第八回 亀治郎の会 《上州土産百両首編》

観劇:2010年8月20日(2階1列目センター)・22日(1階3列目花外)
会場:国立劇場大劇場

長くなったので分けることにした感想文。
前回までのあらすじ。

トーク付きの20日と、楽日である22日に楽しんでまいりました
第8回亀治郎の会。

トークの感想はこちら トーク付き亀治郎の会
『義経千本桜』忠信編の感想はこちら 忠信編

トーク付きの20日は『上州土産~』がない代わりにトークがあったので
このお芝居を見るのは22日が初めて。
なのに花外という過酷な環境
でも『義経千本桜』の時の舞踊用の板は取り払われたのでだいぶ改善。

花道の向こう側が見えたときは感動しました!

これなら舞台、見えますよ。
『道行初音旅』の時なんか
ヘタすると座っている忠信まったく見えなくなったりしましたから!
板があった時の舞台の足元は全滅でした(涙)

あ、その板を取っ払う作業を客席からずっと見ていたのですが
時折めくられる幕から覗けるセット転換の様子が興味深かったです。
四の切のセットがあっと言う間にバラされてしまいました。
そしてどんどん片付いていく板。
ううむ。みなさま手際がよくってスバラシイです。


上州土産百両首

原作:川村花菱
補綴・演出:石川耕士

20日にパンフは購入したので予習してから観ようと思ったのですが
土壇場で気が変わり結局読まずにぶっつけ本番!
先入観なしで観たほうがおもしろいよ、きっと! と信じて。

その甲斐あっていきなり舞台に登場した正太郎亀治郎)にビックリ。
さっきまで宙乗りしていた人がもう出番?!
もっと休みなよ~。そりゃあ、ツルしケイレンするよ~。
四の切の後は疲労困憊で『上州土産~』でいろいろ限界がくると
トークの時に言っていたんです。

どうやら知り合いが追われているようですね。
その行き先を吐け、としょっ引かれた様子。
しかし友を売ることはできぬ! とばかりに口を割ろうとしない正太郎。
おお、男気溢れるナイスガイだ!
つか、ふつーにカッコイイ拵えで嬉しいです(笑)

ひとりになったところへ現れる牙次郎福士誠治)。
なんでそんなちっちゃなとこから顔を出す?!
なんだか間延びした口調…
こ、これはもしかして?!
ワクワクして見守っているとついに全体像が現れた!

わー、バカな子キター!!(大喜び)

牙次郎はでかい図体でのほほんとして
「ありゃあ」が言えずに「あぢゃ~」と言うのが口癖なので
アヂャ牙次と呼ばれるおバカキャラでした。
落語で言う与太郎です!
つか、シムラケンっぽいのかな(笑)

まさか福士くんのこんなキャラを見られるとは思っていなかったので
嬉しい誤算。
だって福士くんって言ったら『のだめ』の黒木くんですよ!
黒木くんって言ったらいぶし銀ですよ!
銀でもいぶされた渋みを持ったまるで武士のようなキャラだった人ですよ!
それがまさかの…
こういう役者さんの意外な面を見られるのも舞台の醍醐味です。

正太郎と牙次郎は同じ町内でつるんでいる仲間だったのだ。
面倒見のいい正太郎がアニキのように牙次郎の世話を焼き
牙次郎は一心に正太郎を慕うのがよくわかる。
大きな月を背にして共に逃げつつ
正太郎が手拭いを牙次郎に巻いてあげるシルエットが…
正太郎は牙次郎にどんだけ甘いんだ!(爆)

ま、このあたりは私の席からでは角度が悪くてよくわからなかったんですが。
正面から観ればきっといい場面だったのでしょう。
と、推測。

この逃避行が10年前
そして10年後の現在、とある茶屋でばったり再会する二人。
相変わらずの暢気モノの牙次郎になかなか羽振りのいい正太郎。
茶屋の床几に並んで腰かけ、積もる話を…ん? 探り探り会話してる??

