

月島翔磯貝龍虎)は格闘家
成績不振の八つ当たりで一般人に暴力をふるい怪我をさせて謝罪・賠償なし。

上村聡才勝)は
イジメ問題の対応を誤ったため自殺者を出してしまった中学教師

鶴川泰助及川いぞう)は
会社の人事部でリストラした元社員を自殺に追い込んでいる。

天野陽子鳥羽まなみ)は記者ゆえの行き過ぎた調査で
犯人だったひとを追いつめて自殺に追い込んでいる。

って、オイ。
記者はここでもまた同じ罪を重ねようとしているのか(呆)
自分のせいで自殺者が出ていることを反省してくれ。
相手が犯罪者でもオマエが断罪する資格はないんじゃないのか。
なんの権利があってベラベラしゃべるんだ。

もー、殺されてもしかたないなこのキャラ。
解説終わったから用済み、と脚本家に殺されたとしか思えない。

実際、説明が終わると
テーブルの上にあった燭台で先輩に撲殺されて退場。
それはもう見事なフルボッコ。
あんな殺され方だとは思わなくてヒイた。

そして冒頭の場面へ。

さすがに遺体をそのままにはできないので
刑事が主導してもう一つの部屋へ運んで
記者が言った通り出口がないのかどうか一応捜索。
見つけたのは床下の血痕
みんなの犯した罪の詳細が書かれた書類(真偽・詳細は不明)。

この書類も特に検討もしないので
何で出したんだ? って程度の小道具でした。
そもそも全員分あったのかどうかもわからなかった。

血痕が見つかったことで
ここが“無差別監禁連続殺人事件”で使われた場所で
一連の事件の続きであると確信して
この中に事件の犯人がいるのではないかと推測。

うーん。そうかな?
血痕は見ただけでは何の血だかわからないから偽装可能だし
この中に犯人がいるとは限らない。

どこかで監視しているかもしれないじゃん?
つうか
この人数を騒ぎを起こさずひとりで移動・監禁って難しくないか?

先輩みたいな血の気が多いひとがいたら
自分の身も危険にさらされるのは間違いないから
頭が良いという犯人ならこの中には入らないと思う。

記者の推理で一連の犯人は
理知的で賢い、みたいなことを言われていて
それをみんな鵜呑みにしていたんですよね。
それも合ってんのかどうかわかんネーなと思った部分です。

人事部鶴川の提案で
テーブルの上のパンを食べて犯人捜しをすることに。

あ、テーブルの上にはワインボトル1本
人数分のパングラス果物ナイフ1つが置いてあったんです。
この状況で果物ナイフをずっと放置してるのも疑問に思った。

パンの中に毒が入っているなら犯人だけは食べられないはず
つまり、食べなかった奴が犯人だ! ということらしい。

一斉にパンを口に運んだ7人。
しかし実際に食べたのは格闘家だけ。

それを見て
毒が入りかもしれないパンは普通なら食べられない
食べられるのはどれが毒の入っていないパンかわかる犯人だけ!

と格闘家を追いつめる人事部(ドヤ顔)。

え!? 食べなきゃ犯人で食べても犯人なの?!
なにそれ魔女裁判か(呆)

だいたい見た目が同じパンで
どれに毒が入っているとかわかるわけないじゃん。
見わけがついたとしてもテーブルの上に放置されているパンだよ。
誰かが悪気なく触ってよくわからなくなる可能性だってあるわけだ。
そんな危ない橋渡れないよね普通。

そもそも毒入りかも、ってだけで
ホントに毒入りかどうかはわかりゃしないんじゃん。
根本があやふやなのにそんな根拠のない提案されてもねぇ。

誰か反論しろ。
誰かが何か言ったらそれが決定事項になる流れに終始違和感。

で、まあ案の定、格闘家が切れるわけですよ。
脳筋キャラですからね。
嵌められたも同然ですから誰だって切れると思うし。
テーブルの上のナイフを持った格闘家を止めようと刑事が押さえ
それに助勢した中学教師がナイフを取り上げ
もみ合っている間に、はずみで格闘家の腹にナイフが刺さる。

この舞台は基本、殺されたらもう一つの部屋に運ばれます。
たいてい刑事さんが合掌してから上半身を持ち
ほかの誰かが足を持って運びます。
身体の大きな格闘家も例外ではありませんでした。

中学教師は殺人のショックで錯乱状態になり
頭を冷やすために別室に行くと言ってその後、首つり自殺。

順調に人が減ります。
この舞台は90分ですからね。
さくさく殺されますよー。

残ったメンバーが
それぞれアヤシイと思う人物を指摘していくんですが
いや、ここに犯人いるって前提だけど
いるって確証もないんだよね?
ここにはいない、という選択肢も思い出してくださーい。

もっと揉めない方向で
みんな仲良く助かるような提案するひとはいないのか?

