歌舞伎座 夜の部

観劇:2006年12月
会場:歌舞伎座


■ 神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)

一目ぼれするお舟(菊之助)がかわいい。
本当に一目ぼれしていたぞ(笑)
惚れた男しか目に入らず、続いて家に入ったうてな(松也)に
「アンタ、誰?」って…どんだけ盲目なの?(爆)

しかしひどいな、義峯(友右衛門)。
自分に惚れているお舟の気持ちを察しつつ、うてなを「妹」と偽り
お舟の恋心を利用して探りを入れるんだもん。

でも六蔵(團蔵)の恋心を利用するお舟も相当だなあ。

それにしても極悪人・頓兵衛(富十郎)。
娘を殺すか! すごい父だ。
この頓兵衛の不気味な六法を観たくて行ったのに
三階席じゃ見えないじゃーん! …ガク。

櫓のお七のような太鼓のシーン。
瀕死ながら必死で義峯を逃がそうとする姿はいじらしい…
が、義峯に「裏切り者ではないことを証明するために父に殺され」
「来世で会おうと約束」…やっぱ義峯ひどいな。
今生ではムリ! って言っているんだもんな~。
そしてお舟は六蔵とも戦い、けっこう血みどろな話なのでした。


■ 江戸女草紙 出刃打お玉(でばうちおたま)

池波正太郎作。もともとは脚本を書いてらしたとは知りませんでした。
これがとっても面白くて! 参りました。

出刃打ちという出刃包丁を投げる曲芸をしていたお玉(菊五郎)が
谷中の岡場所でとった客の仇討ちの手伝いをする、というのが前半。
後半はそれから28年後。仇討ちの手柄で出世し
すっかり変態スケベ親父になった増田正蔵(梅玉)と再会するお玉…

28年の月日を表すのが衣装やメイク以上に歩き方。
のそのそ歩くだけで年取ったなあとわからせるのがスゴイです、時蔵さん。
私が見たことある時蔵さんは「姫」率が高いので余計に驚きました。

そして志村けん並に歩いただけで笑いを取る菊五郎さん。
一ヵ所、時節柄? サンタクロースの赤い帽子と
金のフサフサを首にかけて登場した時は大爆笑!
…なんでもありだな、お玉さん。
それを見た梅玉さんが笑ってセリフが言えなかったから日替わりか?
これは正月の国立劇場が楽しみです!!

いやはやこんな役をやっているの初めて見たよ! という人、続出。

23歳のウブな若造、やがて変態スケベ親父になった梅玉さん
下世話なやり手婆の時蔵さん
スケベ破戒僧・田之助さん
同じく破戒僧・亀三郎さん
変態親父の毒牙にかかる松也さん。

これを観ただけでも来た甲斐があったというものです! 大満足。


■ 新歌舞伎十八番の内 紅葉狩(もみじがり)

海老蔵さんが姫で鬼女ですよ。
女形は藤娘で見ましたけど、今回はセリフ有! 興味津々。
セリフはまぁ…海老蔵さんでしたわ。

亀蔵さんズルイわ~。
あんなメイクであんな役じゃあ笑うしかないです!

海老蔵さんの妹・ぼたんさんも参加。
ううむ。子役で女の子は見たことあるけどこんなに大きくなってから
歌舞伎に出る女性は初めて見たぞ。
ぼたんさんはどれじゃい? と探すまでもなく判るもんですね。
男の中にいるとやっぱり一際小さいんです。

その代わり(?)お兄ちゃんはでかかった。
赤姫なのに惟茂(松緑)より断然大きいのです。
姫の踊りは長いんだけど後半、半分鬼の正体顕して踊ったのが面白い。
赤姫の扮装でギロリと睨んだり、大股開いたり、太い声だしたり
なんでもありですね! 楽しそうだった(笑)
 

元禄忠臣蔵 第3部

観劇:2006年12月
会場:国立劇場

国立劇場3ヵ月連続上演のラストです。
2部は眠くなるクスリ服用中で8割寝てしまい(よって感想はなし)
後日テレビ中継されたので復習。
内蔵助が決意を固め
チャンス到来! と知らせを受けたところで幕。でした。

幕が開くと…いきなり討ち入りは終わっていますよ。ほえ~。
吉良を無事に討ち取り四十七士たちは
それぞれ放心したり吉良の最期を聞いたりして思い思いに過ごしています。
手柄のことで言い合っている人もいる。なんかリアル(笑)

あの討ち入りの時の服はステキね! 右の襟に名前が書いてある!
それを元にパンフで役者を確認。
今回も引き続き登場人物が多いです。オトコ祭(笑)

討ち入りの場面がなかった理由は『仙石屋敷』の場面でわかります。
ここの大広間での詮議で全員が揃って討ち入りについて語るのです。
そこでいかにして侵入し、動いたかが伝えられるのです。
ううむ。とことんセリフ劇なのだな。

冒頭で吉良に一番の傷を負わせたのは自分だと主張し合っていた
間十字郎と武林唯七の問題も解決。
武林くんが手柄を譲るのです。イイヤツ…っ(泣)

詮議する際、伯耆守が
「主税は若いのにイイカンジに育って素晴らしい」と褒めてくれます。
が、演じる伯耆守は三津五郎、主税は巳之助。
公衆の面前で息子を誉めたよ(爆)

やがて詮議が終わり、浪士たちだけになると
「長い間この内蔵助によくついてきてくれた」で胸がいっぱいに。
私も3ヵ月がんばったよ! 勲章の手ぬぐいも貰いました!

内蔵助がお預けになる細川越中守に「えっちゅー」と反応する私。
満員の劇場でそんなところに反応するのは私だけだ…(苦笑)

『最期の一日』は盛りだくさん!
ほんとに一日の出来事か?! ってくらいだ(爆)

えっちゅーのご子息が浪士たちに会いに来て
小姓に化けた磯貝十郎左衛門の許婚・おみのが会いに来て
ようやく切腹が決まり、執行。
ああ、目まぐるしい。

小姓に化けたおみのちゃんが登場人物中で唯一の女性。
なのに小姓に化けているよ!
しかもその仮の名は「カズマ」…どうしてその名前なの?!
えっちゅー絡みだから?
執事と言えばセバスチャンのように、小姓と言えばカズマなの?!

それはさておき『決闘!高田馬場』に関連した人たちが
たくさんいて楽しかった!
堀部安兵衛がいて弥兵衛がいて
…ああ、弥兵衛じいさんとホリちゃんに口説かれちゃったんだなとか
貫禄充分な安兵衛を見て「うん。ホリちゃんは料理上手だ」とか(爆)
高麗蔵さんと宗之助さんもいらっしゃるし。
ウハウハでした。

私は1部が一番面白かったです。
…2部はクスリのせいとは言え寝ちゃったので判断できませんけど。
 

東西狂言の会

観劇:2006年12月

三鷹でね、やるんですよ、毎年。
茂山家と野村家が合同で狂言三昧。萬斎さんも参加します。
そりゃー、行くっきゃないでしょーよ!


■ 解説*野村萬斎

すいません…ギリギリに到着して席がわからずウロウロしていたら
萬斎さんが登場してしまいました(汗)
私がようやく席について間もなくゾロゾロとお客が到着(遅刻だよ~)。
萬斎さん、動じず「おや、バスが着いたようですね」
クール! おみごとです!!

もちろんちゃんとこの日の演目解説もキッチリと。
ええ、予習はいりませんでした(してないけど)。


■ 小舞*八島(野村遼太)

萬斎さんの甥っ子さんだそうです。若い! 学生か?
地謡に萬斎さんも参加です。さっきまで解説していたのに…

小舞とは装束をつけない舞のこと、でしょうか?
八島は「平家物語」の八島の合戦のことで
勇壮な感じをくるりと回りながら飛んで表現するんですけど、失敗!
バランス崩して腕をついてしまいました。残念。
そのあと「面目ない」と扇で顔を隠すのがかわいかったです。
↑ 違う! そういう振りだ!!(たぶん)

たとえ目の前で失敗しても地謡の方々が動じないのがさすがでした。
私なら「あ!」とか言ってしまいそうですが(笑)


■ 痩松(やせまつ)

実入りのない盗賊を痩松というそうです。
というわけでビンボーな山賊(野村万之介)のもとに
女(深田博治)が一人やってきます。
長刀で脅して女が持っていた品物を奪うのですが
なぜか長刀から離れたところで中身を確認。
女に長刀を奪われて…

山賊カワイソウ(笑)
娘もいる山賊でけっこうな年なんですけど(みごとなヒゲです)
あんなうっかりで生きてこられたのが不思議です。
あんまり尊敬されてない父なんだろうなーと想像を膨らます(爆)
山賊の愛らしさにすっかりやられてしまったのでした。


■ 察化(さっか)

察化とは詐欺師のこと。
主人(茂山宗彦)のいいつけで
主人の伯父さんを探しに出かけた太郎冠者(茂山千作)。
でもその叔父さんの顔も住所もしらないので、さあタイヘン!
手当たり次第に訪ね歩き、偶然出会った伯父さんを連れて主人のもとに。

…偶然会うわけないでしょーが! もちろん、別人。
オオボケ太郎冠者のおかげで詐欺師(茂山七五三)を家に入れてしまった主人は
なんとか穏便に済ませようとするのですが…

もうもう、千作さんの太郎冠者がかわいいのなんのって!!
ちまっと座った姿がかわいいし
詐欺師とわかってからも屈託なく楽しそうにおもてなしするのがおかしい。
なにげに主人に無礼だし(爆)
「んあ?」と返事をして「呼ばれた」と席を立つのが最高に面白いっ。
主人の苦労がよくわかる(笑)


■ 宗論(しゅうろん)

宗教論争の話ですね。
浄土宗と法華(日蓮)宗の口喧嘩です。
が、狂言ですからね、そんなマジメな展開にはならないんですよ。

でも寝てしまった私。申し訳ないです。
萬斎さんに散々解説してもらったのに…がっくり。

頑なな法華僧(野村萬斎)を浄土僧(野村万作)がおちょくるという図式。
そんなにしつこく虐めなくてもいいじゃないか、と思いつつ
ガンコな法華僧だから、からかうと楽しいんだろうな
というのはよくわかる(笑)
でも虐める万作さんがカラっとしているのでヤな感じにはなりません。

ラストは二人揃ってそれぞれのお経を大合唱。
違うこと言っているのに不協和音にならないのがさすがです。
呪文のような言葉でなんだか楽しくなるリズムでした。


同じジャンルでありながら、宗派が違うということで仲たがいする
なんてありそうな話ですよね。
そんなこと言わずに楽しくやりましょうよ
この『東西狂言』のようにね!
 

社会人のための文楽鑑賞教室

観劇:2006年12月
会場:国立劇場 小劇場

ついに文楽、初観劇です。


■ 伊達娘恋緋鹿子*火の見櫓の段

お! 幕が歌舞伎とは逆の方向に開きますよ。
黒衣が「東西~」わーしゃべっているよ!! 新鮮…

大夫と三味線がいっぱいいる! でも人形は一人。
八百屋お七のお話です。
顔がちっちゃいなー、お七ちゃん。

私が知っているのと話が違う!
吉三郎と会いたいために鐘を鳴らす恋に狂った女のつもりで観ていたら
吉三郎が切腹をかけて探す刀の行方を教えるために
打ち首覚悟で鳴らすお七ちゃん。

「このまま刀が見つからなくては切腹になる吉三さま
あの人がいなくては私も生きている甲斐はない」

まぁ。自分は打ち首でもいいから吉三郎を助けようとしています。
けなげな…(泣)

必死に櫓によじ登るお七ちゃん。
しっかし動きが激しい! ヘッドバンキング??
首がもげそうなくらい激しく前後させるお七。
観ているこっちがヒヤヒヤしちゃうよ。落ちる、落ちる~(首が)。

雪の降るなか鐘を鳴らすお七ちゃん。
『三人吉三』を思い出した(そりゃそうか、お七がモデルなんだから)。


■ 解説 文楽のたのしみ

この解説が楽しかった!
「社会人のみなさんこんばんは~」と挨拶されました。
…間違ってはいないんだけど、なんかヘン(笑)

相子大夫さんが大夫の小道具や役割と一緒に
文楽の歴史を教えてくれたんですが
竹本義太夫がいかなる人だったかの紹介や
『水戸黄門』『遠山の金さん』『桃太郎侍』のなかに
『のだめカンタービレ※』を入れたような斬新さが大ヒットに繋がり
「近松門左衛門のおかげで文楽も僕もここにいる」
という説明がとっても面白かった。

※ほんとは『渡鬼』って言っていたんですが私の好みで『のだめ』に変更。

自称エロかっこいい龍聿さんが映像を交えながら
三味線の仕組みや弾き方を教えてくれました。
ほうほう。それだけわかれば私にも三味線が弾けそうだ(勘違い)。
さらに「火サス」に例えながら音で情景を再現(演技付き)してくれて
これまた楽しい!

