オリジナリティ溢れすぎていた『里見八犬伝』

え、これが『里見八犬伝』デスカ?
私が知っている八犬伝と、かなり違うな…(呆然)
“新版”とか“深作版”とか付けるべきですよ。
そのくらい原作とかけ離れている。

馬琴先生も驚くんじゃないかな。

たしかに
登場人物の名前と
8つの珠が出てくるのと
南総が舞台だってことは踏襲していますけど
それ以外はオリジナル!

まぁ原作がとても長いお話なので
アレンジされるのはしかたないんですけどね。
それなりに覚悟して行ったのですが予想以上でした。

私は初演を観ていないんですが(阿部サダヲ主演のほうは観た)
もともとこんなにオリジナリティ溢れているんでしょうか?
気になります。


里見八犬伝(再演版)

観劇:2014年11月14日(1階3列目下手寄り)
会場:新国立劇場中劇場
演出:深作健太
脚本:鈴木哲也

あれ? 原作は? 馬琴先生の名前の表示がないようですが…

新国立久しぶり~。
とても見やすい劇場でした。

しかも席が1列目潰していたから実質2列目。
さらに通路の隣の席でイイカンジに前の列がなくて
舞台まで遮るものがない視界良好な席!

前の人の頭がない…
双眼鏡なしで役者さんの表情が見える…

実にすばらしい席でした!
しかも下手ですよ。
この舞台に関しては
下手にはあるボーナスがあるのでなおさら素晴らしく楽しい席でした!

やばい。
ちょいとヒキ気味のセンターで観劇するのがベストだと思っていたけど
こんな席を体感してしまうと
前方もいい! と宗旨替えしてしまいそうだ(笑)


あ、かなりネタバレします。
とは言え、観劇からちょっと時間が経ってしまったので
記憶があやふやになりつつあります。
こんな感じだったんだ~、とアバウトに思っていただければ幸いです。

あと原作もある程度読んでいるので
ちょいちょい原作と比較してウザいことになると思います。


いろいろ変わっていたので何から触れればいいのか悩みますが…

珠の文字の要素が欠けている人物が選ばれる
って設定はおもしろいと思います。

原作では割とみんなしっかりしていて総じて好漢。
出会ったときは険悪でも誤解が解けると
「さっきはすまん! ところで強いなおぬし」ってノリで
すぐに通じあっちゃう彼ら。

行動力も決断力もあるし。
悩むこともあるんですけどスパッと決断するひとが多いんですよね。
そこが清々しいのですが
それだと現代にはそぐわないのかな?
私は好きなんですけど。

さまざまな出会いと経験を経て
珠の文字の要素を得ていく成長譚なのだな、と期待しました。

いやまー、ちょっと、いやかなり違ったんですよね。

内容をツッこむ前に
配役とキャラの紹介をしておきます。


●孝・犬塚信乃山崎賢人

初舞台で初主演だそうです。
信乃は原作でも周りに振り回されることが多いんですが
この舞台での振り回されっぷりたるや…
なぜかみんな彼に期待する。
なぜ期待するのかはよくわからない。
それが嫌なのか何なのか逃げ回る信乃。
取り合えず「逃げたい」という欲求だけは強い信乃。
この捉えどころのない役をがんばって演じていました。

公式HPで確認して驚いたんですが
信乃が持っていた刀は村雨だったんですね。
毛野が検分したときに特に変化は起こらなかったので
村雨じゃないんだと思っていました。
けど、村雨であることはどこにも示されていないですよね?
設定変更したのか??