そんな根拠の薄い犯人あての最中に
人事部と若き女性社長の間に因縁があったことが発覚

そもそも人事部がリストラ対象者を
追いつめる仕事をする羽目になったのは
女社長の会社との取引を契約直前で反故にされたため
経営が立ち行かなくなったのがきっかけ。

女社長がまともな対応をしてくれれば
リストラが必要になることもなく
リストラされた元社員が死ぬこともなかったのだ。

何よ、金?! とか逆切れする女社長に
謝罪を求める人事部。
「どーもすいませんー」とふて腐れた口先だけの謝罪が出たとき
奥の扉がバーンと開いて死んだはずの格闘家が乱入

よくも嵌めてくれたな~
という恨みで化けて出た、というわけではなく
単に死んでなかったようです。

うん。腹刺されただけで死ぬのかな? って疑問だった。
でも捜査一課の刑事が遺体を運んでいるわけだし
生きていることに気づかないってことはないだろ、と思って流したんだけど
やっぱ死んでなかったか~。

華麗に再登場した格闘家でしたが
人事部を刺し殺した後
先輩に念入りに殺されて再び退場。もう蘇りませんでした。
おい、何しに出てきた。人事部を殺すためだけか。

脚本が安直でいけないよ。
推理物のセオリーのひとつに
死んだと思っていた人物が実は犯人、ってのがあるから
このパターン? と考えていたのでガッカリだよ。
自殺した中学教師なんてドンピシャ! と思ったんだけどなー。
単に自殺しただけかよ!

なんかさー
W主演の二人を残すことを前提に考えましたー
ってのがミエミエなのが残念ですねー。

これで残ったのは
平野くんの“刑事”と村井くんの“後輩
女社長”と“先輩”。

はい、次に死ぬのは社長ですね。

この社長もなー、ヤリ手だっていう割には
ここでは「じゃあどうするのよ?!」と喚くばっかりで
ちっとも有能なところをみせない。

誰かが何かを言うと「そうだそうだ」と追従して
それが外れると「あんたがそう言ったんじゃない!」と追いつめるだけ。
ちっとは自分で考えてくれ。

これは脚本がそうなっているからそんなキャラになっているだけで
演じる役者さんには罪はないと思います。

演じていたのはアイドリングというアイドルのひとだったようですが
思っていたよりずっと上手かったです。

若くして成功した女性って
老獪な相手に負けないよう虚勢を張っていることもあるだろうし。
わけもわからず監禁されて、目の前でどんどん人が殺されて
怯えを隠して人前では気丈に振る舞う。
舞台上に一人になったときに見せた表情が良かった。

で、そんな社長に危機が!

二人の遺体を運ぶため“刑事”と“後輩”が
別室に行っている間に
“先輩”が“女社長”に後ろから抱きついて
お前のような気の強い女がタイプ」とかなんとか囁いて
テーブルの上に押し倒す。

あるだろうなと思っていた展開です。
そのためのこのメンツ、って気がする。

しかし動じない社長。
虚勢を張った小心者」と先輩を罵る。
かっこいいけど

あー、そんな図星をついちゃあ…

案の定、怒り狂った先輩が
社長を床に倒し殺害。撲殺だか絞殺だかわからん。
テーブルの向こうの出来事だったので見えませんでした。

この舞台、音が極端に少なくて困りました。
密室劇の緊迫感を出すためにあえての演出かもしれませんが
これだけ見えにくいんだから音の情報も欲しかった。

殴ったら殴る音くらいはサービスしてくれてもいいのに。
役者が呻くから「当たったのか」とわかるけどさー。

そこへ後輩と刑事が戻って来るんですが
この時だけやけに戻るまで時間がかかっているのも
ご都合主義だなーと思った。
殺害終了を待ってから戻りましたーって演出がミエミエ。

で過去に虐められていたことを恨み続けていた後輩が
こっそり隠し持っていたナイフで先輩の背中をメッタ刺し。
何度も何度も。

どこかで先輩が言っていた
「油断するのがわるい」を流用した決め台詞がステキでした。

あと、初演の八犬伝で小文吾を演じたときの村井くんの
弟妹の仇を討つときの執拗なメッタ刺しが凄かったという話を思い出した。
こんな感じだったのかな~。

それを止めずに見ていた刑事が
君が犯人だったんだね」と声を掛ける。※1

ここから平野・村井両者の演技バトルのゴングが鳴ります!