人形使いも実例をあげながらの解説で楽しくわかりやすい!
テレビの予習と実際に見るのとではまったく違います!←私の理解度が
男の場合は必ず左足から立つけど、女は右から立つ。
裾が乱れたらはしたないので。
女に足はないのだ。裾の動きで表現。
左使いの人がはすに構えて左手をポケット(?)に入れていて
ぶっきらぼうに見えてしかたなかったです。
が、そういうポジションらしい。
少し離れて(邪魔にならないように?)空いた左手は小道具を出したり
サポートしたり大活躍なのでした。

どの人も飄々とおかしなことを言うので、うひゃうひゃ笑ってしまいました。
でもみんな割とおとなしく見ているんですよね。
さすが社会人…? ←私も社会人のはずですが(笑)


■ 恋女房染分手綱*道中双六の段&重の井子別れの段

これは福助さんの重の井で歌舞伎を観たことがあります。
が、あんまり記憶にないってことは…?(苦笑)

お七とは打って変わって登場人物が多かったです!
わらわらと集まる人形と人形遣いたち。
なんだか楽しくてしかたなかったです。終始にまにまして見てしまった。

ん? 人形を操る黒衣…なにかを思い出す……
あ、パ○ットマ○ットだ(爆) ←いいのか?言って??

人手不足なのか(?)侍女が一人、一人使いで出て来た!
片手で姫が座る座布団を用意してちょっと乱暴に見えた(笑)
やっぱ三人必要ですね!

子供がかわいい。
屋敷に入り込み寝そべって頬杖ついて待っているとき
足をパタパタさせたり
重の井に「母さま」と縋り付く様子、纏わり付く感じが
かわいくてしかたなかった!!
でもキセルでスッパーとやるのはどうかと思うぞ11歳!


寝るんじゃないかという心配は杞憂でした。
字幕があったのでバッチリだったし
私、人形好きだっけ? という心配も問題なし!
意外と人形好きみたいです(笑)
 

花形歌舞伎 夜の部

観劇:2006年11月28日
会場:新橋演舞場

観に行ったのは千秋楽でした。
3等が入手できなかったので2等で拝見。
ぎゃー! 下手側の席だったので花道がまったく見えない!
二階でも見えないのか! もっと考えて作ってほしいデスよ。

「寝るよ」という情報を得ていたので
久しぶりにイヤホンガイド利用。
最初は舞台からのセリフとイヤホンから聞こえるセリフにとまどいました。


■ 時今也桔梗旗揚

信長が光秀をねちねちといじめる陰険な話。
信長好きの私にこんな信長を見せるとはなにごと?! 罰ゲーム?!
蘭丸に隈取りがあるしさー
「信長の考えることはお見通しの蘭丸」(byガイド)
いや、そんなとこが察し良くてもなんだかなー、ですよ。

好みの話じゃないので上手におとなしく座っている春猿さんを見る。
ひたすら見ていました(爆)
まばたき多いですね。

ガイドのお話が面白くて眠くはなりませんでした。
信長に次々といじめられる光秀が
「現代風に言うとキレます」というところ!
そっか、キレるのか。
と楽しみにしていたら花道でキレたよ!
だから見えないんだっつーの!!


■ 新歌舞伎十八番の内*船弁慶

九代目団十郎が選定し、六代目菊五郎が人気演目にした
というガイドの説明を聞き
亀治郎の演出(蜘蛛とか)もそのうち「亀治郎型」として
伝わったりするのかと考えたらテンション上がりました(笑)

『船弁慶』は何度か見ているんですよね。
だからあらすじはOKなんです。
けど亀治郎さんのがイチバン面白かった気がするのは
私の贔屓でしょうか?(笑)
静の舞ですらおもしろかった記憶があるんですよね(こりゃ贔屓だね)。


■ 義経千本桜*川連法眼館

これも何度目なんだろうか…。
数人の源九郎狐を拝見しています。
今回はどうかな?
というのと同時に、成田屋と澤瀉屋、私の贔屓が一騎打ち!
個人的に興味津々(7月もそうでしたが玉さまワールドでしたから)。

好きな人ばかりなので、さぞおもしかろうと思ったら
そういう結果が出るとは限らなかったのでした。

…ワタシ、澤瀉屋のほうが好きみたいです(爆)

義経登場に「えっちゅー」とつぶやき(心の中で)
静と源九郎狐の一騎打ち(?)では
これまでにないほど静を見ているワタシなのでした。
笑三郎さんの静、初めて見たけどイイですね!

『船弁慶』で別れた静と義経がここで再会! なんだか感無量…
狙ってこの順番にしたのか?!

にしても源九郎狐、カワイクないですね(問題発言)。
でかくてさ。貫禄あるんだもん。
ダダこねるとこでも「…コワいよ」と若干おびえる私。

でも後半はおもしろかったです。
狐の妖術で化かされる「化かされ」の人たちが
リズミカルに花道から登場したあたりからノリノリ。

化かされの人達と狐が一緒に跳ねた場面では手拍子がおこりました。
そういうとか、ここ?? と首を傾げながら手拍子に参加。

化かされの殺陣を付けるのは殺陣師だそうです。
毎回変えていいのかな?
あの転がったり跳ねたりの動作は面白かった!
さすがチーム・オモダカ!!

そして宙乗り。噂には聞いていましたけど
ワイヤーに負担がかかりそうな宙乗りでした。
ゆっさゆさ揺れる大狐に観客大喜び!!
ラストに花びらが舞う! 花びらゲット!!
ここだけは満喫できるイイ席でした。

うーん。私、海老蔵さんにはオカシナ役をしてもらいたいようです。
『おちくぼ姫』の少将とか
『海神別荘』の公子とか
『彦一ものがたり』の殿とか。

天下の成田屋になんちゅう希望を出すのだ、ワタシ?!
 

中村勘太郎・七之助 錦秋特別公演 芸談のみ

観劇:2006年11月
会場:江戸川区総合文化センター


元気な勘太郎さんの姿を拝見できて感無量…

この公演は舞踊を中心にした歌舞伎演目に加えて「芸談」という
トークコーナーがあるのも魅力でございます。
『江島生島』を終えた後、スーツに着替えて二人が登場。

司会にテレ朝の新人アナが参加。
どうやらテレ朝の社長がきていたらしく、緊張著しい彼女。
「今日ここで失敗すると明日はないのです」と背水の陣の構え。
丁寧で好感のもてる司会ぶりでしたよ。
フィギュアスケートの選手に古傷をえぐるような
無礼な質問をしたのと同じテレビ局とは思えません(爆)


司会:勘太郎さん、怪我の具合はいかがでしょうか?

勘太郎:(ひとしきり感謝の言葉の後)
手術後、まだ点滴や管が繋がっているときに
巡業で北海道にいる母からメールがきまして。
「術後の経過を心配したメールかな?」と思ったら
「巡業中のメンバーみんなとジンギスカンを食べてます」という報告で
まだ普通の食事もできない状態だったので
さすがに殺してやろうかと思いましたよ(と、にこやかにおっしゃる)。

司会:巡業中、お兄様がいなくて寂しかったんじゃないですか?

七之助:(素直に)寂しかったです。
(あまりの素直な返事に客席から笑いがおこる)
勘太郎:え? なんで笑うんですか?!
七之助:兄はムードメーカーなので。
亀蔵さんが何度も「雅(本名:雅行)がいればなあ」と言ってました。
(ゾンビ仲間の絆は固いですね!)

司会:もう完全に大丈夫なんですね?

勘太郎:(腹から声を出し会場中に響き渡る声で)はい!!
(ここで会場に来ているはずの主治医の先生を探すが見当たらず
残念そうにしながら先生に感謝の言葉を述べ)
靭帯を傷めた場合、正座はタブーなんですけど
舞踊は正座が基本なので、正座ができるように
先生が過去の歌舞伎のビデオをみたりして協力してくれました。
…ほんとに先生来てないの?!(と、なおも探す)
七之助:靭帯を傷めて廃業した役者さんをたくさんみてきてますから
父の心配は大きかったと思います。
今回の公演の稽古でも「どうだった?」と毎日様子を聞いてきましたから。

司会:お忙しいとは思いますが、お休みがとれたら何をしますか?

勘太郎:映画を観ますね。 最近は『トンマッコルへようこそ』
(あらすじを紹介した後)この映画はいいですね! 心温まる映画です。
あとは『ナチョ・リブレ』
ジャック・ブラックは神です!(心酔してますね)
あんな役者になりたい!!(え?? それは路線が違うのでは?!)
七之助:僕も映画を観たり、芝居を観たり、遊園地に行ったり…

司会:え? 遊園地ですか?! 誰と?!
(なんで七之助にだけ突っ込むんだ、司会者?!)
勘太郎:コイツはすごいですよ。
アメリカ公演でも時間をみつけて、3時間かけて遊園地に行ったらしいですから。
七之助:(今までクールだったのに急に雄弁になる)
富士急ハイランドの「ええじゃないか」に乗りまして。
あれはすごいですね!
アメリカの●●●●にジェットコースターだけの遊園地があるんですけど
そこにある「●」というジェットコースターにそっくりなんです!
「ええじゃないか」のレールをみて
「ああ、あれをマネしたな」とすぐにわかりました(得意げ)。
(すいません…固有名詞を覚えられませんでした)

司会:…私、今度その「ええじゃないか」に乗るんです

七之助:え? 仕事で? ジェットコースターは得意ですか?
得意じゃない? ……それはキツイかもしれませんね。
高いところは? 苦手ですか。ヤバイですね(笑)
最初から「怖い」と思って乗ってください(←アドバイス?)

司会:では会場のみなさまからの質問があれば…
(一階席のお客さんから質問。私は2階席だったからひたすら傍観)

質問:お父様のおもしろエピソードを聞かせてください

勘太郎:最近、スカパーに加入しまして。
「おおー! チャンネルがいっぱいあるよー」と喜んでました。
『ナルニア国物語』を観ようとして格闘してました。
(ペイパービューだったらしく)「それは買わないとダメなんですよ」
と言うと「じゃあ、買ってくれよー!」と(…子どものようなお父様)。
そういえば結局、観れたんでしょうか?(え? ほったらかし?)
七之助:他のところでも話したんですが「父の塩」を作ろうとしてたのが衝撃でした。
自宅のサウナにこもって
腹に挿んだ…ちょっと腹が出てるんです、ウチの父(笑)
皿に溜まった汗を天日干しして、塩にして僕たちに食べさせようとしたんですよ。
あの時はもうどうしようかと思いました。
翌日、幸いなことに雨が降りまして、事無きを得ました。

(二人口々に)何をしでかすかわからないんですよ!

質問:もし1日ほかの人になれたら誰になりたいですか?

勘太郎:やはり…ブラピ。アンジーと一緒に過ごしたい!(笑)
七之助:どうしようかな………アラブの石油王とかなってみたいですね。
勘太郎:1日だけだよ?
七之助:どんな生活してるのか興味ある。お金持ちになってみたい。
あ、あとスポーツ選手とか…

(ここで二人にスイッチが入ったかのように怒涛のトーク)

勘太郎:前に二人で『六月勝利の歌を忘れない』のDVDを観まして。
※注・2002年6月。サッカー日本代表をキャンプ地・静岡「北の丸」から
決勝トーナメントのトルコ戦後の解団に至るまでを
ひたすら撮り続けた半ドキュメンタリー映画。岩井俊二監督。
どうやらトルシエ監督と選手のやりとりがツボだったようで…
七之助:もし僕が代表になったら…
本名が隆行なんで「タカ」って呼ばれると思うんですけど(細かい!)
トルシエにロッカールームで「タカ、アップしておけ」
なんて言われたら~(テンション上昇!)
勘太郎:もうもう…(言葉にならない)
七之助:あー、熱くなってきた(爆)

(二人をここまで熱くさせる『六月勝利の歌を忘れない』
ぜひ観ないといけないと心に誓いました!)

質問:お二人の好みの女性のタイプは?

勘太郎:僕は弟と逆でキレイな人よりかわいらしい人のほうが好きです。
七之助:タイプ? 外見ですか?
いやー、僕を好きになってくれて僕も愛せたらそれが好みのタイプです。
(とキレイにまとめようとするが)
勘太郎:(にやにやしながら)いやぁ、ウソつきだなぁ(笑)
こんなこと言ってますけど実際は…
七之助:(苦笑)


ちょっと妄想で捏造した部分もあるかと思いますが
だいたいこんな感じでした。
 

花形歌舞伎 昼の部

観劇:2006年11月
会場:新橋演舞場

どうしても観たくて、やっと手に入れた一階席。
とっても久しぶりな歌舞伎の一階席、いつ以来だろう…?
それなのに~


■ 番町皿屋敷

いきなり薪車さんがいます。
青山播磨(松緑)に喧嘩を吹っかける町奴の一人
しかも猿弥さんの手下。
十内と図書が手を組んだ!(注目するポイントが間違っている!)