冒頭でいきなり養父を殺害。
よって“孝”の珠に選ばれました。


●義・犬川荘助村井良大

ハイ、今回の最大のお目当ての役者さん。
村井くんを観るためにチケットを押さえました!
村井くんが優しくて気が利いて忠実なる荘助を演じる!
やだハマりそう!
と楽しみにしていたのに、かなり荘助の設定が変わっていてしょんぼり。

なぜか信乃を敵対視している荘助。
仕えている家のお嬢さん(浜路)に恋心を抱き
信乃に追いつけ追い越せの精神で上をめざす頑張り屋さん。

なぜか元武士の設定が消されていて、単なる下男扱い。
なのに普通に姓がある不思議。
物語の途中で命名されたのなら
それを1つの場面にして見せ場にしてほしかった。
珠を授かってあんなに喜ぶんだよ? 姓を貰ったらどんなに喜ぶことか!

目上のゝ大法師を敬い
具合の悪い大角をいたわり
すぐに仲間と打ち解ける気配りさんなとこは原作通り。
セリフの無いところでの表情も良かった。
ちゃんと荘助として存在しているんですよね。当たり前か(笑)

なんでこの人が“義”がないと判定されたのか謎。

藍色の衣装がかわいかった。
左右の袖の当て布の模様が違うんですよ。
民族衣装っぽくて好きだな。

村井くんは身が軽いですね~。
ひょいひょい飛ぶ姿が印象的。
ラストの総攻撃で当然、村井くんの立ち回りが見られるんだと
大いに期待していたのにまさかの…っ!
まぁ、信乃と浜路と荘助の三角関係を清算するのも大事ですけど…


浜路江田結香

なにあの身のこなし! と驚いた。
調べたら新体操でそれなりの成績を修めたひとなんですね。
確かにあの柔軟な動きは新体操。
もっとあの動きを活かした場面があればよかったのに。

兄妹として育てられてはいたんですが
途中で引き取られてきた信乃を激ラブな浜路。
信乃しか見えていない盲目乙女。
そこを玉梓に利用されゾンビとして復活!

ラストの信乃&荘助との場面では
あなた(荘助)が見ていたのはお兄さま(信乃)」と突然のBLフラグ!
何を言い出す?!
と、あやうく噴き出しそうになりましたが
え? それはないよね? 浜路それは酷いよ。と真顔に。

逆だよ浜路。

あんだけ人当たりのいい荘助が
どうして信乃にだけつっかかるのか本当にわかってないの?
浜路が原因でしょう。
密かに思いを寄せていた浜路が信乃に惚れているからでしょ?
だから信乃に対抗心を燃やしているんじゃないか。

もう少し荘助のことも見てあげて~。

けど不死のはずのゾンビ浜路が成仏したのって
荘助の思いが通じたからだよね?
無念が不死状態にしているはずだから無念の気持ちは晴れたんだよね?

でもその通じたってことが荘助に通じたのかどうか…
その後、みんなと一緒に信乃のとこに現れた荘助が
笑顔を見せてくれたから通じたんだと思っていますが
実際どうなんだろ?

ちなみに原作では
浜路は左母二郎に殺されます。
そして道節が生き別れのお兄さんです。


●忠・犬山道節馬場良馬

このひとも目当てでした。初代巻ちゃん!

サラサラロングヘアの道節。
妹がいない代わりにとんでもないダメ親父がいる設定で
わかりやすく苦労していました(不憫)

自分の欲に負けて主君の姫を我が物にしようとした挙句
失敗して姫射殺、妻子を捨てて出奔した
ダメ親父・ゝ大法師松田賢二)を恨むひとでしたが
演じる馬場くんの個性からか爽やかなまっすぐさが感じられて好漢でした。

けど、恨むのも無理はない。
なんにも説明しないで出奔されているから
父親を信じることも出来ないし
主君の姫を殺した父親の息子って迫害されて
お母さんは心労が祟って死亡とか
グレるよね。

この道節が“忠”の心を持っていないとは思えない。
と思ったら、父親が持っていた

お前が?! ああ、でも確かに親父に“忠”の心はないよな。と納得。

けどさー、そこは道節が珠を生んで「ついに8人揃ったぜ!」と
テンション上げる場面じゃないのかなー?
なぜそこで敢えて変化球を投げてくるのか??