もちろん後輩・羽水は否定しますが
時々自分が何をしているのか分からなくなる
と言い出した!

中学時代の“先輩”からイジメを受け
コイツを殺せば解放してやるという言葉を信じ
頭に布袋を被せられた一人の学生を言われるがまま水に押さえつけ
溺死させてしまった。

その学生と言うのが
当時自分を唯一庇ってくれていた優しい先輩だったことを
殺してから知ったショックで精神を病んだらしい。

それ以来
“普通”に憧れ“普通”に過ごそうとするが
周囲からはそうは思われず
うまくいかないと悩み苦しんでいると告白。

うーん。その“普通”って何?
“普通”の定義ってひとによって違うから
そんなこと悩むなよ~
誰だって似たようなこと考えたとこあると思うよ~
と励ましたくなった。

羽水くんが言いたいのは
ひととコミュニケーションをうまく取れない
ってことなんだろうけど
いや、キミかわいいからわかってくれるひと、現れるよきっと!
優しいひとと出会うとうまくいくと思う!
と声を大にして言いたい!

村井くんが演じる羽水くんは愛らしかったです(真顔)

あれなら優しくしてくれるひとが現れてもおかしくない。
その優しさからいろいろ学べばうまく行きそうな気がする。
羽水くんは素直だからできるよ、きっと。

なんか袖とか裾とか長めのパーカーを着ていたんですが
それが恐ろしく似合っていて可愛かった。
薄手で細身のデザインだったから
頼りなげなほっそりした子が萌え袖でモジモジしてるとか!
バイト先にこんな子いたら守りたくなるひといるだろう?!

事情がわからず監禁仲間と顔を合わせた冒頭
いち早く“先輩”に気づいた羽水が顔を隠すため
パーカーのフードを被っていたんですが
それもまたヨシで。
この村井くんを見られただけでチケット代の半分はモト取れたかも(笑)

今から考えると袖のモジモジには何か意味があったかもしれない。
してるときとしてないときがあった。
“先輩”と対峙しているときやストレスを感じているときに
モジモジさせていたのかも。
そこまで考えて見てなかったけど。

私が羽水くんの可愛さについてぼんやり考えている間に
“刑事”は持論を展開していきます。

良い先輩を殺してしまった後悔とイジメのトラウマから
羽水の人格が分裂し
もう一方の人格が今回の事件を起こした
と断定。

ん? 二重人格ですか?
うーん。突飛ですねー。ちょっと私には納得できなかった。

ので、ここらへんの内容はあんまり覚えていないんですが

殺人をする前の自分に戻りたい気持ちが殺人を繰り返すのでは?
みたいなことを言われ
中学のときの殺人で
自分は死んだも同然で他人を殺した時だけ自分は生きていると実感できる

みたいな返答をしていました。

それが副題の
なぜ殺すのか?それが生きてる証明だから
なんですかね。
ピンと来ませんが…

でも、ここの平野くんと村井くんのやりとりが白熱しているので
引き込まれて観ていました。
言っている内容は改めて考えると「む??」と思うんですが
役者さんを通して聞くと無理なく聞こえてくるから凄い。
このふたりの凄まじい説得力…っ!

やがて刑事は
羽水くんが殺してしまった優しい先輩の母親に会ったことがあると言い
君は会ったことがあるのか」と問いかける。

会えるわけがない」と否定する羽水くんに
母子ふたりで支え合っていた家庭」とか
将来は母親を楽させたいと言う優しい子だった、と話していた」とか
傷口に塩を塗りたくるような発言をする刑事。Sか。ドS刑事なのか。

いっしょに行くから母親に会いに行こう」と声をかける刑事。

いや、それだけ聞くと親切っぽいけど
実際は羽水くんのこと追いつめているから。

雑誌に『犯人を殺してやりたい』って書いてあった」と怯える羽水くん。
会えたら『君を赦すと伝えたい』と言っていた」と刑事。
信じようとしない羽水くんに
雑誌と直接会った僕とどっちを信じるんだ」と追いつめる刑事。

なんでそんなに会わせたがるんだよ~?