その喧嘩を収めるのが播磨の叔母。
ついでに縁談も薦めます。
それはきっぱり断る播磨。
彼には意中の人がいるのです。

その思い人、腰元お菊(芝雀)。
ご主人であり恋人でもある播磨に縁談があるのを聞いて
気が気じゃありません。
そこで彼の本心を試すために
家宝の10枚セットの皿を1枚割って様子をみます(なんで?!)。

粗相なら仕方ないと一度は許す播磨。
だけど自分を試すためわざと割ったことを知ると激怒(怒り方がコワい)。
自分の真心を試すとはなにごと?!
ブチ切れまくり、制止を振り切りお菊を斬ります。

前半の喧嘩早い気性がここできいてきます。
お菊も観念して黙って斬られるのでした。
その後、播磨はグレてしまいましたとさ。

あれ? 私が知っている「皿屋敷」とは随分違うのね~。
前にお菊ちゃんが井戸に落されて水浸しで出てくるのも観たけど
それとも違うし。

いわゆる新歌舞伎といわれるものですけど…寝ちゃった(苦笑)
ジジイな亀蔵さんが出てくるたび目が覚めたけど。
ダメだわー、新歌舞伎。
でも『元禄忠臣蔵』は平気なんだよねー。謎です。


■ 勧進帳

肝臓腎臓小腸が出て来たら面白いな~と不謹慎なことを考えつつ(笑)
あ、もちろん出てきませんでした。

今回初めて弁慶以外の義経の家来が知っている役者ばかりで
誰が誰かわかった!
緑を着ると沙悟浄を思い出しちゃうよ、段治郎さん…

『勧進帳』が面白かった! と手放しで言える日が来るのでしょうか?
今回も撃沈(苦笑)
久々の一階席だったのに
真ん中過ぎて弁慶が見えないことが多すぎた。
おまけにセリフも聞き取れない~。

でもラストはばっちり! このための一階席か! と思った次第です。
勇壮な弁慶、血管切れそうな目力でございました。


■ 弁天娘女男白浪

この演目を観るのは何度目でしょう?
亀治郎さん・七之助さん・勘三郎さんの弁天小僧菊之助で観ています。
ほかにもあったかな?(忘れている気がするぞ)
何度でも観るぜ! 大好きなのだ。

今回は、菊之助さんの弁天小僧菊之助です。
いやはやセリフが明瞭で素晴らしいです。
『十二夜』で蜷川さんにしごかれた成果か?!
あの正体を現わすところは完璧! ステキ~。

松緑さんの南郷力丸とも息がぴったりでした。
すごーく仲のいい二人でした。
でも過去に観た亀治郎さんと獅童さんの弁天小僧と南郷が
サイコーにいちゃいちゃしていた記憶があります(笑)
播磨もよかったけど、こっちの役の方が好きだわ~、松緑さん。

『勧進帳』同様、真ん中がとても観難かったのですが
今回はこれを観たくて行ったのでガンバリました。
後ろの席の人にはやや迷惑だったかもしれませんが。
でも上手は捨てていたのでそれほど迷惑じゃなかったと思う
…がどうだろう?
おかげで日本駄右衛門(左團次)がほとんど観られなかった(苦笑)。

やっぱ黙阿弥おもしろいわー。
前に通しで観たけど「実は…」が多くてとても楽しかった!
ぜひ、また通しを上演してほしいものです。
できれば若手中心の公演で!
弁天小僧菊之助は若い人で観たいんです。
 

三響会

観劇:2006年10月
会場:新橋演舞場


予定どおり開演5分前に滑り込み。
でも連れの友達は電車の乗り間違えにより遅刻…
最初は「ハナシ」だから遅れても大丈夫よ~とメールしたあと
「囃子」と「話」を勘違いしていたことに気づいた(笑)

その囃子競演がよかったんですよ!
大太鼓に林英哲さんというゲストを迎え
会場中に響き渡る大太鼓の力強い音を聞き
ついでにすきっ腹にも響かせながら、だんだん私のテンションも上がる。
なんで?! なんだか感動するんですけど!!
おまけに尺八に藤原道山さんですよ! 初めて見た~。
そして『魔界転生』の曲!
でも実は聞いているときは気がつかなくって
「なぜか十兵衛先生のお姿が脳裏に浮かぶ~」と疑問でした。

七之助さんの『藤娘』が終わったあとは
お待ちかね! 亀治郎さんの『安達原』です!!

私が知っている山姥のアダチガハラ。
でも亀治郎さんは何の役なんだろう?
主役の山姥だと思いつかないあたり不調加減が覗えます(苦笑)
そんなわけで先に登場した若い人が亀治郎さんだと勘違い。
あら。しばらく見ない間に顎のラインがすっきりと…
おや。声まで変わって。
……ここまでくればいくらなんでも別人だと気づきましたけど(爆)
正解は梅枝さん演じる東光坊祐慶です。清々しい若僧でした。

その祐慶と従者の強力太郎吾(段四郎)が一夜の宿を借りた家が
山姥の家だったのです。
そうとはまったく知らない二人…

亀治郎さんの登場はオババの拵えで大変ショックでございました。
でもオババ姿を初めて見たのでちょっとおもしろかった。

後半は待望の鬼です! 山姥です!!
なぜか顔半分だけ隈取りした仮面舞踏会か?! な顔。
衣装がズルズルしていて期待したよりはオトナシイ動きでしたが
それでもやっぱりあるのね! の回転!!
やー、回ると思ったのよ。いや、回ってほしかったの!!
おまけに前方に倒れ、ガバ! と起き上がり
最後にはぴょーんとセリに飛び込むという荒技。
ここは正面で見たかった!!

ああ、やっぱ亀治郎さんはイイ! と改めて思ったのでした。
友達も気に入ったらしく「パンフ見せて」と確認していました。
すかさず「来年の大河に出るの」と売り込む私(笑)

歌舞伎のあとは能の『安達原』。
元ネタとアレンジものを見比べるという企画です。
そうか。元が能だからやや地味だったのね?

先に歌舞伎を見せてもらえてよかったです。
おかげで内容がわかりました。
慣れぬ能ではやっぱり悪戦苦闘したのでした。

歌舞伎と違ってマジメなワキ(殿田謙吉)とワキツレ(御厨誠吾)。
歌舞伎では段四郎さんが茶目っ気たっぷりに山姥の寝室を覗いて
正体を知ったのに、この二人でいったいどうやって?? と興味津々。

あれはどういうことなんだろう…
ワキたちと一緒に登場してじっと待機しているアイ(萬斎)
シテ(片山清司)の山姥が「寝室は見ちゃダメですよ」と言い残し
「もてなし」のため外出したとたん動き始めるアイ。
「見ちゃいけないと言われると見たくなっちゃうよね!」と雄弁に語ります。
ワキとワキツレは「ダメっつったらダメー!」とマジメです。
何度か二人に遮られつつもついに寝室を覗くアイ。
「フギャー! あの人、山姥ですよー!!」と報告を受け事態は急展開。

はー。なるほど。そういう仕組みなんですか。
強力の役割は狂言師が務めるってことなんですかー。
いやはや、思っていた以上に能が楽しめました。
それはひとえに萬斎さんのおかげだと思います。

パンフには「自らの本性を知られたくない」
「女性が持つ弱さや羞恥心を表現したものである」とありましたが
言われてみれば確かにそんな印象を受ける山姥でした。

やっぱ三響会はおもしろいなー。若手中心なのがウレシイです。
今年は無粋なアナウンサーもいなかったし(笑)
去年は「拍手禁止令」がでましたから、反応しにくかったんですよね。
 

通し狂言 染模様恩愛御書-細川の男敵討

観劇:2006年10月
会場:大阪松竹座

過去の某所の感想を移動。
どんだけ熱狂したのかってのがわかる超長文。
本当に長文なのでお覚悟召されよ!

の部分は私が改めてコメントした部分です。


通し狂言 染模様恩愛御書-細川の男敵討

【第一幕】

序幕はこの物語の全ての発端である
横山図書がいかにして数馬の父・印南十内を殺害したかが明らかに。

よそ者の横山図書猿弥)が、メキメキ出世したのと
藩内の美人アイドルいよ芝のぶ)を妻にしたことをやっかみ
図書を陥れようと画策する悪の四兄弟(別に兄弟ではないですが)。
図書に「アンタの奥さん、密通してまっせ」とでっち上げを密告。
それを真に受ける図書。…心当たりがあるのか?
かねてよりいまいち心を開いてくれない妻・いよを気にしていた様子。
美人の妻を貰うのも良し悪しですね。

ショックを受け自棄酒をあおり帰宅し妻を問い詰める横山図書。
もちろん濡れ衣ですので、いよは否定します。
しかし聞く耳持たない図書はいよを斬り殺します。

そこへ間の悪いことに数馬の父・十内薪車)が
疱瘡に効くお守りを譲ってもらおうとやってきます。
息子(数馬)が疱瘡で、気が気ではない子煩悩パパなのです。

斬り殺されているいよを見て「なんと!」と驚くパパ。
だって浮気してるって噂を…」の図書の弁解を聞き
そりゃアンタ、騙されてるよ」と説明するパパ。
そこで初めて自分の短慮に気づき愕然とする図書なのでした。

しかしここで企む横山図書。
ええい、ここで十内も斬って密通の現場を押さえたことにしよう!
ひらめきはいいようです。
それを実行してトンズラするのでした。
酷い人ですが、なんだか憎めないのが猿弥さんの魅力なのだ。

それから10年後。
浅草寺の境内です。…大阪まで観に行って浅草の話?(笑)
やっと主役の片割れ印南数馬愛之助)登場です。
ピンクの振り袖に袴という倒錯的ないでたち。
そこへ数馬にぞっこん(死語)の腰元・あざみ春猿)が
もとは寺小姓の数馬様。同じく寺小姓の吉三郎に会いたくて
火をつけた八百屋お七の気持ちが私にはわかります

みたいな口説き文句で数馬にすがり付くあざみちゃん。逃げる数馬。

さあ、見染めのシーンです!
主役・大川友右衛門染五郎)登場!!

お互いなにかを探している様子で前も見ないでキョロキョロ。
ほーら、ぶつかった。謝りつつも一目ボレする二人。
数馬の落した杜若を拾い、跪いて渡す友さん。
照明がピンクなんじゃないか?! というくらいロマンあふれるシーンです。

ちなみに杜若の花言葉は「幸運、雄弁」 ←調べてみた(笑)

ここから友さんの恋の暴走特急が発進します。
麗しの小姓殿についてガンガン調べて、恋文をしたため
なんとか出会いの浅草寺境内で再会したいっ! と日参する友さん。

その甲斐あってようやく再会を果たした二人。
ここが正念場と緊張が最高潮に達する友さん。
モジモジする様子がおかしい。
しかしどうにか数馬の袖に恋文を忍ばせることに成功。
その後も遠ざかる数馬を名残惜しそうに見送る友さんなのでした。

恋文を受け取った数馬も驚きつつもまんざらでもなさそうです。

その数日後、数馬の勤め先の細川家に下男として転職し
名前も「袖助」に改め、数馬との再会の機会をうかがう友さん。
侍だったのに下男ですよ。
でもその働きぶりを認められて出世したようです。
とりわけ文字を書くのがミゴトと上司の覚えメデタイ友さん。
さすが手紙魔。特技を生かしたアタックなのですな。

屋敷内にて再び数馬の袖に恋歌を忍ばせることに成功。
その名も袖助。
袖に忍ばせるから袖助なのか袖にされるのを覚悟の上の命名か?!

おっと忘れちゃいけないあざみちゃん。
彼女も勤め先で数馬に出会うたびに口説きます。
露骨に逃げようとする数馬。
その際に友さんからの恋歌を落してしまいます。
忍ぶ恋の歌?! ライバル出現!!」と闘志を燃やすあざみちゃん。

そのあざみちゃんが近くにいるのに
数馬は友さんに返事の文を投げ渡します。
なぜ投げる?!(爆)
拾った友さん、うれしさのあまり大声で読み上げてしまいます。
今宵忍んできてくださいとは夢ではないだろうか?!
もちろんあざみちゃんも聞いています。

そして夜。
数馬の部屋へ忍んでくる友さん。
あれよあれよと数馬のリードで奥へひっこむ二人。
友さんが帯くるくるされて「あ~れ~」と笑いもとりこみつつ
『トップランナー』にて暴露された影絵のシーンです。

当時、私が遠征する前に披露されたのです。忘れていましたが…

袴を直しながら出てくるなーっ!
上座と下座が入れ代わっているのが興味深い。
気分はすっかり兄貴分の友さんです。
デキ上がってから敵討ちの事情を話し、義兄弟の契りを結ぶ魔性の小姓。
友さんの膝に手を置いて話すのはホステスの技ではないか?!