ロクでもない真相を聞かされ
ひねくれても仕方のないところなのに
突然再会した父親の願いをきいてあげるなんて出来たひとだ。

ゝ大法師の名誉のために言っておくと
原作では伏姫の許嫁なのに犬に横取りされ
それでも純愛貫いて八犬士を集めて里見のために尽くすひとです。
なので道節と親子関係ではありません。
残念ながら八房殺そうとして間違えて伏姫射殺してたりもするんですが。
八犬伝、こう言ううっかりなことがちょくちょく起こります。


●智・犬坂毛野玉城裕規

このひとも目当てのひとり。初代東堂!

美しい毛野でした。でも歌ったら男性でホッとした。
2幕目冒頭の花びらを吹く場面の「多すぎた」って口調がおもしろかった!
言い方と間が良くて場内大爆笑。
陣羽織姿も凛々しくてよかったです。

子どものときから賢かったという毛野が
“智”の珠に選ばれたのは
策士策に溺れるタイプというか
知識はあるけど心が籠っていないから、なのかな。

実際、舌先三寸で操っていた里見軍に裏切られて
凄惨な姿で帰ってくることになっていましたから。

つうか
突然の落ち武者姿には急すぎて笑うところかと思った。
笑いを起こさせない玉ちゃんの気迫は凄かった。
あのタイミングでは下手したらコントになりかねないのに
そうならなかったのは玉ちゃんのお手柄!
もうちょっとなにか演出してあげてほしかった。

それに観客に見えないところで
軍師が裏切られるという重要な展開があったのが残念でした。
この場面は説明だけではなく
ちゃんと芝居で見せてくれたら盛り上がったと思うし
毛野の見せ場になったのに~。

そうそう。
毛野が下手通路を通ってはける場面があったので
ままま真横を通ったんですよ! 玉ちゃんが!!
いいにおいがしました
とか言いたいところですが
舞い上がっちゃってそれどころじゃなかった(笑)


●仁・犬江親兵衛高杉真宙

このひとも目当てのひとり。鎧武のミッチ!

大崩れのため困窮した親が伏姫の祠に捨てたため
伏姫の霊に育てられ
ひとの心がわからないまま成長。

なので“仁”の珠に選ばれる。

それを象徴する言葉が「楽にしてあげよっか」。
瀕死の重傷で苦しむ子を見てのセリフです。
う、うん。そういう処置もありだとは思いますが
そうあっけらかんと言われるのは…

その後も次々と倒れていく犬士たちを見ても
悲しみを感じないまま自らも倒れることに。

それにしても最初の登場がすごいインパクト。
ヒーロー参上! って感じの曲で
牛若丸? 桃太郎侍?
なんだか異質なキャラが出てきたぞーという雰囲気満点で素晴らしかった。
さすがファブ〇ーズ! 空気を変えるな~(笑)

育ち方が特殊なせいかひとりだけ
超能力っぽい力を発揮してるし。
まぁそのあたりは原作を踏襲しているかも。
原作の親兵衛も不思議なことが多かった。


●信・犬飼現八石垣佑磨

このひとも目当てのひとり。勘九郎主演の真田十勇士以来! 今回は味方だ!

牢から出てきたとき衣装がズタボロだったらヤだなあと心配したのですが
キレイな格好でよかった!
けど、武器を得るのに里見の家臣を殺して奪うのはどうなの?
無用な殺人はやめようよ~。
割と現八のキャラはまともだったのにこの場面だけは不可解。
そんなことしそうにないキャラなのに。

芳流閣はセットが揺れるのでハラハラしました。
屋根っていうより石段みたいに見えましたけど。
でもさすがのアクションでした!

割とこのあたりは原作を再現しています。
信乃がたどり着いた経緯が違っていますが。
なんで村雨のくだりカットしたんだ…時間の関係か?

その後、信乃とふたりで小文吾のところに身を寄せて
しばしの息抜きの場面。
肉体美も堪能しつつ(笑)
現八はコメディパートも担当するいい役でした。
ひとりくらいそういうひとがいないと!