会いになんか行けない。先輩は許してくれない」と尚も首を振る羽水くん。
じゃあ、先輩に聞いてみればいいよ。キミならできる」と刑事。

どう、やって…

私も羽水くんと同じでポカーンとしてしまいました。
死んだはずの先輩に聞くって意味がわからん。
刑事さん、何を言い始めた?!

羽水くんの耳元に顔を近づけ何事か囁き
部屋の向こう側で聞こえた物音を確かめるために出て行く刑事。※2

と、簡単に書いていますがこの場面
跪いた羽水くんが刑事さんの両手首をつかんで
縋るようにやりとりしている
んですよ。

完全にこの場を支配している刑事。

耳元で囁いたときも
羽水くんの手を振りほどかず
そのままの状態で身をかがめて顔を近づける
、という

その構図ナニー?!

と動揺する構図だったので心穏やかじゃありませんでした(笑)

私が動揺している間に
刑事がテーブルに置いていったナイフを手に取り
思いっきり自分の胸に突き刺す羽水くん。

へっ?!
あっ、さっき刑事さん何言ったんだ?!


構図に夢中で耳打ちした内容に全く興味を持っていなかった(笑)

ええと、「先輩に聞いてみればいいよ。キミならできる」のあとか。
死んだはずの先輩に聞く?
どうやって??

思いつくのは…イタコ
もしくは彼岸へ行く

「キミならできる」ってことは
分裂症のひと=憑依 だと思ってるとかそんなオチ、じゃないよね?
違うな。
羽水くん自分で胸刺しているもんな。
彼岸へ行くことを薦めたのか。なんだそれ、悪魔か?!

死んじゃえばいいんだよ

とか言ったんですかね?

恐山に行けばいいんだよ

だったら面白いんですけどね。
恐山はイタコのメッカ。
イタコ説を捨てられない私。

しかしもう羽水くんは絶命しているのでした…

そこへ戻ってくる刑事。
脱いでいた上着を再び着用しています。
その姿もステキだけど、ベストに腕まくりも捨てがたいな。

テーブルまで歩いてきて
倒れた羽水くんを助け起こすでもなく脈を確認することもなく
「毒なんて入ってないのにね」とばかりに
パクリとパンを食べる刑事。

えっ?! そのパン、さっき床に落ちてたのもあったけど
ちゃんとキレイなの選んだ?
パンを拾い集めたの刑事さんだから大丈夫なんだよね??

と的外れな心配をする私に向かって(注・私に向けたわけではない)
微笑む刑事

っっっ!!! そこでその表情?!
と度肝を抜かれていると暗転して閉幕。

ここで終わるのかーっ!

という衝撃的な笑顔でした。
これがもう綺麗な微笑みなんですよ。
いや、悪~い笑顔なんですけどね。
なんとも言えない美しさでした。

この微笑みが見られただけで来た甲斐あったわ!

なんかいろいろツッコミどころあったけど
この笑顔に至るまでの前フリだったと思えばどうでもいいな!
とカーテンコールの拍手をしていたのですが

いや、どうでも良くはないな!

と座席を立った途端に思い直した(笑)
ええと、整理してみようか。

最後の刑事さんの笑顔、あれはこれを仕組んだ黒幕だからだよね?
じゃあ“無差別監禁連続殺人事件”の犯人なのか?
そうではないよね?

今までの“無差別監禁連続殺人事件”は
羽水くんの分裂した人格が起こしていたって刑事さん言っていたよね?
そして羽水くんも認めていたよね?
それが「他人を殺した時だけ自分は生きていると実感できる」に
繋がっていると捉えたんだけど間違ってる?

もし間違っているとしたら刑事さん
羽水くんの他の殺人を見逃していることになるのでは…
犯人の羽水くん死亡させたら未解決になるじゃん。
いや、羽水くんが“無差別監禁連続殺人事件”の犯人だったとしても
犯人を見逃していることには変わりはないけど。

羽水くんが“無差別監禁連続殺人事件”の犯人だと知っていたなら
なぜ普通に逮捕しなかったのか??
手柄をフイにしている上に事件を未解決で終わらせてしまっている。
どういうことだ???