お互いナントカって職業についたと言っておりましたが
それは建前。
ふたりとも大ぴらにはできない職業についていたのだ。

ま、ヤクザな仕事なんですよね。
正太郎はスリを得意として
牙次郎はスリすらまともにできない使い走りでしたが
無我夢中で抱きついた際に正太郎の財布をスり初めて仕事を成功させる牙次郎。

ううむ。正太郎は牙次郎に対して警戒心ゼロなんですね(笑)

そうとは知らない正太郎が
世話になっている金的の与一渡辺哲)の元に戻り
同輩のみぐるみの三次亀鶴)らと再会した幼なじみについて話していると
やってくる牙次郎。

お互い足抜けしてカタギになろう

と説得に来たのだ。
弟分の牙次郎にそんなこと言われた正太郎は面目ないやら恥ずかしいやら。

それを聞いていた与一のアニキ
「お前はまだそんなに悪どいことはしてないから辞めるなら今のうち」と
理解を示してくれます! イイ人っ!!
私は“親分”だと思ったんですけど“兄貴”でした。

与一と別れの盃を交わした正太郎、次は三次と…と思ったら
三次はガンとして受け付けません。
正太郎の足抜けをおもしろく思っていないようです。心狭っ!
さっきまで「持つべきものは友だちだよなぁ」って感動してたくせに~!

三次にわかってもらえなかったのが心残りですが
ふたりは聖天宮で
与一に貰った餞別と正太郎の所持金、牙次郎の所持金(2文!)を
仲良く山分けして
10年後のこの日、この場所、この時間に再会しよう」と約束。
目印は牙次郎が持っていた一文銭。

そういえば、サブタイトルは『月夜の一文銭』だったなぁ。
この公演では全く出てこないサブタイトルですが。
そして言い忘れていましたが月夜なんです。
ま、私の席からは月はまったく見えなかったんですけどね!

時は流れて約束の日が近づいたある日
正太郎は江戸から離れた上州のとあるお店で板前をしています。
そこへそうとは知らずに立ち寄ったかつての仲間・与一と三次。
久々に食べた江戸の味に感動した与一が料理をべた褒め。

心付けを受け取った正太郎がお礼を言うために座敷に向かい
期せずして再会を果たす3人。
ですが
別れの盃を交わし、板前として成功している正太郎に迷惑をかけまいと
他人のふりをする与一。
ホントーにいい人です!
でも裏切ったらどうしようとヒヤヒヤしてしまったワタシ(苦笑)

裏切ったのは三次でした!

どうも成功しているとはイメージできない牙次郎のために ←酷い言い草(爆)
溜めたこれまでの稼ぎの200両を狙って正太郎を強請りました!

正太郎! そんな大金の話を聞かせてはいかーん!!

とワタシ、内心大絶叫!
それだけ正太郎がふたりを信頼していたのかもしれませんけど
お金の話は慎重にならないと~。

板前として成功し
お店の主人の娘おそで守田菜生)との縁談もまとまった正太郎
過去をバラされたくなければその金寄こせ」ってことですよ。

かつての仲間だし、1度ですむことなら…
と渡したら
これからも来るからな!」と。
オレは別れの盃交わしてないから他人じゃないし」と。

む、ムカツク~!!!

鶴亀さんは大好きですけど本気で腹が立ちました。
正太郎も同様だったようで思わず背中に隠し持っていた包丁でグサリ

そしてそのまま、江戸を目指して一目散。
関所も番所も突破しまくり!
なんども捕まりますが、なぜか逃げ出す縄抜けの名人・正太郎。

言い忘れていましたけど、牙次郎も縄の扱いは上手いんです。
「よいしょー」とあっと言う間に解いてしまう特技の持ち主。
牙次郎に習ったんだろうか??