ホステスはお客の膝に手を置いて
「これが私のメルアドよ」と名刺を渡すのが常套、とテレビで言っていたのだ。

ついに問題の血の誓いのシーンですよ!
と、二人に集中していたら、どこからか女の奇声が。
この様子を密かに覗っていたあざみちゃんです。
美人で有能なワタシを振って身分の低い男に…と悔しさを滲ませます。
春猿さんの演技が本当にジェラシーをミゴトに表現しているのです。

惚れた男を男に寝取られた~」と怒り凄まじく殿と奥方へチクります。

あざみの話を聞いて殿・細川越中守段治郎)と奥方・照葉吉弥)の前に
連れてこられる数馬。
不義をしたとは本当か?」「事情があるのでしょう?
とお気に入りの小姓の過ちをなんとか穏便に収めようとする二人。
しかし、数馬の部屋の長持ちから友さんが出て来て
腕にはお揃いの刀傷
それにあざみが持っていた恋歌と、証拠は揃っています。

事情を訴えながらお互いを庇い会う友さんと数馬。
その様子を見ていた殿さま
話わかりすぎ。
数馬の敵討ちを助けるとはあっぱれじゃ!」と大喜び。
この殿さま、なんだか変です(笑)。おおざっぱで好き。
友さんを侍として、大川友右衛門として改めて採用じゃー! と大奮発。
その際の「大川も元は細川」と周囲を丸め込む殿さま。おもしろい!!

この時のあざみの驚愕っぷりがすごかった。
がっくりと項垂れ、わなわなと着物の袖を震わせるあざみちゃん。
キレイなだけに壮絶です。
もちろんこの子がこのまま引き下がるわけはないのです!


【第二幕】

お話はあっと言う間に4年後。
友さん(染五郎)の
妹・きく芝のぶ)と横山図書(猿弥)が結婚しています。

実は、友さんが数馬(愛之助)に猛烈ラブアタックの最中に
たった一人の妹・きくに縁談が持ち上がっていたのです。
会津を出奔した横山図書が印南図書と名を変えて
かつての妻・いよにソックリなきくに結婚を迫っていたのです。
…しかし、江戸でもそれなりに出世している図書は世渡り上手であるな。

きくが縁談について相談しようにも暴走中の友さんは捕まりません。
もっとも相談しても自分のことで精一杯の友さんが
役に立つかどうかは疑問ですが。

しかたがないので親代わり玄庵先生と相談して
結婚することにしたようです。
4年間も音信不通とはなにをやっていたのか?!
ひさしぶりに再会した兄と妹。
妹の夫が数馬の敵であると知り、そのまま敵討ちに雪崩れ込み!!

うーん。義兄弟としては最高の友さんですが
実の兄としてはなかなか最低な感じですね。
妹の幸せも考えてほしい~。
実は小説ではきくは図書との縁談はあったけど結婚はしなかったので
密かにビックリしたのでした。

当時この歌舞伎とタイアップで小説が発売されたのです。
抜かりなくそれも予習して行ったのですが…
まったくの別物なのでこの小説は読まなくていいと思います(苦笑)

一方、たまたま細川の屋敷に使いに来ていた横山図書。
正体がバレ、そのまま屋敷内で追われる身となります。
事情を聞いたあざみ(春猿)
これに便乗して友さんを亡き者にしようと暗躍。
…4年間ずーっと思い続けていたのですね。
なんてけなげな(泣) イヤイヤ、諦めが悪いよ、あざみちゃ~ん!

私が協力するからその替わりに友さん殺して数馬を助けて。
とあざみは図書に持ちかけます。
そんな理屈が通るわけがないのに承知する図書。
あざみの策略により火矢で細川家に放火する図書。
この時、本火で燃える矢を客席に向かって放とうとするのでビビった。

そこへ「こらソコ! 放火は大罪だぞっ」と言いながら数馬が到着。
それを見つけた図書が数馬に斬りかかります。
話が違う!」と怒るあざみに
あさはかな女よ。あれは方便だ」と開き直る図書。
たしかにあざみはあさはかだ(苦笑)

殺陣が早い!
さんざん雑魚を倒したあとに、数馬の相手をする図書。
丸っこい体(…)がくるくるとよく動き、時に弾みます。
機敏な猿弥さんの動きにクギヅケな私。
すんません、数馬をあんまり見ていませんでした。

その後になぜか遅れて駆けつけた友さんの相手をするのは
タイヘンだったろうに…。なにしろイチバン殺陣の早い人が相手ですから。
ついに追いつめられ成敗される図書。
大の字にひっくり返った状態で運ばれる猿弥さんに拍手!!

さあ、お待ちかね。アミューズメントパークな家事場のシーンですよ。

講談による実況の中、赤い幕の動きが大きくなって
炎の勢いが上がったのがわかります。
それに合わせて壁や天井から客席にももくもくと煙が吐き出されます。
ぬお、なんだなんだ?
こんなことが出来るのか、スゴイぞ松竹座!

家宝の御朱印を手に入れるため、燃え盛る蔵に突入です。
燃えながら煙を上げながら花道から登場、友さん。
装置がいっぱいで着膨れています(笑)
歌舞伎技もふんだんに採り入れた染さん孤軍奮闘場面です。
っきゃー!! もっとやって~!

燃え落ちる梁もあり、いよいよ脱出は不可能な感じです。
覚悟を決めた友さん、せめて御朱印だけでも…と
殿様の恩義に報いるため割腹します。
臓・臓・大を次々取り出し「これが『カンジンチョウ』だー」(爆)
…うぅむ。余裕あるじゃないか。
賛否両論あるらしいこの笑い、私は大好きです!

ただ、なんで急に勧進帳? という唐突さがありましたが。
このお話に絡めた笑いだったらもっとよかったなー。

内臓分を減らした自分の腹に御朱印を納めます。
客席にもバンバン火の粉が飛んできます。ふお~、すごーい。
もちろん火の粉の欠片を持ち帰った私。

あの欠片、どこへ行ったのでしょうね?(笑)

場面変わって焼け跡から友さんの遺体が運び出されます。
友さん死亡の知らせを聞き、崩れ落ちる数馬。
殿様(段治郎)の御前であることも忘れ遺体に取り縋って泣く数馬。

腹の中の御朱印に気づいたのは数馬でしたよ。
そうこなくっちゃ!
ちゃんと友さんの狙いをわかっている数馬なのです。

しかしさっきまで友さんの命懸けの御朱印探しに
あっぱれ」と喜んでいた殿様が
腹から出て来た御朱印に狂喜する現金な姿が気になってしかたない私。
ほんとこの人、素直だなぁ(笑)

一人残されてしまった数馬。
空から降りてくる友さんのとの思い出の花、杜若を手にする数馬。
それを見守る友さん、というラストでした。

おもしろかったー。大阪まで行った甲斐がありました。
歌舞伎じゃないとかいう否定的な意見もあるようですが
私は充分歌舞伎だと思いました。

前宣伝ではびーえるを前面に出していたので
どうなることかと思いましたが
観てみると忠義・因縁・嫉妬・炎上・切腹などの要素のなかの一つでした。
そしてあんまり衆道には興味をそそられなかった私。
仇討ちと火事場のほうが断然おもしろかったです!

いろいろな工夫が凝らされていてとても楽しめました。
義太夫の代わりに講談を使ったり、セットもシンプルで変幻自在。
笑いのシーンも多く、当代のお笑いネタを取り入れたり
カブキ踊りまで披露してくれるとは…。
そして謎の主題歌。
友さんと数馬の見染めのシーンや濡れ場のシーンで流れた
なんとも切ない二人の愛のテーマが…オモシロカッタです。

これは再演でも使ってほしい! すげー強烈で面白かったから!!

終わってみると猿弥さんの憎めない図書と
どこかとぼけた忠義好きな殿がお気に入り。
あとあざみちゃん。彼女はキョーレツでステキでした。

殺陣もスピード感溢れ、敵を討つ愛之助さん、その敵役の猿弥さん
はたまた助っ人の染五郎さんがカッコよかったので大満足。
そこに割って入る懸命なあざみちゃんのポイントも高い(笑)

そしてなんといっても火事場での染さん!
歌舞伎はエンターテイメントであると実感しました。

元禄忠臣蔵 第一部

観劇:2006年10月
会場:国立劇場

国立劇場創立40周年企画3ヵ月連続上演第一弾
『元禄忠臣蔵 第一部』を観てまいりました。

忠臣蔵にあんまり詳しくないのに行く気マンマンになった理由は
「3ヵ月連続!! その心意気買った!」だけなのです。
それなのに予習をしないで行くという暴挙に出たワタシ。

なにやら作られたのが新しいらしく歌舞伎度が低いのですね。
化粧は薄いし、見得はないし、口調もフツウ。
おかげで予習ナシでも楽しめました。

幕が開くとイキナリ刃傷沙汰が終わっています。
む。もう吉良殿、もう斬られちゃったの?
ネチネチ虐める場面とか切り付ける場面はカット…というかナイらしい。
ほうほう。じゃあなんで浅野の殿が吉良殿を斬ったかわからないのね。
あれ?あれ? 殿は「黙して語らず」なのね。
ええ? 理由は不明のまま??

この事態に異例の早さで裁決が行われます。
どのくらい異例か、不公平かは多門伝八郎(歌昇)が教えてくれます。

吉良には武士道の精神がない。
武士であればまず刀に手が行くはず
抜く抜かないの判断はその次である(これを脇差し心というらしい)。
吉良はそれすらしない。損得勘定ばかりである。
喧嘩両成敗が妥当ではないのか?! と多門くんは熱く語るのです。

おおお。そうだ! その通りだ!!
武士道や当時の法律に疎い私までも納得させられます。

どうやらこの裁決の影に柳沢吉保の存在があるらしい。
ここで浮かぶのは『大奥』で柳沢を演じた北村一輝の企み笑顔。
おにょれ柳沢~。と見えない柳沢に憎しみの炎を燃やす私。

いよいよ切腹まで後わずか、というシーン。
「明日は満月」と指差した先には
多門くんの計らいで特別に通された片岡源五右衛門(信二郎)が。
主・内匠頭(梅玉)の最期を目の前に対面する主従。
はらはらと舞い落ちる桜の花びら。
効果は満点! 涙がでた(泣)。

ようやく主役登場。
江戸からの第二の使者を待つ大石内蔵助(吉右衛門)。
あれ? 大石どのって言っている。大星どのじゃないのね!(気づくの遅っ)

殿の暴挙から切腹までまさかのスピード裁決に知らせが届くのを待つ。
到着した使者の言葉と舞台上の人達の嘆きに鼻を啜る観客多数。

…しかし残念なことにセリフが入っていないのか?
時々「うー」とか「あー」と詰まる吉右衛門さん(驚)
この芝居、実はプロンプがついていて、もっと露骨な人もいてビックリ。
さすがに吉右衛門さんはそこまでではありませんでしたが。

で、で、客席にもプロンプがいたんですよ!
つまりセリフを暗記している(!)お客が口にしてしまうんですが。
これがコワイのなんのって!
控えめに、でも、はっきりと言うから
役者の声と合わせてエコーがかかっているように聞こえるのです。
空耳か? そういうシーンなのか?! とパニックですよ(爆)。

さて切腹から一月。
続々と内蔵助の元へ駆け付ける家臣。
反対に浅野家に見切りをつけて逃亡する者も。
堀部安兵衛(歌昇)を始めとする急先鋒派をなだめつつ
駆け付けた人々に血判状を書かせ盟わせる内蔵助。

これが四谷怪談に出てくる血判状か、と思いつつ
はっきり言わない内蔵助にヤキモキしちゃうんですよ~。

彼の決意は死を目前にした人に明かされるのです。

元藩士で内蔵助の友・井関徳兵衛(富十郎)がコキタナイ格好で登場。
息子・紋左衛門(隼人)を連れています。
この息子が、はにゃーっとしててウケる。
なんだろう。武士の子と言いながら武士としては育ってないわけだから
ちょっと線が細いのはしかたないのか? にしても…うぷぷ。

この不幸な親子は浅野の殿が敢えない最期を迎えたのを聞き
自分達も「仇討ちに参加させてもらおう」と駆けつけたわけですが
なかなか決起しない内蔵助に苛立ち、ついに自害してしまうのです。
やがて死に行く友にやっと本心を打ち明ける内蔵助。
用心深いにもほどがある!
と思いつつ、またしても涙を流してしまうのでした。

で、来月に続くわけですね。まだなーんもしていません、内蔵助(笑)
それなのに涙を絞り取られたワタクシ。

それにしても男だらけの芝居でした。
ま、歌舞伎ですから男の人しか出てこないんですけど(笑)
そういう意味ではなく、女の役が少ない!
内蔵助の奥さんのおりく(芝雀)が出てきたときは
わぁ女性だわ~とうっとりし過ぎて話を聞いていなかったという(爆)

あと登場人物が多すぎ!
とても全部は触れられません。
が、亀寿さんがよかったことだけは言っておきたい!