日替わりだと思うんですけど
テニスのサーブのモーションが…(錦織選手が準決勝出場決定した日だった)
やっと笑う場面だよ! と緊張がほぐれました。

意外と笑う場面がなかったんですよね、この芝居。
人数多くて派手なエンタテイメントな舞台だと思うのに
笑いの要素は少なめ。
まぁエピソードの多いお話だから時間の関係?

主君に進言したら退けられて挙句、牢に繋がれ
信じるものがなくなったから“信”の珠に選ばれたようですが
ちょっと理由付けが弱い気がする…そんなことないですか?


●悌・犬田小文吾荒井敦史

弟・房八長江峻行)と妹・ぬい野口真緒)の面倒をみながら
畑を耕す元武士の家系で現在百姓。
武士として身をたてようと思った時期もあったようですが
大崩れで両親を失い、幼い弟妹のために断念。

その代わりに戦場に出ようとする弟・房八。
もちろん止める小文吾。

うーん。
ちゃんと“悌”(自分より歳若いものを労わる心)を持っている気がする。
したいことをさせることが良いとは限らないじゃない?
この場合は止めて正解だよ。
なんで珠に選ばれたんだ??

百姓らしく斧だか鉈だかで参戦。
意外に活躍していました。

どこかの場面で荘助と仲良くしていてほのぼのした(笑)
このふたり、カワイイ。


●礼・犬村大角丸山敦史

この人もかなり原作と違っていましたね。
医者はともかく盗賊ってなに。
原作の困った親父の分まで困ったちゃんになってるのか?

しかしゾンビ浜路の動きを見ると雛衣も出来たんじゃないかと思う。
原作の大角には雛衣という奥さんがいるんですが
ちょっとわけありで、かなりトンデモナイ動きをするんですよ。
でもそれが可能な感じだったからもったいないな~。

盗賊時代のあれやこれで“礼”の珠に選ばれたというのはわかりやすい。

助けられなかったひとの数を杖に刻んで
忘れないようにしているのは偉いけど
そこまでしなくても…責任感強すぎる。

咳き込むたびに荘助が甲斐甲斐しかった(笑)


玉梓伏姫白石美帆

玉梓と伏姫、まさかの二役!
サダヲの方の八犬伝でも結果的に同一人物が演じていましたね。
こちらはさらに
玉梓が母で伏姫が娘になっていました。

しかし玉梓が恨むのも無理はないって回想でしたね。

里見義実後藤光利)の言いがかりにより
言い訳も聞いてもらえずに強引に処刑されたらそりゃあ恨みますよね。
「ひとりで里見家を大きくしたような顔をするな」とか
何を言っているんだとポカーンでしたよ。
奥さんがしっかりしてなかったら安心して戦ができないんじゃないのか。
誇りに思うならともかく自分より目立つからって殺すとは恐れ入る。

義実の所業は理解できない。
有能な妻を殺した挙句、娘も遠ざけるとか
どんだけ狭量なの。
この突然のご乱心を操る黒幕でもいて
その黒幕を八犬士が退治する話なのかと思ったくらいだ。
違ったけど。

玉梓の最大の誤算は、義実を旦那にしたことで
最大の間違いは、義実を直接呪わずに南総一帯を祟ったこと。
大崩れなんて起こさず雷で狙い撃てば良かったんだよ。

ちなみに原作では“大崩れ”なんて天変地異は起こりません。
玉梓は里見家に敵対するうちの妾で
里見に攻められてとっ捕まり、里見家を呪いながら死んでいくひと。
当然、伏姫とは母娘ではありません。

原作では玉梓は憎たらしい悪役なんですけど
今回は大いに同情の余地のあるキャラに思えました。


左母二郎猪塚健太

玉梓の忠実なる家臣。
まさか左母二郎の独白に泣きそうになる日が来ようとは…

自分の主が無実の罪を着せられ
弁解も聞いてもらえず何もできない無念はいかばかりかっ。
話を聞く限り、玉梓は立派な主だもんね。

そりゃあゾンビになって復活したくもなるよ!