江戸でも極悪人・正太郎の似顔絵が出回ってお役人が待ち構えています。
なにしろ賞金首になっていますから。
捕まえたら百両ですよ!

…ああ! これがタイトル『上州土産百両首』か~。

さて、どうにも成功しているイメージができない牙次郎は
なんと江戸の役人・隼の勘次門之助)とその妻おせき吉弥)の元で
働いていました!

うっそ! ちゃんと真っ当な仕事に就いているじゃん!!

でもまだ手柄はたてていないので
今回の百両首を捕まえて初手柄にしたい! と意気込んでいます。

うう、それはアンタの大事な兄貴分なのに…

この時点で私は
正太郎を庇って牙次郎は二人で逃げる決意をするんだと思ったんです。

大ハズレでした!

約束通り聖天宮に現れた正太郎と牙次郎
幸せな再会になるはずだったのに…
しかし、ぼんやりな牙次郎は人相描きをよく見ていなかったのと
正太郎が顔を隠していたためしばらくはバレません。
ようやく目印の“額に傷”が…

逃げろ!

と念じましたが鋭すぎる上司・隼の勘次が勘を働かせて
手下をひきつれて到着!

わーん。有能すぎるよ!!

ここからは縄を使った立ち回りです!!
見せ場です!!
縄抜けがふんだんに取り入れられていておもしろかった!!

抵抗むなしく捕まる正太郎。
お前に縛られたかったのに」と無念の叫び。
逃げたくて抵抗していたのではなかったのです。
牙次郎の手柄にするために、牙次郎の手で捕まえてほしかった正太郎。
でも牙次郎は正太アニキを捕まえるわけにはいかん、と
躊躇っているうちに方がついてしまったのでした。

おや? なんだか『賢者の贈物』みたいなハナシ…
あ、そっか。
そういやトークでオーヘンリーの短編を元に書かれて話って言っていたなぁ。
なんの疑いもなく『最後の一葉』だと思ってたけど違ったのか(苦笑)
けど、パンフには『二十年後』が元になったとある…
『二十年後』ってどんな話かしらないけど
この話は『賢者の贈物』とも取れるよね?

しかしデキル上司・勘次の計らいで牙次郎の手柄にしてもらえました
わー、よかったね!!

逃げないことをわかってもらえた正太郎
牙次郎に縄をあっと言う間に解いてもらい、そのまま花道へ。

10年前と同じイイ月夜だなぁ。

とか言ってますけど、私の席からはその月、見えませんから!!
ほんと今回は席に苦しめられた。

ラストもこのふたり、花道上で手を取り合っていたようだけど
私の席ではふたりの背中しかみえなかったからわからなかったよ!!
カーテンコールで初めて「何そのダンスでもしそうな繋いだ手!」と驚愕。

でもね、異様に密着していたのはわかった。
実はデキてる設定の『白波五人男』の弁天小僧と南郷ですら
そんなにくっついてないよっ! ってくらいアリエナイ密着。
他にもやたらスキンシップ過多だったふたり

なんだろ? このふたり、大丈夫??

と心配になったものです。
つか、そっちが気になって感動どころじゃなかったよ(爆)
みんな「泣いた」「感動した」って言っていたのに
イマイチその波に乗れなかった我が身の無念…。

でもまぁ、楽しみましたけどね!
ノンストップで2時間。
忠信編もいれると…充実した時間を過ごせました。
来年も楽しみ~!
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プロフィール

Author:まるあ
100%趣味について。
観劇と映画鑑賞と読書が趣味。歌舞伎・三谷幸喜作品・蜷川幸雄演出・劇団☆新感線などを観に行きます。
読書はいろいろな人の感想を参考にマンガも含めて乱読中。

一個人の主観的な感想なので大多数がそう感じるとは限りません。
内容も正確を期していますが記憶を頼りにしているので必ずしも正確ではありません。
以上を了承のうえお読みいただけると幸いです。

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