さて来月の内蔵助は藤十郎さんです。どんな感じなのでしょうか。
楽しみです! つーか今回のキャストのままでもOKなんですけどね。
 

二度目の幕見

観劇:2006年9月
会場:歌舞伎座

平日の幕見だったので会社帰りに友達と待ち合わせ。
6時過ぎには歌舞伎座に着いてしまったので
8時からの発売まで2時間近く待つことに…ハリキリすぎ! アホかー!

もちろん先頭なので座りながらお弁当を食べる。
待っている間にいろいろなことに遭遇しました。

歌舞伎座が待ち合わせスポットになっていることに驚愕し
「待ち合わせまでの時間潰し」に幕見をしている人がいることに仰天。
幕見の途中で出てくるんですよ…!!

えええ~? そんな利用方法、考えつかなかったよ!
歌舞伎座は歌舞伎を観るところ!!
私なら最後まで観る! 終わる時間を待ち合わせ時間にする!
そもそも観劇とかぶるような予定はたてない!!

あと、ゴ○がいた(と言っても「ゴリ」じゃないよ)。
自販機の近くで、ごみ箱もあったから居心地がいいのであろうか?
ちょろちょろ移動するゴ○に列んでいるお客はハラハラし通し!
来んな、来んなーっ!! と心はひとつ。


■ 鬼揃紅葉狩

予想に反して松羽目物でした。半分、舞踊です。
うぅ~ん。
『児雷也』の地獄谷のようなセットを期待していたので拍子抜け。

けど派手で、かわいらしい人たちも見られて満足。
信二郎さんも凛々しかったし。

姫な染五郎さんも初めて見られました。
綺麗でした。
ほんとーに美しかった! 予想以上!!
これなら青ヒゲ君なんて言われないぜ!(新感線では言われちゃうのだ)
でも声は染五郎さんだった(笑)

侍女たちまで鬼になったのは壮観。
鬼メイクじゃ誰がだれやらわかりません(まだまだ修行が足りない)。
赤髪のボス鬼と茶髪の鬼たちでした。
花道に勢揃いした時の鬼たちの顔はノリノリで忘れられません。

私は鬼とか蜘蛛が大好きなので、すごく楽しかったんですけど
改めて考えると『鬼揃紅葉狩』はあんまり初心者向きではなかったか…
読みが外れました(苦笑)

友だちに感想を求めたところ

「何がなんだかわからなかった」……そうか。洗脳失敗。ガクっ。
「でもなんだか見入っちゃった」と御満悦のご様子。おお、よかった。

「舞台が上下したのがおもしろかった」
セリのことですね。一度だけ使用したのです。
ホントはもっとスゴイ仕掛けもいっぱいあるんだけど~。

「で、あの巫女さんは女の子だよね?」
……ザンネン! 女の子が出る場合もあるけど今回は男の子だー!!

「今度は違う感じのも見てみたい」と言ってもらえました。

よっしゃ! がんばって変化に富んだものを見繕うよ!!
と心に誓うワタクシなのでありました。
 

籠釣瓶花街酔醒

観劇:2006年9月
会場:歌舞伎座(3階席)

■ 籠釣瓶花街酔醒

初めて観たんですが、思いがけずよかった『籠釣瓶』です。

振られ男の逆恨みから狂気に陥る話だと思っていたら
そりゃあ殺したくもなるわいな、な話だった。

序幕は華やかですな~。花魁道中だぁ~!
そりゃ、どうなっとんじゃ?! な帯や飾りで
ドギモを抜かれる次郎左衛門(吉右衛門)と下男治六(歌昇)と、私。
豪華です! 絢爛です!!
しかし福助さんの八ツ橋の笑みは私にはコワかったのでした。

ヒモ生活を満喫している栄之丞(梅玉)が権助(芦燕)に唆され
怒りながら花魁・八ツ橋(福助)のもとへ乗り込む。
この権助が借金できない腹いせに
「八ツ橋が身請けされそうなんだぜ~」とバラしたばっかりに…
もっと穏便な知らせ方もあったと思うのだが~。

その際、浪宅でぷりぷりしながらも
さっさか着替える栄之丞の姿はさすが!
後ろ手に帯まで決めちゃうんだもん! かっこいいー!!
おまけに二枚目モードの梅玉さんの声が好きなのでたまらんのです。

満座の中での愛想尽かし。
そこに至るまでに次郎左衛門がどれだけ八ツ橋に惚れているか
どれだけいい人か(そしてどれだけお金をつぎ込んでいるか)
というのを刷り込まれているのでドンドン切なくなる。
連れて来た仲間にも馬鹿にされ、切なさ倍増。容赦ないな。
それでも周囲に気を遣い続ける次郎左衛門。エライ…偉すぎる!
最後まで残って次郎左衛門を慰める九重(芝雀)の優しさが身にしみる。

主従であっても、とっても和気藹々だった次郎左衛門と下男治六が
駕籠の件で気を遣い合うのを見て
「そんな仲ではなかったのに」と涙が出た(ここで泣く人も少なかろうが)。
うう…八ツ橋のばか。

それから4ヵ月後。
妖刀を携えての次郎左衛門です。
さっきまでとは打って変わって低いドスの効いた声。殺す気マンマンです。

袈裟切りにされる八ツ橋。
見所の海老反りです!
反ったままゆっくり倒れます。
音がしない!! すごい筋力だ~。

9月は吉右衛門さんの底力を見た気がします(いまさら…)。
いままでほとんど観たことなかったんですけど
『引窓』といい『籠釣瓶』といい
吉右衛門さんにヤラレタと言っても過言ではない!

はー、おもしろかったー。観に行って良かった~。
 

初めての幕見

観劇:2006年9月
会場:歌舞伎座

生まれて初めての幕見でした。
発売開始が10時半だから10時までに着けばよかろう
とアタリをつけて、いざ歌舞伎座へ!
うひょー! すごい列。すでに蛇行していますがな。おそるべし幕見人気。

人数を確認しているチケット売場の人に
「ここより後ろのお客様はお立見になります」と目の前で警告され
クラクラしながら急な階段を登る。
立見か…早くも疲れを感じる。

幕見席に着き、どこがいいだろうかと立見のベスポジを物色していると
「お座席ありますよ」
と番頭さんみたいな人に教えてもらう。
やった! すんごい端だけど座れた~


■ 車引

この演目は何度目でしょうか?
三越で観て、数年前に浅草でも観て、それ以前にも観た記憶が…

華やかですね~。
亀治郎さんはやわらかいです。
そっと傘の柄を掴む手や、すすすと歩く姿にうっとり。
でも意外に力持ち。二人同時に放り投げます。

荒々しい松緑さんはお好みです。
いひひ。元気だねー。

冷たいメイクだ染五郎さん。
衣装まで白いから更に冷たく見えます。

舞台正面では三人が取っ組み合っているというのに
その後ろが気になってしかたない。
黒衣が黒幕持って隠密行動中。
そうか、最初から牛車に潜んでいるわけじゃないのね~(そりゃそうね~)。

恐ろしい顔の時平…段四郎さんに見えません。

時平が現れてから染五郎さんは椅子に腰掛け、楽してる!!
と思ったら足の親指がピン! としていて楽どころじゃなかった!
見せることを生業にしている人は一味違うっす。


■ 引窓

この話は初めて観ましたが、これの前の話にあたる『角力場』は
数年前の三越で観たことがあります(あんまり記憶にないですが)。
獅童さん・亀治郎さん・愛之助さんご出演でした。
どう繋がったかはあんまり定かではないんですが(ダメじゃん)
意外におもしろかったのでした。

みんないい人~!

亡き父親の跡目を継いで出世した与兵衛(吉右衛門)の
なんともかわいらしい喜び様で和む。
それを受けて妻のお早も(芝雀)ウキウキしていてかわいい。
もちろん父の後妻である義母のお幸(吉之丞)も大喜び。

いいなぁ、この家族。

しかし、その与兵衛が殺人を犯したお幸の実の息子
濡髪長五郎(富十郎)を捕える役目を仰せつかったと聞いてから
ビミョウな空気に…
実はそのお尋ね者の長五郎(お幸の実の息子)が
2階に隠れているのです。
与兵衛の手柄のためには長五郎を差し出さないといけないし
そうすると長五郎は…、と悩むお幸とお早。

そうこうするうちに与兵衛が2階の長五郎に気づいてしまいます。
慌ててごまかそうとするお早や
人相書きを「買い取る」と言い始めるお幸の様子から
事情を察する与兵衛。

「お役目は夜だけだから日のあるうちはいらぬわい」
(たぶんこんなことを言っていた)と人相書きを母に渡し、外出します。

なんと見逃そうとチャンスをくれるのです!
ひぇ~! いいんですか?!
出世後の初仕事・初手柄を棒に振る気ですか?!

与兵衛が外出した後
さっそく寄ってたかって長五郎を逃がそうとする二人。
髪を切って人相を変えるのだ!(前髪を剃っちゃいます)
できればほくろもとりたいよ!(そりゃ無理だ)
そこへ実は様子をうかがっていた与兵衛が窓から投げた金包みが
ほくろに当たり、ほくろがとれます(ミラクル!)。

そうされつつも、与兵衛の立場を考えて自首しようとする長五郎。
ここに来たのも母に一目会いたいがため、ですから。

ひぇ~! いいんですか?!
捕まったら殺人罪だからヤバイんじゃないの?!

長五郎の決意は固く、説得された母により引窓の縄で縛り上げられます。
そこへ与兵衛登場! 戒めの縄を切ります。
すると引窓が開き、差し込んだ月の光をみて
「夜が明けた。私の出番じゃなくなった」と長五郎を逃がすのでした。

うう~ん。与兵衛さんオトコマエすぎます!!
それに応える長五郎さんもステキです。
お早、お幸の女性二人も板挟みになりながら…けなげですっ!

それにしてもこんなに義理堅い長五郎が殺人を犯すとは
いったいどんな事情があったのでしょう。
…そのへん説明されていたのかな~? 聞き取れてないのだろうか??
チラシにも書かれてないし。
 

納涼歌舞伎 第二部

観劇:2006年8月
会場:歌舞伎座


■ 丸橋忠弥

あんなに派手な立ち回りがあるとは! びっくりしました。
歌舞伎は奥が深い。
まだまだ見たことの無いバリェーションが存在するようです。

気がつけば立ち回りの後半は
私の口は開けっ放しだったのでした。

橋之助さんがクルリと回転させられるのが面白かった。
紐を組んで(編んで?)トランポリンみたいに使うのも初めて見たし
棒で人一人持ち上げちゃうのも初めて見た。
びっくり~!! あんなこと出来ちゃうんだ。
運動会の組体操のようだ。

戸板は意外と丈夫なのもわかったし(笑)
屋根まで駆け上がっちゃうんだもんな~。
戸板3枚の大技は『義賢最期』で見た記憶が蘇りました。
その時も確か橋之助さんだったような…

この演目好きだ!! 違う役者でも観たいぞ!!


■ 近江のお兼

過去に勘九郎時代の勘三郎さんのお兼を観たことがあります。
晒を使うことと馬がいたことしか覚えていませんが。
それにしても人形のような福助さん。
涼しい顔していましたけどホントはタイヘンなんですよね?

お兼の衣装はだんまりの毛野と同じってことはないですか? 似ている…


■ 新作舞踊劇 たのきゅう

あー、楽しいっ! みんなカワイイ!!
…以上。

というのも私らしくないのでちょっと書く。

太鼓がおみごと巳之助さん。
親バカキャラ炸裂・弥十郎さん。
目立たないけど男前だぞ亀蔵さん。
フェミニンな高麗蔵さん。
ありゃ珍しく男のこしらえ新悟ちゃん。
揃って踊ると何だか楽しさ倍増!