ゾンビになってからもあくまでも忠実。
やばい。玉梓サイドに共感できる。

演じる猪塚さんは初めて見るひとでしたけど
威風堂々な横山さんとならんだ時のバランスが良くてステキ。
声も聴きやすくて登場した瞬間、オッと注目しました。

ちなみに左母二郎は原作だと徹底した悪役です。
村雨を奪うために浜路を殺すしね。


悪四郎横山一敏

このひとも目当てのひと!
いっぱい戦ってほしい! と期待して行ったんですけど
思ったほど殺陣がない…

ラストの戦いで犬士の4~5人倒しちゃうもんだと思っていたのになー。
強いのに! 早いのに! カッコいいのに!
もっとガンガン戦うとこ見たかったな~。

左母二郎と共に忠実なる玉梓のしもべ。
悪四郎って原作でどんなキャラだか思い出せないんですけど
名前から絶対どうしようもない悪役だと思ったのに
意外に筋を通す役で嬉しかった!

意外とセリフがあったんですが
いっそのことしゃべるのは左母二郎に任せて
終始無言で戦いまくる強い敵に徹した方が
左母二郎とキャラが区別できて良かったような気もする。
玉梓処刑のときに主の潔白を証明する発言だけをする、とかさ。



長いな! 我ながら呆れる長さだ。
けど、まだ続く。

以後はあまり褒めませんので
この舞台を楽しんだ方、満足した方は
読まないほうがいいと思います。

 
さて。

私がアホなせいか
忘れているせいか
説明が不足しているせいか
よくわからないことが多々あったんですが
そこらへんについてつらつらと。

冒頭、浜路と駆け落ちしている信乃ですが
「運命から逃れるため」逃げ出したと言っていたけど
逃げたくなるほどの運命ってなに?
原作ならお家再興だと思いますけど
この話では別に誰も再興を話題にはしていませんでしたよね?

浜路を連れ戻すために荘助が信乃と斬り合いになった末
斬られて倒れますが
信乃が去った後にケロッとしていたのはなぜ?
生きているのも不思議ですが刀傷もないってどういうこと。
珠の力?

着々と自分で準備を進めていた毛野。
みんなと合流したときも
「自分でやる」って言っていたのに加わったのはなんで?

ゝ大法師の説明に説得されたってこと?
けどゝ大のあの話では共感できないと思う…

少なくとも私は説得されない。
実際、道節が「義実こそ諸悪の根源」みたいなことを言ったとき
「そうだそうだ!」と大きく相槌を打った。
それに対立した道節とゝ大の場面は
「助太刀いたす!」って道節に加担したかった。
どうして誰も道節に味方しなかったんだ(それをしたら話がまとまらないが)。

ゝ大は主君の命令だったから仕方なく、な気持ちが強いのかもしれないけど
傍から見たら「伏姫が自分のものにならないならいっそ殺す」って
ヤケおこして殺したように見えるからな?
やってることストーカーみたいだからな?
そこんとこ自覚したほうがいいぞ。

ゝ大法師の話を聞いて「打倒玉梓」になるのも共感できない。
あのいきさつを聞いたら
玉梓を倒すんじゃなくて、鎮めようと思わないかな?
私はむしろ里見を倒したい(笑)

あと信乃が珠を捨てたときは
いつの間にか戻ってきてたのに
ゝ大法師から道節に託すことはできるんですね。
道節は別に“忠”の心が足りないわけではないと思うんだが。
珠の持ち主選びの基準がわからない…

総攻撃が始まってから毛野の軍隊が援護射撃してくれたけど
敵味方入り乱れるところに飛び道具で攻撃させるのは
危ないと思うんだけど。
しかも指揮官の自分が戦乱にいるのはどうなの?
「もっと狙え」って誰かが抗議してたけどそんなこと可能なの?
時代的に鉄砲の性能そこまで高くないだろう…

誰かの戦いの最中
爆発が起こったのは毛野の部隊の大砲攻撃かと思ったんだけど
この時代、大砲ないか…
その後が毛野が裏切られる展開だから違ったみたいだけど
あれなんだったんだろ?
玉梓軍に結構な被害をもたらしていたけど…珠の力?