ここに刑事さんのキャラの複雑さが見えるんですよね。

おそらく刑事さんは義憤に駆られて
法的には裁けない人に制裁を下そうと以前から考えていたところに
“無差別監禁連続殺人事件”が起きたので
それを利用する形で今回仕組んだんだじゃないかと。

つまり模倣犯ですね。

刑事という立場上、被害者や加害者の情報は入手可能だったろうし
集められたのが直接的に殺人を犯したひとより
「追いつめて」相手を死に追いやったひとが多いのも
法では裁けないというポイントで選んでいるからだと思えば納得。

羽水くんに関しては
分裂症であれば逮捕しても法的に裁くのは難しいですからね。
だからあの結末になるのでしょう。


な・ん・て・な!

できるだけ脚本にそって辻褄を合わせようと考えたけど
もう限界。
上のが合っていたとしても舞台での説明が不足しすぎてて
どうにでも妄想できるから自分ですごいコジツケテルナーって思った。
すっごい疲れた。

ハッキリ言おう。
この脚本も設定も穴だらけだ!

トイレも窓も出入口もない部屋はもう部屋ではない!
箱だハコ!
ハコにあんな立派な扉がついているのがもうオカシイ。

出入口なかったら入れないんだから絶対あるんだよ。
もっと必死に探せ。

見える部分に出入口がないなら隠されているんだよ。
忍者屋敷のようにクルリと回転する壁があったりするんだよ。
バンバン叩いて探さないとダメじゃん。

え? もう一つの部屋でバンバンしてた?
全然、音、聞こえませんでしたけど?
防音がしっかりしているんですか?
じゃあなぜラストに扉の向こうから音が聞こえたんでしょうね?

そう。最大の謎がラストの物音なんですよ。

※2
羽水くんの耳元に顔を近づけ何事か囁き
部屋の向こう側で聞こえた物音を確かめるために出て行く刑事。

コレですコレ。
それまでほとんど効果音がなかった舞台でなぜか聞こえた音。
もう刑事と羽水しか残っていない状況で
動けるひとは誰もいないはずの向こう側から聞こえたのはナゼ?

誰か生きているのか?!
真犯人が入ってきたのか?!

更なる展開があるのかと期待していたら
なーんも起こらん。

それどころか物音の正体もわからん。

観ている間は平野くんの表情にすべてを持って行かれたけど
改めて考えるとあの音、ホントになんだったんだ??

刑事をいったん退出させるためのきっかけとしか思えない。

あとは帰ってきた刑事が上着を着ていたから
どこかに掛けていた上着が落ちたときの音だと思うしかないよ。
絶対、上着が落ちたような音ではなかったけど!
カチャとかカツンとか固いもの同士が当たったような音だったけど!!
あの上着には鎖帷子か何かが仕込んであるんだきっと。

そもそも犯人である刑事の“殺意の衝動”はなんだったの?
語られることがなかったよね?

刑事さんが正義の塊で悪を許せないキャラだっていうならそれでもいい。
けど、そういう情報はなかったよね?

途中、あまりにも羽水を追い込むもんだから
個人的な恨みがあるのかと思った。
羽水が殺した優しい先輩の身内、とか。
そういう具体的な理由があると印象が違うんだけど無いんだよなー。

いまいちハッキリしないから
最終的に「この芝居はなんだったの?」という印象が大きいんだよなー。

展開にもキャラクターにも意外性がないから
盛り上がりに欠けるし。

役者さんが全員よかったから非常にもったいない!

みんな「自分はこういう役!」という明確な意図を持って
演じていて素晴らしかった。
もっと役に深みがあればもっと良かったのにと思うキャラもいましたが
それは脚本のせいなので役者さんは悪くない。

観ていて高揚したのは役者さんの熱演によってのみでした。

役者さんはみんな100点満点!!


では最後に
私がこうだったらいいなーと妄想した結末を蛇足でつけます。
妄想っていうか、実際に期待した結末です(笑)

誰が犯人なのか?!
という煽りの密室劇でW主演と来れば
答えは二択だろ?
と思いながら観ていた終盤。

もう一つ可能性に気づいてしまいました。

平野くんと村井くんの共犯だったら嬉しいな!
共犯であるといいな!
共犯であるべきだ!!