ぽんきゅうカワイイ~。

三津五郎の着物に人が楽しそうに踊っている様子が描かれていて
まさにそういうキャラだな~。
母の扇雀の着物には小道具(?)が描かれていて
またまた楽しくなりました。

そしてなんとも楽しそうな染五郎さん。
ノリノリでしたね。
キラキラの杖に意外と渋い着物。
ジジイで出てくるとは思わなかったです。

全てを見終わってからポスターを見ると「なるほどね~」と
改めてニヤリとしたのでした。

亀蔵さんと高麗蔵さんにくぎづけだったから
ラスト三津五郎さんと3人で踊った時はウハウハ。
やだー、どっちをみたらいいのー(主役も見ろ)。

セットもかわいらしく
分割しているのを見てPARCO歌舞伎を思い出した。

客席に子供が多かったのは
染五郎さんの教育テレビ出演効果でしょうか?
たまーに会社に行く前に見られるのですけど
ついつい見入って動作が止まりバタバタすることになります(ダメじゃん)。
 

納涼歌舞伎 第三部

観劇:2006年8月
会場:歌舞伎座


■ 南総里見八犬伝

悪女不在の八犬伝。
玉梓も船虫も夏引も出てきませんでした。

まぁ配役でわかっていたことなんですけど、やっぱ、いないんだな~と。
そういうことならカブキ版として楽しみましょう! と覚悟を決める。
でも時々、原作を思い出しちゃうのは仕方ないんです。
八犬伝ゲキラブだから(笑)

けど玉梓がいないとなると、この話は根底から覆されるのでは…??
心配ご無用!!
かわりにドロドロ登場したのが八房にヤラれた安西景連の亡霊。
だ、だれだ?! 音羽屋? ってまさか松也さんかい??
うっぎゃ! その亡霊に操られた八房が伏姫のいる庵に侵入しているー!!
のっけからやってくれます、八房。←?

なんだか唐突にあらわれる新悟ちゃんの…あれ、なに? 女神??
…筋書がないから役がヨクワカラナイよ(泣)
ちょっとオモシロイじゃないか。
役割としては
「玉を持つ8人の犬士が里見家を再興してくれるのよ~」ってことを
教えてくれるだけなんですけど。
ドライアイスもっくもくでなんだかユカイ。

ピンクのお召し物の伏姫(扇雀)、腹を切る理由が違うような?
大輔(秀調)も姫を探す理由が違うような?
里見家が滅亡したから姫を探すの? チガウでしょー。愛のためでしょー?
ところで里見家って滅亡したの?!
落ちぶれてはいたけど全滅はしてなかったような?? ま、いいか。

浜路(孝太郎)とラブラブな信乃(染五郎)。
二枚目の印のチョロリがセクシー。ヤサオトコ風ですね。
あり? 女装はカットですか? ガッカリ~。

意外とこざっぱりとしている荘助(高麗蔵)。
にら蔵(PARCO歌舞伎)を思い出して楽しくてしかたなかった。
後半、緊縛美(?!)を披露してくれました。
あの状態で啖呵を切れるとはなかなかみどころがあるぞ(偉そう)。
救出劇が思いがけず派手で驚きました。

予想よりアヤシさを感じなかった網干左母二郎(三津五郎)。
その分、道節(三津五郎)がアヤシかった(笑)
思わせぶりな頭巾を取るとものすごいヘアスタイルでした。意外!
座長の見せ場は六法でした。が、3階席の私にはあんまり見えず…
けっこう花道つかうなぁ、この芝居。

数少ない女性キャラ浜路。がんばっていました。
いち早く村雨丸に気づき体を張って奪還しようとけなげに奮闘。
館に着くまで気づかなかったのほほん信乃よりよっぽど偉い。

さてその信乃はお召替えしてすずしげな水色で再登場。
揺れるポニーテールが若々しい。
偽村雨丸に関する言い訳 → 逮捕 → 逃亡
と一幕目とは打って変わって急展開!
芳流閣の場はおもしろかった!
屋根上の立ち回りは大人数で派手だし、がんどう返しは楽しい!!
ここでは3階席だけのお楽しみが。
がんどう返しで角度が急になると「あわわ」と
屋根上の二人が慌てて両手をつくのが見られます(笑)

満を持しての登場、現八(信二郎)はかっこよかったです~。
出番が少ない割にお召替えも多くて、いろいろな現八が楽しめます。
ほっぺの痣がラブリー♪

その現八の幼なじみ小文吾、まるで濡髪長五郎のようないでたち。
大きい弥十郎さんがさらにふくらんでいます。
やさしい小文吾と弥十郎さんのキャラが合っています。

アヤシイ女田楽・毛野(福助)。
男になったり女になったり変幻自在。おミゴト!
歩き方だけでわかるもんな~。
芝のぶさんを引き連れて(もう一人は誰ですか?)踊るシーンもあり
ぶっかえりもあって充分な見せ場でした。
でもずるずるした裾のままの立ち回りはちょっとタイヘンそう。

化け猫ナシだと出番が少ない角太郎(孝太郎)。ちと影が薄い…

それと同じくらい影が薄い親兵衛(松也)。
だんまりの鮮やかな赤と水色の扮装は若々しくて好きです。
しゃべると声が意外に太っ!
どうも松也さんと言うと『児雷也』のイカれた娘さんのイメージが強くて…。

宮六と大記の二大エロキャラを一手に引き受けた亀蔵さん。
テイストの違うエロが楽しめます。
亀蔵さんが「グヘヘ」と笑うとつられて「ぐへへ」な私です。

個人的に注目していた扇雀さんの男役にして敵役。
ラスボス山下定包です!
ふおおお~。見慣れない感じです。立ち回りもあるよ~。
おっとりな姫やかわいい娘さんの姿で見ることが多いので新鮮でした。

あらすじ知らないと結構キツイのではないでしょうか?
限られた時間であの長い物語をまとめるのはムズカシイですね…
『たのきゅう』に力を注ぎ過ぎたのか(?)
初日は散々だったようですが、それほど気になりませんでした。
派手で「歌舞伎だね!」って感じで楽しゅうございました!

第五回 亀治郎の会

観劇:2006年8月6日
会場:国立劇場小劇場

パンフがオールカラー120ページで1500円。
ずいぶんと気合が入っている。
よし! その心意気、買った!! というわけでお買い上げ。

席は花道の真横でナイスでした。
ちょっと後ろだったけど。


■ 奥州安達原~環宮明御殿

…『奥州安達原』って山姥の話だと思っていましたが
違いました。
少なくとも今日見た限りでは山姥は影も形もないのでした。
おっかしーなー。何と勘違いしたんだろう??

平仗直方(段四郎)には娘が二人います。
妹は源義家(愛之助)の妻になり
姉はできちゃった駆け落ちで行方知れず。

その姉・袖荻(亀治郎)が数年ぶりに実家に帰ってきます。
盲目となり(栄養失調か?)幼い娘に手を引かれながら
瞽女として生活。
勘当されているので中へは入れません。
やがて父が気付きますが会おうとしません。
母・浜夕(竹三郎)は落ちぶれた娘を不憫に思いながらも
夫に遠慮して中へ入れることはありません。

袖萩は祭文に託して、これまでの経緯を歌にします。

うをっ! 亀治郎さん、三味線、弾けるんですね!!
さすがにたどたどしいところはあったけど、確かに弾いていました(たぶん)。
すげー。
おまけに盲目の役だから終始、目を閉じているし。
それに厳しい境遇の袖萩とその娘・お君が登場したら
劇場の温度が下がった気がした。
すごいな。オリゲルドか?!(byガラスの仮面)

それなのに父は「今さら何しに来た」とまだ冷たい。
それに対して娘
「父上が死ぬ前にひとめ会いたい」

えええ?? 父上、死にそうなの?!
確かに総白髪で高齢だけど、そんなにヨボヨボしてないよ?
なに? 切腹?!
皇子・環宮が誘拐された責任をとって?
…そういえば前半にそんなことを言っていたな(解ってなかった)。
しかもその誘拐の首謀者は袖萩の夫?!

次々と明らかになる仰天事実に私はオロオロするばかり。
なんてこったい!!

オロオロしている間に父と母は屋敷へ引っ込み
ますます降り積もる雪の中、娘と二人残される袖萩。
持病に苦しむ袖萩を思い、娘は自分の着物を母の背中に掛けます。

雪の振る中だよ? なんてけなげな娘…!!
このお君ちゃんには要所要所で泣かされます。

やがて屋敷で詮議を受けていた義弟・宗任(亀鶴)に
「お家再興のため、父を殺せ」
と短刀を託され、父と夫の板ばさみに悩む袖萩。

さてさて、袖萩は知らなかったのですが
彼女の夫というのが安部貞任(亀治郎・二役)だったのですね。
つまり、妹の夫の敵。
おまけに父が責任を取らなきゃいけない誘拐事件の犯人。
おかげで袖萩の実家は大混乱、なわけですよ。

結局、父は切腹、袖萩も自害。
いまわの際に和解した父と娘なのでした。
…腹切ってから和解してもね~、と思いつつ安堵する私。

すると隣の部屋から桂中納言に化けた安部貞任(亀治郎)が登場。
あれ? 舞台上には自害した袖萩が倒れています。
…さてはあの袖萩は影武者であったか!!
どーりでおかしいと思ったよ。顔見せないんだもん。

その後はぶっかえる貞任
勇ましく再登場の宗任
力をあわせて大暴れ!! な歌舞伎らしいシーンに
大満足なワタクシなのでした。
久々に「歌舞伎」をみた気がしました。

貞任の変身は何段階にもなっていて面白かった~。
最後には元に戻るしね。
ぶっかえりから元の状態に戻るのって初めて見た。可能なんだ…

亀鶴さんの宗任は意外に出番が多くてよかったです。
しかし亀鶴さんてもっとほっそい人だと思っていました。

まるで『四の切』の義経のようないでたちで登場、愛之助さん。
後半はお召し替え。武士っぽくおなりでした。
あんまり動きがないのが残念です。
が、目の保養~。この人が10月に…と思いを馳せる(爆)


■ 天下る傾城

袖萩とは打って変わって煌びやかな衣装で登場、亀治郎さん。
それもそのはず、傾城役でした。

舞踊でしたが、私にとって数少ない
「踊りでも眠くならない役者さん」だったので楽しく観られました。

後半は鈴の音が美しい楽器(?)を手にした傾城が
蝶に誘われる鈴に引きずられるように花道を引っ込み
赤い獅子に扮してせり上がってきて大興奮!

おや? 何かが足りない?
と思ったら隈取がなかった。獅子ってあったよね? 隈取。
それにジャンプがなかったから、ずいぶんとおとなしく見えた。
その分、力者の二人が体張っていたんだけど。


ふー。それにしても亀治郎さんのチョイスは燃える演目が多い。
ラストに盛り上げるのがお上手なのかな。
しばらくは大河ドラマで見られないのが本当に残念。
と、思ったら今年も『三響会』にご出演らしい。
およよ。平日か。なんとかなるかな?

七月大歌舞伎 夜の部

観劇:2006年7月31日 千穐楽
会場:歌舞伎座

鏡花ワールドその2です。


■ 山吹

ええと、この芝居について語るのは不可能なので、パス。
「ただのSMではない」と言われてしまうと
「ただのSM」以外に見えない私は何にも考えられないのでした。
と言いつつ、ちょっとだけ…

終始、段治郎さん演じる島津に肩入れして観ていました。
縫子さんの唐突さは凡人・島津にはハードルが高すぎたようだ(私にも)。
島津のホームズ姿は必見。あとはパイプがあれば…
そのかわりの傘。しかし、あの傘は小さすぎやしないかね?

それと最悪だった出来事を。
腐った鯉を取り出す…それをどうすんだ? 食べんのか?!
と、高まる更なるアブノーマルな世界への期待…

不意に響き渡る黒電話の電子音!
そうです。ケータイを切っていない不届き者がいたのです。

その直後の鯉を捌くシーンでは鈴虫に似た電子音!!
そうか、季節は秋であったか、と自分を騙そうとしたが
舞台上では桜が咲き乱れ、ホケキョ!の声も。

うぬう、早く消さんかっ!!(どちらもしばらく鳴っていた)

しかし、あの鯉を持ち歩いていたのは…さすが藤次!


■ 天守物語

今月の歌舞伎座で一番面白かったのが、これでした。
玉三郎さん・春猿さん・吉弥さん・海老蔵さん・門之助さんの台詞が
ストンと理解できました。

亀姫と富姫の娘二人のきゃあきゃあしたシーンは楽しかったなぁ。
「お久しぶり」と懐かしむ場面ではなんとも上品でうっとり。
「あげません~」「いりません~」のあたりは
「もー! 好きにして!!」と呆れながらもにんまりしていました。

ノリノリ舌長姥・門之助さんのシーンは面白かった~。
頭がこっくりしていますよ。と思ったら居眠りしているし…
舌長姥、おもしろすぎる!!
「むさやの」と言いながら嬉しそうに生首を舐めるあのシーン。
おおお、舌がのびましたよ! ミラクル!!
その後ろではお上品に口元を隠しながら富姫が微笑んでいる…!!
あれも演技ですか? すごいです、富姫!!