あとさー、ゝ大法師が蘇るのってなんで?
さっきあんだけ戦っといて…息子に珠を託せて満足してないの?
本気で戦いたいから蘇ったって…『魔界転生』??
さっきの一騎打ちは本気じゃなかったの?!
命がけの説得に応じた形の道節の立場は…(呆然)
ゝ大が出てきたとき「ナンデ?!」と座席でガタっとしたよ。

けど、それなら珠生んでない道節は生き残るパターン?!
と期待したりもしました。
期待虚しく父子そろってあの世に旅立ったわけですが…
母上はあの世で夫をコテンパンにしたらいいと思います。

ひとり、またひとりと死んでいく八犬士たちの魂が
信乃の“孝”の珠に吸い込まれていく様子は
蠱毒みたいで怖かった。
いったい何を生み出したんだ伏姫は?!

なんで“孝”に集まるのかな?
たとえば
ひとの心を持たない親兵衛の“仁”に集まって
みんなの心が集まることで完全になって玉梓を倒すんならわかる。
なぜ“孝”なのか。
信乃が主人公だからか。

不死設定の玉梓サイドの敵が
ラストの立ち回りで何故どんどん死んでいったのかわからない。
…珠の力?

あと!
死んでからスポットライトの下で独白はどうなの?
流れおかしくない?
死んでないのかと思ったよ。
やっぱ死んでんのかとわかったら冷めたし。
集中力削がれる。
普通に戦っている最中に独白して珠が砕けて死亡のが解りやすいと思う。

みんなの魂の宿った“孝”の珠を得て
「もう逃げるのはやめた! みんなの命、無駄にしないぞ!」的に
信乃が燃え上がるんだと思ったら
そうでもないのがまたよくわからん。
この期に及んでウジウジしとるし。
普通はここが一番盛り上がるんじゃないのかなー。
なんかよくわからんうちに玉梓が倒された感じなんだよなー。

ひとり生き残った信乃が
「まだ生きなければならないのか、まだ苦しみが足りないのか」と
苦悩するんですが、それに対して
「それがあなたの運命!」と伏姫テキトーすぎる。
「運命」って言葉を便利に使うなよ(苦笑)

祠に犬士たちが行ったときも思ったけど
伏姫って会話できないよね。
犬士たちの質問に対してズレた応答しかしてない。
おかげで思念だけの残像みたいなものなのかと思った。
あれが親兵衛を育てたんですよね? じゃあ思念じゃないか。
あのコミュ力ではそりゃあ、ひとの心がわからない子が育つわ。

さらに伏姫は
珠の持ち主が「苦しみ、悩むことで珠に命が吹きこまれ
その力で玉梓と自分が眠るため」とかなんとか言っていましたが…
酷くないか?!
結局、玉梓のために珠を作ったってこと?
自分たち母娘が安らかになるために八犬士には犠牲になれと?!

なにそれ。はた迷惑な…

それならバッドエンドじゃんこの話。
大団円風に演出されていたから騙されたけど
“理不尽な目にあった男たちの話”になってるじゃん。

伏姫も玉梓もそんなに男が憎いか。
素直に義実を恨めばいいのになんで男全般を祟るんだよ。
迷惑!
大崩れとか大きなことしてた割には、着地点が小さい。
スケール大きくしたいのか小さくしたいのか、どっちじゃい。

ここでの伏姫が玉梓の衣装で出て来たから混乱するんですよね。
これって意味あるの?
伏姫も玉梓も結局は男を恨んでいる点は同じって意味でこうなってんの?
ただ単に着替える時間がないからこうなの?