※1
それを止めずに見ていた刑事が
「君が犯人だったんだね」と声を掛ける。

から展開を変えます!
平野・村井両者の演技バトルのゴングが鳴らないのは残念ですけど
それは実際に見られたから
妄想では両者の仲良しっぷりを見てみたい!
というわけで

以下、この枠内の文章は妄想になります。



それを止めずに見ていた刑事が
テーブルの上のワインボトルを開けグラスに注いで
目的達成おめでとう」と差し出す。

グラスを受け取り「これで本来の自分に戻れます」と
晴れやかな笑顔を浮かべる羽水(返り血まみれ)。


とかだったら

何それ強引! でも嬉しい~!!

と多少、辻褄があわなくても浮かれて目をつぶったと思います(笑)
いや一応、辻褄を合わせようと設定を考えてみました。

トイレや窓がないのはさすがにどうにもできないので
言わないだけでどっかにあったんだろ、ってことにして(テキトウ)

“無差別監禁連続殺人事件”を利用した模倣犯。
あわよくば真犯人に押し付けようと画策。

羽水くんの目的はもちろん“先輩”への復讐。
刑事さんも制裁を加えたいひとがいることにしよう。
誰がいいかな。

その前にもうひとりくらい共犯がいたほうがいいな。

刑事さんと羽水くんが祝杯をあげていると
奥の扉から自殺したはずの先生が登場!

それに気づいた刑事さんが振り返り
グラスを捧げて「うまくいきましたね」と美しく微笑む。


みたいな展開だったら

これだよこれ!!

と大喜びしちゃうね。
意外性のある展開が欲しいよなー。
死んだはずのひとが復活するのは単純にビックリするから。

そしたら自殺はやっぱ騙りだったってことで
先生が最適だと思う。
格闘家に襲撃された被害者の身内ってことにして。

舞台で被害者の怪我の程度は言っていなかったと思うんですが
日常生活に支障を来すくらい深刻だったら許しがたい。
反省の色が見えない格闘家に対する復讐を考えてもいいんじゃないかな。

実は格闘家を刺したのは
もみ合った結果ではなく
刑事さんと先生の連係だったのだ!
と思うと見方が変わるぜ。

その後の錯乱はもちろん演技。
自殺したと見せかけても確認するのは刑事さんだろうし
いくらでも誤魔化せる。

格闘家が死んでいないのに死体として移動させたのは
もう一働きしてもらうためだった、ということで。

あれ? 格闘家を運んだのって刑事さんと誰だっけ??
羽水くんか先生だったら完璧なんだけど
人事部だった気がするな。残念。

ついでにもう一つの部屋でこっそり格闘家を手当していてもいいな。
どうせ格闘家は先生が自殺しているはずって知らないだろうし。
ナイフを抜いて持たせて人事部を殺すように仕向ける先生。
黒いな(笑)

じゃあ刑事さんはリストラされた元社員の縁者がいいか。
直接リストラした“人事部”と
その原因を作った“女社長”がターゲット。

刑事さんと先生のターゲットは逆でも成り立ちそうだな。

あ、“記者”が余るな。
いや、こいつはどうせみんなに迷惑かけているんだろうから
刑事さんのとこにも先生のとこにも突撃してて
「ついでにコイツも」って流れになったことにしよう。

羽水くんのとこにはもしかしたら突撃していないかもしれないな。
彼のことだけ“記者”は何も言っていなかったから。

あとは

灯台下暗しなんですよ」とか言いながら
割と単純なとこに出口があって3人で外へ出る描写があったら最高!


やっぱ脱出できるかどうかが気になるんです。
登場人物たちは安易に「犯人は殺す」って行動していたけど
出入口は犯人にしかわからないんだから
殺したらいかんでしょう。

たとえ生き残ったとしても出口がわからなければ
餓死するしかないんだから。
暢気に殺し合いをするのがピンと来なかった。


以上、妄想でした。
なげーな。酷い長さだ。
ここまでお付き合いありがとうございました(さすがに誰も読んでないか?)
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プロフィール

Author:まるあ
100%趣味について。
観劇と映画鑑賞と読書が趣味。歌舞伎・三谷幸喜作品・蜷川幸雄演出・劇団☆新感線などを観に行きます。
読書はいろいろな人の感想を参考にマンガも含めて乱読中。

一個人の主観的な感想なので大多数がそう感じるとは限りません。
内容も正確を期していますが記憶を頼りにしているので必ずしも正確ではありません。
以上を了承のうえお読みいただけると幸いです。

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