ところどころにスーパー歌舞伎っぽい演出があって嬉しかった。
図書之助が行灯の火を消されるシーンの旗とか。
曲もどことなく似ているのがあったし。

亀姫たちだけで満足しちゃったけど、満を持して図書之助登場。
富姫と並ぶとうっとりが倍増。
しかし図書之助のあの発声はいかがなものか? 公子が残っているの?
最初「武士の主従関係」に疑問を持たない無垢(?)な状態で
だんだん富姫に感化されていくのかと思ったら、そういうわけでもない。
う~む。私の捕らえ方に問題があるのか?

思ったことを口に出す富姫が好き。妖怪って素直ね。
図書之助を明かり近くで見てからの変化は「おおお!」でした。
「人が恋に落ちる瞬間を初めて見てしまった」
思わずハチクロの名台詞を引用してしまいたくなりましたよ。

そしてなんといってもオドロキなのが、薄役の吉弥さん。
天守から見下ろしての実況中継がおミゴト!
いつもの私ならこういうシーンは気が遠くなって集中が途切れるのに
様子が伝わってきました!

もひとつオドロキは桃六の猿弥さん。
猿弥さんてわからなかったよ(そりゃ、私がウカツなだけか?)!
ミゴトな化けっぷり!

全体的に思ったけど「そこ、笑うとこ?」ってところでやたら笑い声が。
それもかすかに、ではなく明らかな笑い声。
どうも普段聞き慣れない言葉に反応しているらしい。
私はマンガと原作で下地ができていたからそんなに違和感はなかったけど
「おすずしい」「おめざましい」「りりしい」あたりに笑いが。
うう~ん。笑うとこではないと思うんだけどなー。
役者さんとしては不本意ではないかな? なんて余計な心配してしまった。

千秋楽だけあって、まさかのカーテンコール3回!
最後のは、あるとは思わなかったので歌舞伎座には珍しい歓声が。
私も興奮しましたっ!

社会人のための歌舞伎鑑賞教室

観劇:2006年7月21日
会場:国立劇場

■ 解説

いきなり花道をバタバタ駆けて立ち回り!!
おおお~、化粧をしてない袴姿での立ち回りはなかなか見られませんよ。
「おめちゃん(と自分で言っていた)」こと男女蔵さんの司会でした。

研修生に歌舞伎役者を目指すきっかけはなんだったのか
などインタビューがありました。
…ちょっと「台本どおり」な、かおりが漂っていたかな?

興味深かったのがスクリーンで紹介された研修生の授業風景。
そんな授業があるのですか?! とおもしろかった。
又五郎さんが先生だ~。

舞台上に観客二人があげられ、立ち回りの実践。
これも予定通りの人選?
一応「やってみたい人~」と挙手を促すシーンがあったけど
やる気マンマンな人を差し置いて違う人をご指名。
まぁ、誰も手を挙げなかったら成り立たないから仕方ないですね。

あとはこの後の『毛谷村』のあらすじ紹介。
企画先行の楽しい解説でした。


■ 彦山権現誓助剣*毛谷村

普段は上演されない『彦山杉坂墓所の場』も上演され
話の流れがよくわかりました。
が、やはりお園が登場してからのほうが面白い(あら言っちゃった)。
『彦山権現誓助剣』は敵討ちの話なのに
肝心の弾正を討つまでを上演しないのは『毛谷村六助住家の場』が
面白過ぎるからだな、と思ったしだいです。

それにしてもみんなかわいい!
六助も、お園も、お幸も、弥三松も。

数年前に海老蔵さんの六助と菊之助さんのお園を観ましたが
プリっプリの若さはこの二人に敵いませんが
今回の梅玉さんの六助と芝雀さんのお園もイイ感じ~。

梅玉さんはこういうイイヒトをやるのは似合っていますね。
そして芝雀さんはひょいっと甥っ子を片手で持ち上げるパワフルっぷりから
六助の素性を聞いてからの娘っぷりかわいらしいっ!!
そしてなにより、仇討ちに出発する寸前
「(六助に)抱きつきたいけど親の目が気になってできない」
みたいな(うろ覚え…)モジモジしたお園が最高にかわいいのだ。

そしてやはり字幕はイイ!
おかげでお園のかわいらしさを堪能できました。
つか、義太夫さん意外とキツイこと言っている?

「二十歳すぎて眉があるのはどうなのよ?」とか
アイタタ…、私にナニカが突き刺さりましたヨ。

歌舞伎*夜叉ヶ池&海神別荘

観劇:2006年7月17日
会場:歌舞伎座(3階席)


鏡花ワールドです。
予習はしたものの、一通り読んだだけだったので
私の理解力&記憶力ではおっつかなかったのでした。
むむ。フツウに舞台を楽しむことにしよう。


夜叉が池

うを、白髪!! しかも黒髪がちらちら見えますけど??
…そうでした、そうでした。ヅラをかぶっていたのでしたね。
でもやっぱ、黒髪のほうがいいですね。
しかし、冒頭にごはんがどうのというやりとり、ありましたっけ??
忘れている。案の定、忘れているよ…

おおー、学円さん洋装!! いいの? いいのか、明治時代だから。

百合が生け贄にされそうになるあの展開には、やはり腹が立つ!
その前に妖かしたちが
「生け贄は散らかって迷惑」と言っていたのを聞いていただけに
「それ、無駄だから!」という忠告をせずにはいられない。
できることなら教えたかった…

だいたいさー「美女を裸にして牛に乗せる」の意味がわからんよ!
特に「裸」。
それって「生け贄どうこう」よりそれを見物する人たちの都合じゃないの?
その証拠に今まで影も形もなかった人たちがわらわらと沸いて出てきた。
んもー!! さん、やっておしまいなさい!!
と、ヒーローの登場を待ちわびる。

ほどなくして、ヒーロー登場。
…あ、あれ? 人間としてできる限りの抵抗、の範疇を出ない活躍。
いや、それでいいんですけど、晃さんですから(なんか非力そうだし)。
いつのまにか怒りの行動として「隈取り&尋常じゃないパワー」を
期待していた私。
ここに至って「本当に歌舞伎じゃないんだなぁ」と実感したのでした(遅!)。

それはさておき、美しい舞台でした。
春猿さんの百合・白雪姫は可憐で美しかったし
段治郎さんの晃も文句無し。
右近さんは兄貴っぽいところが学円っぽかった。


海神別荘

ふをー! 海底! 海底ですよ!!
そして公子はアホだった!
そうだよね~、原作読んでもアホにしか見えなかったもん。
ナイスです、アホ公子!!

公子が「んばー」(んなことは言いませんが)と登場してからは
ニヤニヤが止まらない私。
ロットバルト海老蔵!!
この衣装を笑いナシに舞台に馴染ませるとはさすがです!!

美女は…さすが「美女」という名前(なのか??)だけあって
自己顕示欲が強い。
「キレイなままのワタシを見て!」
「お金持ちになったワタシを見て!」
と制止を振り切って、故郷に姿を見せに行く美女。

実際はすでに人外のものとなっていた美女が人間には大蛇に見え
身内にわかってもらえず、しおしおと公子の元に帰ってくるわけですが。
そのあとがスゴイです。
殺される寸前「どうせなら公子に殺されたい」と願い
公子がそれを聞き入れ、さあ殺されちゃうぞ、のシーン。
急に美女が公子の「気高さとかいろいろ」に気づいて和解。
めでたく二人はシアワセに暮らしましたとさ。
となるわけですが、この展開がさっぱり理解できないのです。

原作読んだときも「???」だったんですけど
舞台を観ても同様でした。
え? 所詮「美女」ではない私には理解できなくて当然?
ま、そうかもしれませんね。

というわけで鏡花ワールドから弾き飛ばされた私ですが
ハープを使った音楽から海底の優雅さを感じられたし
お腰元衆の和装は
「外国人が見よう見まねでキモノを作ってみました」という感じと
ゆったりした感じが海底をイメージできて好き。
という意味ではおおいに楽しめたのでした。

あ、3階席からは背景がほとんど見られなくて残念でした。
花道? 見えるわけがない!!

松竹大歌舞伎 十八代目中村勘三郎襲名披露

観劇:2006年7月
会場:練馬、かなぁ?

襲名披露の巡業公演です。
勘太郎さんは怪我のため休演した公演ですね。


■ 本朝廿四孝*十種香

パンフを買う予定だったので事前に配役チェックしなかったのだ。
時間がなくて幕前にパンフを買えず、観ている間は早押しクイズでした。
ハイ!七之助!! ハイハイ!芝のぶちゃん!! って感じ。
勘太郎さんの代役が芝のぶさんなのは知っていても
どの役の代役なのかを知らないワタクシ…ダメじゃ~ん。
芝のぶさんの濡衣…抱きつきたい!けなげさでしたよ。
そして扇雀さんの姫は、なんであんなかわいいのか?!
亀蔵さんに市蔵さんもご出演とは、ほくほくでございます。
それにしてもブラボー『恋するKABUKI』!!
この本で予習したらいつになく義太夫が聞き取れた(ような気がする)よ!


■ 口上

勘太郎さんのこと、何か言うかな~と思っていたら、最後にありました。
「さっき手術が終わって、思ったより軽かった」
とのことだったので一安心です。
うおー、手術の日でしたか!!
そうとは知らず『十種香』楽しんでしまいました…
と妙な恐縮のしかたをしてしまいました。
手術も成功したようだし、「思ったより軽かった」ようなので
順調な回復を祈るばかりでございます。
いや、ほんとに大事にしてほしいです。
完治するまで無理はしないで~!!


■ 新古演劇十種の内 身替座禅

勘三郎さんの右京に、弥十郎さんの奥方玉の井。
ぐふふ。タノシイ。
それにしてもデカイよ!山の神!!
ぬお~っと覆い被さるように立つんだもん。うひゃひゃ。
亀蔵さんの太郎冠者も楽しいし
新吾ちゃんと芝のぶちゃんの侍女もかわいらしい。
たまらんのでした。

三越歌舞伎

観劇:2006年6月18日
会場:三越劇場

オモダカ屋による公演。
久しぶりの三越劇場です。

■ 車引

これは以前に拝見したことありますね。
しかし、三兄弟が勢揃いする前に
桜丸と梅王丸がひそひそ話をするのは覚えていなかった…
寝ていたのか??

ひそひそ話のとき虚無僧のような被り物をしていた二人。
どっちがどっちかワカラン!
というようなことはなく、ふむふむと拝聴。

…この台詞回しに惑わされて記憶に残らなかったとみえる。
義太夫だし、(私にとって)けっこうハードル高いぞ、この演目。

お待ちかね、松王丸(段治郎)登場!
でっけぇ~。
ほんとにデカイです。
天井につっかえそうな長身。デビルマン鬘がそれに拍車をかける。

この演目はこの劇場には向いてないんじゃあ…?
花道もないから飛び六法がやりにくそうだった。


■ 女殺油地獄

近松門左衛門の作品。今月はご縁がありますね、近松先生。
油屋「河内屋」の放蕩息子・与兵衛のワガママ一代記。

この話はなんといっても「油まみれで組んずほぐれつ」でしょう!
事前に調べたところ、油の代わりに「石けん水」を使うということだったので
洗濯もできて一石二鳥! と思っていたら
今回は「寒天と布海苔」だそうで…。

この与兵衛の論理の飛躍に目がテン。
自分がこさえた借金の返済期限を目前に、なんとか工面しようと
近所のやさしい奥さん・お吉(笑三郎)に借りようとするが
「だんなが留守だから決められない」(意訳。以下同)
と言われ
「お金貸してくれなきゃ殺して奪う!」
と刃物振りかざし切りかかる。
切られながら
「私には愛する夫とまだ小さい子どもがいるから殺さないで」
と逃げ惑うお吉(そりゃそうだ)。
「そんなこと言ったらオレにだって優しいオヤジがいるわい!
そのオヤジが借金に苦しめられるのは耐えられん!!」
と、なおも切りかかる。

チョット待て。
そもそも、その借金は
オマエが親の印鑑を勝手に持ち出して作った借金だろが!

いや~、現代にも居そうですね、こんなバカ息子。
そしてこんなバカ息子が上手い獅童さんなのでした。

結局、殺されちゃうお吉ですが
この人の夫・七左衛門(段治郎)とラブラブなのがたまらない。
手のかかる近所のバカ息子をかいがいしく世話する我が妻をみて
ヤキモチを焼く夫。カワイイ。
その夫を「そんなわけないじゃん」と軽く流す妻。
いいねぇ~。

それなのにあの悲劇ですよ。まったく!