信乃が得た珠にどんな文字が浮かんでいるかとか
どうでもいい!
なんだ、この話?!
憤慨しているうちにラストシーン。

冒頭にも出てきた兄と妹が再び登場。
上手に植樹。
冒頭にはいなかった信乃が新たに得た珠を持って佇んでいるのが
違いますが、これって時間が戻ったということ? ループなの?
冒頭には無かった珠を根元に埋めて植樹終了。
冒頭ではその植樹直後に大崩れが起こったので

大崩れは起こらない → 未来を変えた ってこと?

これで玉梓の怨霊は鎮められたってこと?
未来を変えるために
みんなは死んで信乃の珠に集結したってこと?

うーん。それだと…どうなんだ?
時系列的にここを変えても未来が変わる保証はないんじゃないかな。

里見義実が玉梓を殺して → 玉梓が悪霊化 → 大崩れ発生

なわけだから
玉梓の悪霊化を防がないとダメなんでしょ?
それなら義実をどうにかするべきなんじゃないかな?
やっぱ諸悪の根源は義実だね~。道節は正しかった。


役者さんたちの熱演で観終わったときは楽しかったんですけど
考えれば考えるほどわからなくなって…
試しにダラダラ書いてみたらとんでもなく長くなった。
意外に思い出せた。
書いているうちに思った以上に「あれ?」と思う部分が出てきて
“珠の力”でムリヤリ納得すること多し(笑)

なんか盛り上がれないと感じた原因は
脚本と演出がチグハグだからだったのかな。
盛り上がりかけると「オイ!」って心のツッコミが起こる
展開や演出がでてきて
気持ちよく盛り上がれないんですよねー。
カタルシスがない、と言うか…

こんだけ疑問が出てくる話なのに
観ている間は説得力を持たせていた役者さんたちは凄かった! と
改めて思いました。

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非公開コメント

No title

こんにちはー。
感想興味深く読ませていただきました。

このコメント欄で書いたり消したりを30分以上やってますが、
オブラートに巧く包めず、如何なものかと思い直して消しましたw
まるあ嬢の感想にほぼ同意でございます。

色々あるんですけど、一番残念だったのは、
東京前半と大阪楽とで、中身が殆ど変わっていないことでした。
東京20公演以上やったんですよね。

これについては、別途お話しましょう!

あと、ペダル諸々ありがとうございました!(一行w

よーこさん

コメントありがとうございます!
気づくのに遅れました。申し訳ない。

え、この長文全部読んでくれたんですか?
お疲れ様でした!
改めて眺めて「長い…」と思いました。我ながら(笑)
これでも削った部分あるんですけどね~。

> 東京前半と大阪楽とで、中身が殆ど変わっていないことでした。
あら。じゃああれで完成し(たことになっ)てるんですね。
てことは、初演もこんな感じだったのかな。

初演の感想もいくつか見たんですが
みなさま、役者「は」よかったとおっしゃる(笑)
村井くんが小文吾役だったらしいんですが
ラストの立ち回りで敵を超絶惨殺したらしい。
「小文吾の憎しみがよくわかる。凄かった」という感想多数。見たかったー!
言われてみれば小文吾は玉梓サイドに直接身内を殺されているから
その恨みも一入なんですよね。
そりゃあ憎しみも溢れて惨殺もするでしょう。
なんで再演ではカットしたんだろう??
 
そして初演の配役が興味深い。
戦国鍋で気に入った役者さんが毛野を演じていた!
なにそれ、見たかった!!
プロフィール

まるあ

Author:まるあ
100%趣味について。
観劇と映画鑑賞と読書が趣味。歌舞伎・三谷幸喜作品・蜷川幸雄演出・劇団☆新感線などを観に行きます。
読書はいろいろな人の感想を参考にマンガも含めて乱読中。

一個人の主観的な感想なので大多数がそう感じるとは限りません。
内容も正確を期していますが記憶を頼りにしているので必ずしも正確ではありません。
以上を了承のうえお読みいただけると幸いです。

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