藤娘

観劇:2006年5月
会場:歌舞伎座

ふだんは立役専門の海老蔵さんがなぜか『藤娘』をやるというので
「どんなもんじゃい」と興味本位で行ってきました。

海老蔵さんといったら数年前の大河ドラマ『武蔵』で
こきたなくも男らしい武蔵を演じた人ですよ。
日常の言動も豪快で大胆な人です。
そんな海老蔵さんが娘を踊る!

期待3:不安7 ってところでしょうか…

真っ暗な状態から照明が点いたとたん
劇場はどよめきとざわめきに包まれました。

そのわけは舞台上の背景の
大きな藤の木と舞台の天井から釣り下がる多数の藤の花、という豪華さ
(直前の『保名』の舞台がシンプルだったから余計に)と
舞台中央に佇む海老蔵の娘姿の両方でしょう(たぶん)。

この黒地の振り袖を着た姿が
意外といい、のです。

ほっそりとした(もしかして痩せた?)長身に黒が映えます。
クールビューティ海老蔵。
おねいさんと呼ばせてください! って感じです。

予想以上に美人だわ~。
と、前半はうっとりしていたのですが
中盤、袂をつかった振りに「かわいい」と思い
(そんな自分にありえない!とツッコミいれつつ ←失礼だな)
後半はなにやら色っぽいのです。
こんな遊女がいたら通ってしまうわ~。
…イヤ、藤娘は決して遊女ではないですが。

全体的に上品であっさり。
好きだわ~。なんだろ、初心者向け?
非常にわかりやすかった気がします。

私はこの藤娘を初めて観るので
本来はどんなもんかわからないし
舞踊の良し悪しもわからないので、全くOKでした。

いっぱいお召替えしてくれるし
いろいろな表情が見られたので、眼福眼福。
常に双眼鏡を構えていたので、若干、腕がダルくなった…

ただ…おっきいですなぁ(爆)
一人だけの舞踊なので比べる対象がないのですけど
それでも「おおきいなぁ」と思ってしまった。
3階席でもそう感じたんだから1階席ではド迫力なのでは?
あと、手も大きかったです。
もしかしたら、しゃべらないからイケてたのもあるのかな?
しゃべったらさすがに…(つくづく失礼だな)。

外郎売

観劇:2006年4月
会場:歌舞伎座

白血病再発で療養中だった団十郎さんが歌舞伎座に復活!
というわけで観にいって参りました!

なんとも華やかな演目でした。
登場人物も豪華だし、衣装も豪華。
目の保養だわ~。

うっとりしているとチャリンの中から成田屋さんの声。

ざわめく場内、にわかに高まる緊張感。

みなさんのお目当てはこの方ですね!とわかる瞬間です。
もちろん私もそうだったわけです。この時点で胸がいっぱいになる私。

しかし、なかなか出てこない。
も~!! 声はわかったから早くお姿を…!!

ようやくチャリンと揚げ幕の開く音が響き
この日、一番の拍手が鳴り響き、「成田屋!」の掛け声の大合唱。
3階席の私にはまだ姿は見えませんが
力の限り拍手しました。

花道をゆっくりと歩く成田屋(想像)。
七三まで来ると、私の席からもかろうじてお顔だけが見えました!
お元気そうでなによりです!!
しばらくここに留まって、舞台上の役者とやりとり。
…この演目には3階席は向いてないな。主役が見えないじゃ~ん。

舞台上に移動するとなんと口上が!
『外郎売』は初めて観たのでわかりませんが、今回は特別なのでは…?
団十郎さんから療養中に頂いた応援の言葉に関してお礼と感謝の言葉と
菊五郎さんから回復の喜びの言葉と
観客には「今日みたいに連日満員だといいなぁ」の
軽い脅迫めいた(?)言葉。

それが終わると、見どころの外郎売りの早口言葉!!
「ういろう」売りって言うから名古屋名物かと思っていたら違いました。
薬でした。
この「外郎」なる薬がいかなる効用があるのかを
立て板に水の早口で説明するのが見どころなのです。

うひゃひゃ。聞きしに勝る早口。
なんだか楽しくなりました。
リズム重視で言っている内容はよくわかりませんが(わからないのかい)
流れるような口調は気持ちがイイ。

物語としては菊五郎演じる工藤祐経を親の敵と知って
外郎売りに扮して近づいた団十郎演じる曽我五郎だったわけですが
それを兄の十郎に「まだだめよ」と止められる、という話なのですが
そんなことはさておき、華やかでお祝いムード一色の一幕でした。

無事に舞台で団十郎さんを拝見できてシアワセな私たち観客。
やっぱあの鷹揚でおおらかな人柄は得がたいですから。
はー、観てよかった~。

東海道四谷怪談 北番

観劇:2006年4月
会場:シアターコクーン
演出:串田和美

『四谷怪談』の全段を通して上演することを主題にした北番。
それに合わせて串田さんによる新演出で上演の北番。
歌舞伎らしい見せ場の多い南番はすでに観ていたので、予習はばっちり。

なんとも前衛的な(と言っていいのかな?)演出でございましたよ。
音楽もいつもの三味線などによる邦楽ではなく、洋楽を使用していたし。
幕前と後は椎名林檎が流れていたし。

通しだったおかげで物語そのものはよくわかったのだけど(私は)
予習ナシで観たツレの混乱っぷりがおもしろかったのでそちらを中心に。

二役、三役こなしている役者がいたのだけど、それに気づかないツレ。
「死んだはずのあの人がまた出てきた」な場面が多くて
大混乱だったらしい(笑)

ちなみに複数演じていたのは

勘三郎=お岩・直助権兵衛(お袖に横恋慕)
橋之助=民谷伊右衛門(お岩さんの夫)・小汐田又之丞(小平の主君)
亀蔵=奥田庄三郎(与茂七の同僚)・秋山長兵衛(伊右衛門の悪友)
笹野高史=伊藤喜兵衛(お梅の祖父)・按摩宅悦・お熊(伊右衛門の母)
弥十郎=四谷左門(お岩さんの父)・仏孫兵衛(小平の父)
扇雀=佐藤与茂七(お袖の許婚)・小仏小平(伊右衛門宅で働く小者)
※お袖とはお岩さんの妹として育った娘(演じるのは七之助)
※お梅とは伊右衛門に一目ぼれする娘(演じるのは新悟)

と、けっこうな人数なのです。たしかにこれは把握してないとキツイか…

言われてみれば、勘三郎さんのお岩さん(女性)と直助(男性)はともかく
橋之助さんの伊右衛門と又之丞は白塗り男でよく似ているし
弥十郎さんの左門と孫兵衛はジジイな拵えが似ているし
扇雀さんの与茂七と小平も事情がわからないと混乱するかも。

さすがに笹野さんの伊藤喜兵衛と宅悦は
二役ということがわかったらしい。
一安心…

そんなわけで、もちろんお話も理解していないカワイソウなツレ(爆)

お岩さんの父は死んだのです。二幕のドッペルは小平の父なのです。
ええ、与茂七は死んでいないのです。死んだのは小平。
その小平がソウキセイを盗んだのは又之丞のためで
彼は伊右衛門とは別人なのです(同じ橋之助さんだけど)。
直助とお袖は実の兄妹だったのです。だから直助が大暴走するのです。
与茂七が三角屋敷にたどり着いたのは
だんまりで直助と荷物を取り違えたからで、一応理由があるのです。

などなど、終わってから説明することの多いことといったら!
ううむ。こういう人には南番のほうがよかったのか…

でもツレの目当ては、お梅役の坂東新悟ちゃんだからなぁ。
新悟ちゃんは南には出ていないのだ。

そうそう。ハプニングがありましたよ。
舞台の照明をすべて消して
客席の照明が突如ついたシーンがあったのですよ。
びっくりしましたね。
なんと斬新な演出か!と思ったら停電だったとか。
え~、そうなの?!
フツウに演技を続けるお岩さんと伊右衛門だったから
てっきり演出だと…
う~む。歌舞伎役者とはエライものだ。

當世流小栗判官

観劇:2006年3月
会場:国立劇場

市川猿之助演出の『當世流小栗判官』。
出演は猿之助門下の若手を中心にフレッシュな顔ぶれ(とチラシに書いてあった)。
期待に違わず、おもしろい演目でありましたよ。
猿之助の演出はわかりやすく、派手で、盛りだくさん。
サービス満点で大満足でございます

昼(前編・1時開始)・夜(後編・18時半開始)の続きモノで
小栗判官(右近)と照手姫(笑也)を中心とした愛と正義と忠心の物語。
照手姫のお家をのっとろうと企む横山大膳一味によって
離ればなれになった姫と許婚の小栗判官が
さまざまな人に助けられながら、お家再興をめざすのです。

前編は大膳一味に計略により暴れ馬を名馬にかえる小栗判官の活躍と
忠臣・浪七(段治郎)の命懸けの助けによって
照手姫が危ういところで救われるところが演じられました。

この前編が、楽しくて楽しくて!
主人公にして正義の味方の小栗判官を演じながら
そりゃ反則でしょ! というアホキャラ・橋蔵にも扮する右近…
捨て身(?)のぼやきとギャグが炸裂!
はやりのイナバウアーまでやってくれるとは
新しもの好きの歌舞伎っぽい。

それに主役の小栗を食う活躍の浪七。カッコイイ。
段治郎がすでにかっこいいが、役がいい。
だいぶ成長しました、段治郎(偉そうになにを言うか)。
大立ち回りの末、舟で攫われた姫を助けようと
自分を生け贄にするため切腹。
さらに滝の如く流血しながら、臓物を竜神に捧げる。
す、すぷらった…
その命懸けの祈りが通じ、舟が戻ってきて悪漢と一騎打ち。
もちろん内臓ぶちまけたあとに。すごい根性だ。
この間、姫と「恋人同士か?!」と戸惑うくらい
情感たっぷりに別れを惜しむ。
ううむ。なにをしている小栗判官!!

これは後編も見ねばなりません。
というわけで、引き続き夜の部まで居続け。
…ウソです。最初から両方見る気でチケットも買っていました。

後編はお家再興の鍵となる宝物を探し求めて放浪する小栗。
ついに質屋にあるらしいことを突き止める。
で、その質屋の娘・お駒(春猿)と結婚することに(なんで???)
その質屋に下働きとして勤める照手姫がいたりして大騒動。
そして、なんだかんだで大膳一味も成敗して大団円。

後編冒頭には口上として前半のハイライトを上演。
本物の役者を使ったあらすじ紹介は、贅沢でおもしろかった!

許婚の小栗がお駒と祝言を挙げると聞いて
やきもちを焼く照手姫はかわいらしく
そうとは知らないお駒がかいがいしく小栗を世話する姿もかわいらしい。
オンナ二人に挟まれ、小栗はオロオロするばかり。

春猿さん演じるお駒が、強烈なキャラでおもしろい。
当時は主君第一の時代ですから
個人の恋が優先されることはないのです。
なのに彼女は恋に生きる。
お駒の母・お槙(笑三郎)は実は照手姫の乳母だったから
娘と小栗の結婚はとりやめようとするんだけど、お駒は納得しないのです。

さっきまで下女だった女が実は主君? は! ちゃんちゃらおかしいぜ!
ってなもんです。
しまいには小栗を殺して自分も死ぬ! と刀を持って狂乱。
それをとめようとする母ともみ合い、勢いで母に首を斬られてしまいます。
ありえない…
生首となったお駒はかわいさ余って…の小栗に呪いをかけます
(私なら姫を呪うけどね)。
こんどはホラーだ。

その呪いを受けて顔面はただれ、足腰は立たなくなる小栗。
霊験あらたかな寺に湯治に行く姫と小栗。
その寺には美しい上人(段治郎)が!
上人の祈祷の甲斐があり(ここのダンスがかわいいのだ)
みごと本復を遂げる小栗。
ついでに上人から天駆ける白馬をいただき、姫とともに宙乗り。

そして真っ白な雪の舞台で横山大膳一味と立ち会い、みごと成敗。
このラストシーンがすごかった。
大立ち回りは段治郎さんがみせてくれたから別のものを!
という心の欲求に応えてくれました。
なんともスカッとするエンディングで、ご機嫌で帰宅したのでした。

これだけ見ても4000円也。 一番安い席で観たんだね…。
それでおもしろいとくれば悔いはない!
プロフィール

まるあ

Author:まるあ
100%趣味について。
観劇と映画鑑賞と読書が趣味。歌舞伎・三谷幸喜作品・蜷川幸雄演出・劇団☆新感線などを観に行きます。
読書はいろいろな人の感想を参考にマンガも含めて乱読中。

一個人の主観的な感想なので大多数がそう感じるとは限りません。
内容も正確を期していますが記憶を頼りにしているので必ずしも正確ではありません。
以上を了承のうえお読みいただけると幸いです。

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